徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

親切なクムジャさん

2008年05月31日 | ★★★★




親切なクムジャさん
おすすめ度
英題:SYMPATHY FOR LADY VENGEANCE
製作:2005年 韓国
製作:イ・チュニョン
監督・脚本:パク・チャヌク
出演:イ・ヨンエ チェ・ミンシク クォン・イェヨン オ・ダルス キム・シフイ・スンシン キム・ブソラ・ミラン
キャッチコピー:最後の復讐が、一番哀しく、美しい。

「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」の“復讐シリーズ”第3弾「親切なクムジャさん」です。ちなみに、またしても前作2作品は未見です(笑)。

清楚で美しい容姿からは想像できない残酷な手口で世間を震撼させた幼児誘拐事件の犯人クムジャ(イ・ヨンエ)。彼女は服役中、誰に対しても親切に笑顔で接することから皆から「親切なクムジャさん」と呼ばれ親しまれています。13年間の服役を終えて出所した彼女は、自分を陥れたペク先生(チェ・ミンシク)に復讐するため、出所した囚人仲間に協力を依頼します。

一人の男性の裏切りから人生を狂わされた女性の復讐劇。彼女自身も、わが子を人質にとられ、どうしようもない状況に追い込まれていた被害者のひとりなんですね〜。シリアスなテーマにも関わらず、どこかおどけたコメディ的要素をあわせ持つ作品でした。

ひょうひょうとしたクムジュさん。一見何を考えているかさっぱり分かりません。復讐に関しても、緻密に計画されているようにも見えますが、かなり大胆な手口。詰めも甘く、「こんなんで大丈夫なの?」と、違う意味ではらはらしました。とはいえ終盤ににかけ、あっと驚く仕掛け(?)があり、物は語一気に血生臭い展開になります。

それぞれの性格や心の動きが浮き彫りになる「共犯者」たちが「順番待ち」をするシーンはとても心に残ります。とっても短いシーンですが皆の苦悩に満ちた過去を伺い知る事が出来ます。

またケーキ(ザッハトルテかなあ?すごく美味しそう!)を食べるシーンもなかなかエグい。「ひと仕事」終え何とも言えない空気に包まれた中で、口座番号を差し出すひとりの女性。それに続けと言わんばかりに全員が、メモを渡します。うーん。したたか。人間の本質を垣間見たような気分。ある意味ふっ切れた様子の被害者家族とは対照的に、抜け殻のようになったクムジャさんの姿が印象的でした。

今さらジローですが「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」も観てみようと思います〜。

親切なクムジャさん@映画生活
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チャプター27

2008年05月29日 | ★★★




チャプター27
おすすめ度
原題:Chapter 27
製作:2006年 アメリカ
製作総指揮:ジャレッド・レト
監督・脚本:J.P.シェファー
出演:ジャレッド・レト ジュダ・フリードランダー リンジー・ローハン
キャッチフレーズ:1980年12月8日ジョン・レノンはなぜ殺されたのか?

マーク・チャップマンがジョン・レノンを暗殺するまでの3日間を映画化した「チャプター27」です。

ここ数年「ラストデイズ」「ヒトラー〜最期の12日間〜」など実在した人物の最期に焦点を当てた作品を良く目にしますね。実際私はこの手のテーマに弱いのでついつい観てしまいます。

最初タイトルの意味が分からなかったのですが、作中に出てくるひとつの鍵となる「ライ麦畑でつかまえて」から由来するようです。実際は全26章からなる小説ですが彼(マーク・チャップマン)が起こした事件を次の章にあたる「チャプター27」になぞらえたんでしょうね。

恥ずかしながら「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ事がありません。おそらくは、この作品自体がこの小説とかなりリンクしているんだと思います。なので、本当の意味でこの作品をきちんと解釈できたかは謎です。(近い内に読んでみたいと思います)

体重を30キロ増量させて臨んだジャレッド・レトの役づくりと演技はなかなか凄いものがあり、実際に見た目もかなり近い(驚)

