徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

砂の器

2007年08月10日 | ★★★★
砂の器
おすすめ度
制作:1974年 日本
制作:橋本忍 佐藤正之 三島与四治
監督:野村芳太郎
原作:松本清張 
脚本:野村芳太郎 山田洋次
出演:丹波哲郎 加藤剛 緒形拳 森田健作 島田陽子 山口果林 渥美清 松山省二 内藤武敏 稲葉義男


松本清張の同名小説を映画化した「砂の器」です。1974年の本作をはじめ何度もリメイクされている名作です。2004年にSMAPの中居正広さん主演でドラマ化されたのは記憶に新しいですね。

ある日、蒲田駅の操車場で一人の男性絞殺死体が発見されます。被害者(緒形拳)は50~60代と断定されますが身元不明。彼の唯一の手がかりは証言による東北訛りと、会話の中に出てきた「カメダ」という言葉のみです。警視庁の捜査は難航し暗礁に乗り上げます。一度は継続捜査となりますが、捜査第一課のベテラン今西警部補(丹波哲郎)とその部下吉村刑事(森田健作)は諦めずに地道に捜査を続け、やがてある1人の人物にたどり着きます。

被害者男性が東北訛りだったという事と「カメダ」という言葉を手がかりに犯人像に迫っていきます。「方言」という言語学を巧く絡ませながら展開していくストーリーは、とても興味深く引き込まれてしまいました。また、ハンセン氏病患者に対する偏見なども物語の重要な軸の1つとして描かれています。かなりセンセーショナルな描き方ではありますが、当時の風潮を鑑みる事ができます。

とても見応えのある社会派ヒューマンドラマです。やりきれない切ないエピソードの数々に「こんな時代もあったんだ」と、遠い昔の話のような気になりますが、ほんの数十年前の話。今は亡き丹波哲朗さんの渋い演技も素敵です。

心に残る邦画のひとつ。おすすめです。

砂の器@映画生活
前田有一の超映画批評



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麻雀放浪記

2007年08月09日 | ★★★★


麻雀放浪記
おすすめ度
制作:1984年 日本
制作:角川春樹
監督:和田誠
原作:阿佐田哲也
脚本:澤井信一郎 和田誠
出演:真田広之 鹿賀丈史 名古屋章 高品格 加賀まりこ 大竹しのぶ


阿佐田哲也の同名小説を映画化した「麻雀放浪記」です。イラストレーターの和田誠氏初の脚本・監督作品です。映画は第1巻の「青春編」なんだそうです。

舞台は敗戦直後の東京上野。哲(真田広之)は終戦後も学校へは戻らずブラブラしていました。そんなある日、勤労動員の工場で働いていた時にバクチを教えてくれた上州虎(名古屋章)と偶然会います。虎に連れられてチンチロに足を踏み入れる哲。お金を殆ど持っていない哲は、プロのバクチ打ちであるドサ健(鹿賀丈史)に張ります。ドサ健のおかげで見事勝金を得ることができた哲でしたが、コーチ料としてほとんどドサ健にとられてしまいます。哲は、何故か対抗心と同時に奇妙な友情を抱くのでした。

これを初めて観たのは小学生の頃でした。80年代にモノクロというのが妙に印象的でした。勿論麻雀の知識なんて全くありませんでしたがヒューマンドラマとして充分に楽しめる内容でした。

先日BSで放映されていたのをばっちり観ました~っ。懐かしい!そして皆若い!!坊や哲、ドサ健、出目徳、 ゼゲンの達、上州虎などなど一癖も二癖もあるキャラクターが生き生きと活躍していてとっても魅力的です。久しぶりに観ましたがやっぱり素敵な作品でした。

麻雀放浪記@映画生活
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SAW ソウ

2007年08月08日 | ★★★★


SAW ソウ
おすすめ度
制作:2004年 アメリカ
製作:マーク・バーグ グレッグ・ホフマン オーレン・クールズ
監督:ジェームス・ワン
脚本:リー・ワネル
出演:リー・ワネル ケアリー・エルウェズ ダニー・グローヴァー モニカ・ポッター マイケル・エマーソン ケン・リョン

老朽化したバスルームで展開されるサスペンス・スリラー映画。オーストラリア出身の無名の若手二人組、監督のジェームズ・ワンと脚本と主演を勤めたリー・ワネルの作品「SAW」です。

完成度の高いオリジナルのストーリーは、良く練られていてとっても見応えがありました。最後の最後まで緊迫感を保ちながら衝撃的なラストを迎えます。作中に散りばめられたフラッシュバックシーンが効果的で、独特のテンポと緊迫感を生み出し、観るものを最後まで飽きさせない。若さと勢いを感じる作品でした。

いつもならここにあらすじを書くところですが、これ書いちゃうとまったく楽しくないんで、今回は割愛させていただきます。未見の方は是非先入観無しで見て頂きたい作品です。

この手の映画の続編は2・3と回を重ねるたびにクオリティは下がりますよね~(笑)続編は一応観ましたが…。気が向いたら感想アップします。乗りかかった船なので、一応新作が出たらまた観るとは思います。とりあえず今後も本作とはベツモノとして生暖かい目で見守っていきたいと思います。

ソウ@映画生活
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暖簾(のれん)

2007年08月07日 | ★★★★


暖簾
おすすめ度
制作:1958年 日本
制作:滝村和男
監督:川島雄三
原作:山崎豊子
脚本:川島雄三・八住利雄
出演:森繁久彌 山田五十鈴 乙羽信子 中村鴈治郎 浪花千栄子 中村メイコ 環三千世
 
昨日(今日?)偶然BSで観た「暖簾(のれん)」です。「白い巨塔」や「華麗なる一族」を執筆した山崎豊子の処女作を戯曲化したものを川島雄三が映画化した作品です。

大阪の昆布問屋に15歳から10年勤めた末、わけてもらった店の暖簾(のれん)を、天災や戦争による被害を乗り越え父子二代に渡って守り抜く姿を描いたヒューマンドラマです。

長年の働きぶりが認められ先輩の番頭を差し置いてのれんわけしてもらった吾平(森繁久弥)は、密かに想っていたお松(乙羽信子)ではなく、主人の姪千代(山田五十鈴)との結婚を余儀なくされますが、ふたりは力をあわせ、店を盛り上げていきます。ようやく店も軌道に乗り始めた矢先、大型の台風による水害で経営難に見舞われます。しかし、妻千代の「暖簾は大阪商人の魂。これ程確かな抵当はない。これを持ってもう一度銀行へ行きなさい。」と言うのです。その言葉に動かされた吾平は何とか銀行からの融資を受けることができます。やがて戦争が始まります。戦争は吾平達からすべてを奪い去ってゆきます。二人の息子はお国の為に戦地へ。後継者にと期待をかけていた長男は帰らぬ人となり落ち込む吾平。そんな時、戦地から戻ってきた次男が後を継ぐと言い出します。

「あー。何か古いのやってんなー。」とゆるーい感じで観始めた作品でしたが、ぐいぐいと引き込まれて気が付けばがっつりとはまって観ていました。

久々のモノクロ作品でした。森繁久彌、山田五十鈴、乙羽信子、中村鴈治郎、浪花千栄子、中村メイコ、環三千世などなど。昭和のスターが大勢出演しています。クレジットを観ながら「へー。」とか「ほー。」とか言いながら地味ーに感動していました。

暖簾を守る家族を通して発展・崩壊・復興を描かれた本作は、観ていて何となく元気になりました。最近の作品にはない泥臭さと迫力のある骨太な作品でした。

いいですねーオールドムービー。本当に久々だったので新鮮でした。


暖簾@映画生活