本作は、ひたすらマーク・チャップマンの行動を追い、揺れ動く心の動きをつぶさに捉えていくという、ドキュメンタリータッチの作品です。深い心の淵にただただ沈んでいくその様は混沌としていて、そこはかとなく無気味です。

が、

これを観ても私には真実は分かりませんでした。
マーク・チャップマンの思考は計り知れません。
観ていて不快になり、彼に対して怒りを覚えました。

事件から20年後の2000年。何故殺人を犯したのかという質問に彼は「誰からかに愛される、自分自身でない誰かになる方法を探していた。」と答えたのだそうです。鬱積した様々な思いが、本当に人を殺める事で浄化されたのでしょうか。愛される人間になれたのでしょうか。

うーん…。できれば、彼には出所して欲しくないです。


チャプター27@映画生活
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俺たちフィギュアスケーター

2008年05月28日 | ★★★


俺たちフィギュアスケーター
おすすめ度
原題:Blades of Glory
監督:ウィル・スペック ジョシュ・ゴードン
製作:ベン・スティラー スチュアート・コーンフェルド ジョン・ジェイコブス 脚本:ジェフ・コックス クレイグ・コックス ジョン・オルトシュラー デイヴ・クリンスキー
出演:ウィル・フェレル ジョン・ヘダー ウィル・アーネット エイミー・ポーラー クレイグ・T・ネルソン ジェナ・フィッシャー 
キャッチコピー:史上初!男子フィギュアペア?

「奥様は魔女」(’05年)のウィル・フェレルと、「バス男」のジョン・ヘダーが主役を務めた「俺たちフィギュアスケーター」です。どうもこの不思議な邦題は、ウィル・フェレルが出演した「俺たちニュースキャスター」(’04年日本未公開)からきているようです。

フィギュアスケート世界選手権男子シングル決勝の華々しいステージから物語は始まります。幼い頃より、養父から英才教育を受けてきたフィギュア界のアイドルのジミー(ジョン・ヘダー)と、パワフルなパフォーマンスとヒールな雰囲気が人気のチャズ(ウィル・フェレル)。タイプが全く異なるこのふたり、実は犬猿の仲なのです。お互い素晴らしい演技を披露し同点1位を獲得しましたが、表彰式で乱闘騒ぎを起こし、協会から金メダルの剥奪と参加部門からの永久追放処分を受けてしまいます。

それから三年半後—。大会直後に養父から縁を切られたジミーはスケート用品店で、チャズはスケートショーで働いていました。ある日、ジミーはかつてのファンから「ペア部門」でなら参加できると言う事実を知らされます。何とか現役復帰したいジミーは昔のコーチの元へと向かいますがペアがいない事と、大会までの準備期間が短すぎる事を理由に一度は断られてしまいます。ところが、ある事件をきっかけにコーチはジミーとチャズにペアを組ませる事を思いつき、間もなく命がけの特訓がはじまりました。

いいですねえ。
このジャケットからして、ふざけた雰囲気がにじみ出ていますね。
DVDが出たらまっ先に観たい作品の1つでした。

まずは「阿呆やぁ。もう、まんがやな〜」の一言(笑)

つい最近、ハイテンションおばか作品「ボラット」を観たばかりだったので、ある意味ちょっとかぶっているんですが…。でもこういう頭を空っぽにして楽しめる作品、結構好きみたいです。私。(最近気付きました 遅っ。)

ワイヤーを駆使した特撮やキャラクターにぴったりな凝った衣装など特筆すべき点はいくつもあるんでしょうが…。
真剣な顔をしながらもどこかゆるい振り付け、北朝鮮での禁断の技の失敗エピソード、男同士のペアの気持ち悪さに心を奪われてそれどころではありませんでした。今回はイケ面キャラなはずのジョン・ヘダー君ですが、どうにもあの出っ歯が気になって、ナポレオンにしか見えない瞬間もあり(笑)。うーん。かなりベタなんですけど。もう笑っちゃってますから制作者の思うツボです。

ゆる〜いテンションでゆる〜く観るのにピッタリな作品です。

俺たちフィギュアスケーター@映画生活
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ビッグ・フィッシュ

2008年05月20日 | ★★★





ビッグ・フィッシュ
おすすめ度
原題:Big Fish
製作:2003年 アメリカ
製作:ブルース・コーエン ダン・ジンクス リチャード・D・ザナック
監督:ティム・バートン
原作:ダニエル・ウォレス
脚本・脚色:ジョン・オーガスト
出演者:ユアン・マクレガー アルバート・フィニー ビリー・クラダップ ジェシカ・ラング ヘレナ・ボナム=カーター







ビッグ・フィッシュ@映画生活
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絶対の愛

2008年05月19日 | ★★★



絶対の愛
おすすめ度
原題: ハングル: 시간 英題: Time
製作:2006年 韓国・日本
製作・監督・脚本: キム・ギドク
出演:ソン・ヒョナ ハ・ジョンウ パク・チヨン
キャッチコピー:Super Ki-DUK Love Story

久々のキム・ギドク作品「絶対の愛」です~。

交際を始めて2年になる優柔不断男ジウ(ハ・ジョンウ)の愛を疑うセヒ(パク・チヨン)。彼を愛しすぎてい彼女の心の中はいつも不安と嫉妬でいっぱいです。そんなある日セヒは突然ジウの前から姿を消します。それは「新しい自分」になるべく顔の整形をするため。セヒを忘れられず苦しむジウは、何人かの女性と関係を持とうと合コンに励みますがその都度何者かに邪魔をされます。そして半年後、以前セヒとよく行ったカフェで美しいウェイトレスに出会います。彼女の名はスェヒ(ソン・ヒョナ)。セヒへの想いを引きずりつつも次第にジウは彼女に惹かれていきます。

怖い!!
女の情愛って!!
可愛さ余って憎さ百倍とはまさにこのことでしょうか??
あばばばば(震)
「究極の愛」通り越してコレはもうホラーですよ。

・・・とまあナンダカンダいいながら今回もまたキッチリやられちゃてるんですが。

優柔不断な優男の彼を持つ気の強い彼女。
彼を思う故の喧嘩。
最初はただの恋人同士のよくある風景なのです。
最初はね。
でも彼女は「彼のために」整形しちゃうんですねー。
彼はそんなこと、ちっとも望んじゃいないのに。
そして彼女の暴走は止まらない・・・。
途中、彼女のあまりのアグレッシブさってか回りくどさについていけなくて「これってどうよ?」と思ってしまいました。が。ラスト15分で「動く」のです。

このたたみかけはもう、あっけにとられちゃいました。
「絶対の愛」ってのは邦題で、直訳のタイトルは「時間」なんですね。
なのでラストはまさにそのタイトルどおりの仕掛けが準備されています。

「世界でいちばん不運で不幸な私」を観たときも思いましたが、人って恋愛に対してここまでのめり込めるモノなのかなあ・・・。

私は「ない」わあ。

整形後の彼女スェヒを演じたソン・ヒョナの怪演もとい熱演は必見です。

絶対の愛@映画生活
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13/ザメッティ

2008年05月16日 | ★★★★




13/ザメッティ
おすすめ度
原題:13 TZAMETI
製作:2005年 フランス
製作・監督・脚本:ゲラ・バブルアニ
出演:ギオルギ・バブルアニ オーレリアン・ルコワン パスカル・ボンガール
キャッチコピー: 13人のロシアン・ルーレット─それは、運命を狂わせる邪悪なゲーム。

予告編を観て、いい臭いがした「13/ザメッティ」。やっと観ました。

22歳のセバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)は、屋根の修理をしながら何とか家族を養っています。ある日、クライアントのフランソワ(フィリップ・パッソン)が薬物の過剰摂取で急死してしまいます。実はフランソワ自身もお金に困っていて、セバスチャンは彼の死によりそれまでの手間代をもらい損ねてしまいます。

フランソワは亡くなる直前に「近々大金を手にする仕事をする」と周囲にもらしていました。そして偶然にその「仕事」をするための“封筒”を手に入れたセバスチャン。封筒の中には、パリ行きのチケット、ホテルの領収書、13と書かれた札が入っていました。

緊迫感のある作品でした。
何となく先が読めるストーリーではあるんですが、そんな事気になりません。だって見せ方が素晴らしいんですもん。最後まで観る者を飽きさせない緊張感溢れる演出、スタイリッシュな映像、演者のパワー。うーん。これはちょっとハマっちゃいそう。観ている間中手汗びっしゃでした(笑)

セバスチャン演じるギオルギ・バブルアニ君の表情がみるみる変わっていくんですね~。温厚で心優しい青年が狂気に満ちた世界に足を踏み入れることで、すっかりサイコな感じに・・・。あの目つきはスゴイ。

サスペンスなので今回もこの辺でお開きとさせていただきます~。
(いまさらですが)サスペンス好きな方にはオススメの1本ですっ。


13/ザメッティ@映画生活
前田有一の超映画批評



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世界でいちばん不運で幸せな私

2008年05月11日 | ★★




世界でいちばん不運で幸せな私
おすすめ度
原題:Jeux D'enfants
製作:2003年 フランス ベルギー
製作 クリストフ・ロシニョン
監督:ヤン・サミュエル
脚本:ヤン・サミュエル ジャッキー・キュキエール
出演:ギヨーム・カネ マリオン・コティヤール チボー・ヴェルアーゲ ジョゼフィーヌ・ルバ=ジョリー  エマニュエル・グリュンヴォルド ジェラール・ワトキンス
キャッチコピー:なぜだか いつも、空回り。

素直になれない二人の恋の行方を描いたファンタジーラブコメディ「世界でいちばん不運で幸せな私」です。ラストまで書きますので今日はバリバリのネタバレです。

重病の母親(エマニュエル・グリュンヴォルド)を持つジュリアン(子供:チボー・ヴェルアーゲ 大人:ギヨーム・カネ )と、ポーランド移民でにいじめられっ子のソフィー(子供:ジョゼフィーヌ・ルバ=ジョリー 大人:マリオン・コティヤール )は二人だけのゲームを始めます。それは、相手に条件を出し、出された条件には絶対にのらなくてはいけないというルール。校長の前でお漏らしをしたり、ソフィーの姉の結婚式を台無しにしたり・・・・、様々な「問題行動」を続けるふたり。そのゲームは、ジュリアンが母親から貰った大切な缶を賭けて大人になるまで続きます。そんな二人の友情はいつしか愛情に変わるのですが、ゲームが障害になりお互いの本当の気持ちを伝えられないまま別々の道を歩み始めることになります。

子供時代のカワイイ悪戯は微笑ましく、ファンタジックな映像と相俟ってとっても素敵でした。ただ、引っ掛かったのはいい大人になったその後の二人の描き方。だって、有り得ない無茶振りなんですもん!(段々うんざりモードに突入。)

お互いパートナーを見つけ別々の人生を歩んだものの、やはり思いを断ち切れないふたり。ナンダカンダ十数年かけ(時間掛けすぎだろ)遠回りしましたが(遠回りしすぎだろ。子供も居るぞ)、ようやくゲームの呪縛から開放されお互いの愛を確認。二人はキスをしながらコンクリートの中へと沈んでいきます(何で??)。最後のシーンは老人になった仲睦まじい二人が登場。そして幼い頃のふたりの回想があり物語は終わります。

最初「・・・ええええええっ?こんなラストなの??(ガマンして)最後まで観たのに~」と正直ちょっとガッカリしたんですが、ラストの受け取り方次第では大きく印象が変わるんですねえ。

当初私は割と「観たまんま」で捉えていたのですが、どうにも釈然としないので、「あのラストどう思う?」っていろんな人に聞きまくりました。そしたらある人に「映画そのものが悪戯になっているっていう解釈があるらしいよ」と教えてもらいました。実は最初からちゃんと二人は結ばれていたんだけど、映画全編を通して観客を騙しているっていう体らしい。なのでもしかしたら、あそこまで波乱万丈ではなかったのかも・・・・?(そう願いたい。)

今までの中で一番スッキリした解釈だったので一応この「観客騙し説」に決定です。

それにしてもフランス人の恋愛に対する半端ないカロリー消費は理解できない・・・。
二人のアグレッシブさはひたすら驚きの連続でした(呆)


謎の伏線や物語の矛盾についてあれこれ考えさせられたこのラストにひとつ追加で星2個です。

世界でいちばん不運で幸せな私@映画生活
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ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習

2008年05月10日 | ★★★★




ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
おすすめ度
原題:Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan
製作:2006年 アメリカ
製作:サシャ・バロン・コーエン ジェイ・ローチ
監督:ラリー・チャールズ
脚本:サシャ・バロン・コーエン アンソニー・ハインズ ピーター・ベイナム ダン・メイザー トッド・フィリップス
出演:サシャ・バロン・コーエン ケン・デイヴィシャン パメラ・アンダーソン
キャッチコピー:バカには理解できないバカです

カザフスタンのレポーター、ボラットがドキュメンタリーを撮影するという体で繰り広げられるはちゃめちゃコメディ作品「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」です。

カザフスタン国営放送のレポーター、ボラットは政府の命令で、アメリカの文化を学ぶためにニューヨークへと旅立ちます。早速ユーモア指導、フェミニスト主義の女性団体らと対談します。そこでまさかの下ネタや、女性蔑視満載の言動を繰り返すボラット。そんな彼にあきれ果てる「善良な」アメリカ国民たち。

ある晩ホテルのテレビで見た美女(パメラ・アンダーソン)に一目ぼれしたボラット。彼女のハートを射止めるために当初の予定を大幅に変更し、パメラの住むカリフォルニアへ向かいます。

強烈な下ネタ、人種差別、偏見に満ちた言動、数々の奇行(爆)
こういうのを「問題作」っていうんです!


この作品、公開からもう1年経つんですね。いつもお世話になっているブロガーさんたちのレビューを読んですごく気になっていた作品のひとつ、ようやく観ました~。

あー・お腹痛い。とにかく笑わせていただきました。
力いっぱい真面目に悪ふざけする男たちは最低だけど最高です(笑)

「ボラット」が、イギリスのコメディ番組の人気キャラと知り、なるほど納得。いかにもテレビ的な企画ですもんね。かなり過激なので、人によってはものすごく不快になる作品かもしれないですね~。

あー。笑った・・・。
真夜中のカーボーイのパロディ、イラっとしました(爆)。・・・笑っちゃいましたけど。


ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習@映画生活
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バッド・エデュケーション

2008年05月06日 | ★★★★




バッド・エデュケーション
おすすめ度
原題:La Mala Educación
製作:2004年 スペイン
製作:ペドロ・アルモドバル アグスティン・アルモドバル
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル フェレ・マルティネス ダニエル・ヒメネス・カチョ ハビエル・カマラ ルイス・オマール レオノーラ・ワトリング
キャッチコピー:究極の愛か、欲望か。

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルの半自伝的作品「バッド・エデュケーション」です。

1980年、マドリード。新進気鋭の映画監督エンリケ(フェレ・マルチネス)のもとに、幼馴染のイグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)と名乗る美青年が、自作の映画脚本「訪れ」を手に突然訪ねてきます。イグナシオ。それは16年前に少年時代を共に過ごした神学校寄宿舎での親友の名前。久々に再会したイグナシオの印象は随分変わっていました。彼は、アンヘルという芸名で俳優をしていると積極的に売り込んできます。エンリケはそんなイグナシオに違和感を覚えますが、持ち込んだ脚本には、彼ら2人にしか知りえない少年時代の悲しい思い出が描かれていました。脚本を読み終えたエンリケは、創作意欲を掻き立てられ映画化を即決します。しかし、どうしても男を信じることが出来ないエリンケはイグナシオの故郷を訪ね、そこで衝撃的な事実を知ることとなります。

んがあ。

またまた「濃い」作品です。
アルモドバル作品は本当に濃いです。
今回も鮮やかな映像美といかがわしいほど妖艶で濃密な世界を堪能させていただきました~。

ガエル・ガルシア・ベルナルとフェレ・マルティネス。
タイプの違う男前に惚れ惚れ。美しかったです。
ハビエル・カマラ、今回も味わい深い役をコミカルに演じていました。
少年時代のイグナシオを演じていたナチョ・ペレス可愛らしかったです。

脚本も凝ってます。
現在
過去
イグナシオの作品(エリンケの映画)
この3つのエピソードを巧みに交錯させながら観客を謎解きの旅へと誘います。
ぐいぐいと引き込まれ、あっという間の106分。

これが半自伝的だってのがまたスゴイ。監督の人生も作品に負けず劣らず「濃い」んだろうな~。


バッド・エデュケーション@映画生活
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ウィスキー

2008年05月05日 | ★★★




ウィスキー
おすすめ度
原題:WHISKY
製作:2004年 ウルグアイ アルゼンチン ドイツ スペイン
製作:フェルナンド・エプスタイン クリストフ・フリーデル ヘルナン・ムザルッピ
監督:ファン・パブロ・レベッラ パブロ・ストール
脚本:ゴンサロ・デルターロ ファン・パブロ・レベッラ パブロ・ストール 
出演:アンドレス・パソス ホルヘ・ボラーニ ミレッラ・パスカル ダニエル・ヘンドラー アナ・カッツ アルフォンソ・トルト
キャッチコピー:“ウィスキー”は幸せの合言葉

「ウルグアイの映画って・・・」という単純な好奇心で手にした「ウィスキー」です。

ウルグアイの町で寂れた靴下工場を営むハコボ(アンドレス・パソス)は、規則的な日々を淡々と送っています。ある日ハコボは、1年前に亡くなった母親の墓石建立式のため、ブラジルで暮らす弟、エルマン(ホルヘ・ボラーニ)を呼びます。そこでハコボは、従業員のマルタ(ミレージャ・パスクアル)に、数日間、彼の妻を演じて欲しいと願い出るのでした。ぎごちなくも偽装夫婦を繕いエルマンを迎え、建立式は無事に終了・・・と思いきや、エルマンは2人を旅行へ行こうと提案します。

恥ずかしながら私、ウルグアイについての知識がありません。だから、この作品が初めての「ウルグアイ体験」でした。

ウルグアイって、この作品ができるまで60本しか長編映画が存在しなかったらしいです。なので基本的に映画産業自体が国内に存在してなかった・・・。ビックリですねえ。

人生も半ばを過ぎた中年(ってか初老?)を描いた本作。さぞかし人生経験豊富な監督なんだろうな、と思っていたら、なんと二人は当時30歳。いろんな意味でビックリさせられっぱなしです。

さて、肝心な映画の感想ですが。

素直に「良かったです」。

説明的な描写や無駄なものを排除した、必要最小限の台詞。
絶妙な間。
独特の空気感。
それらの中に何ともいえない「可笑しさ」がある作品でした。

終始無口なハコボのサッカー観戦でのまさかの野次。
だんだん艶っぽくなっていくマルタ。
エルマンとハコボのプレゼント交換(×2回)。
などなど、小さい「ふっ」とした笑いがちりばめられています。

疎遠になっていた兄弟と偽装夫婦の旅。
ぎこちない空気が流れる中、写真を撮る時の「ウィスキー」と言う瞬間だけ、笑顔になる3人。その瞬間一緒に幸せなキモチになっている自分に気づいて、また「ふっ」と笑ってしまいました。

観る人によっていろいろな捉え方が出来る薄ぼんやりしたラストも好きです。

ウィスキー@映画生活
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スモーク

2008年05月04日 | ★★★




スモーク
おすすめ度
原題:Smoke
製作:1995年 アメリカ 日本 ドイツ
製作:ピーター・ニューマン グレッグ・ジョンソン 黒岩久美 堀越謙三
監督:ウェイン・ワン
脚本:ポール・オースター
出演: ハーヴェイ・カイテル ウィリアム・ハート ストッカード・チャニング ハロルド・ペリノー・Jr フォレスト・ウィテカー
キャッチコピー:間違いだらけの真実の物語。

ブルックリンつながりで「スモーク」です。赤い部屋の恋人と同じ監督さんだったのね。と観た後に気づきました。

オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル)はブルックリンの街角で煙草屋を営み、毎日欠かさず店の前の街を写真に撮ることを習慣としています。
 その店の常連のひとり、作家のポール・ベンジャミン(ウィリアム・ハート)は妻をある事故で亡くして以来全く筆が進まず、目下スランプ中。ある日煙草屋を出てぼんやり歩いていたポールは車にはねられそうなところをラシードと名乗る少年(ハロルド・ペリノー・ジュニア)に助けられます。ポールは感謝の印にラシードを数日自宅に招きます。
 
ポール・オースターの短編「オーギー・レーンのクリスマス・ストーリー」をモチーフに彼自身が脚本化した作品だそうで。
煙草屋オーギー
小説家ポール
訳アリ少年ラシード
を中心に様々なドラマが展開されます。

ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートの渋い演技が何ともいえません。
愛用しているカメラにまつわるエピソードを語るシーンなんてもう最高です。

「煙草」と「男」と「情」の物語とでも申しましょうか。
う~ん。
何ともいえない余韻の残る、魅力溢れる作品でした。



前田有一の超映画批評



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イカとクジラ

2008年05月01日 | ★★★



イカとクジラ
おすすめ度
製作:2005年 アメリカ
製作:ウェス・アンダーソン 他
原題:The Squid and the Whale
監督・脚本:ノア・バームバック
出演:ジェフ・ダニエルズ ローラ・リニー ジェシー・アイゼンバーグ オーウェン・クライン ウィリアム・ボールドウィン アンナ・パキン ケン・レオン
キャッチコピー:全米が笑って泣いた! 映画&文学&ロックと“不完全家族”に愛を込めて

最近観たハサミを持って突っ走ると、ちょい被ってますが、ノア・バームバック監督の自伝的作品「イカとクジラ」です。最近こういう地味目なインデペンデント作品でもアメリカでちゃんと評価されるようになりましたね。

ブルックリンに住むバークマン家。
父(ジェフ・ダニエルズ)は長い間スランプに陥っている元売れっ子作家。今は大学講師で家計を支えています。
そんな彼とは対照的な、母(ローラ・リニー)は「ニューヨーカー」誌でのデビューを控えた今や有望な新人作家。
12歳のフランク(オーウェン・クライン)はテニスに、16歳のウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ロックに夢中です。
そんなある日、両親の離婚がふたりの子供たちに告げられ、間もなくして父と母の家に行ったり来たりの「共同監護」生活がはじまります。

ちょっぴりシニカルな群像劇。最後まで救いのない父親の哀愁が何とも切ないです。観ていてじわじわと「きました」。

芸術家肌で空気の読めないプライドの高い父。
17年間健気に旦那さんに仕えてきた・・・と思わせて、実は浮気三昧だった母。
なかなかパンチの効いた親です。「作家」としてのふたりのパワーバランスが崩れるのと同時に夫婦生活も崩壊してしまいます。その結果一番迷惑を被るのはふたりの息子なのです。

決して派手なキャスティングではありませんが、どの役もすごくハマっています。夫婦(男女)の思い、思春期真っ只中の子供たちの戸惑いをはじめ、それぞれの立場で微妙な感情がリアルに表現されていました。

ウォルトが思い出の自然史博物館へイカトクジラを見に行くシーンは胸が締め付けられます。心に残る良いシーンです。

しょぱいです。


イカとクジラ@映画生活
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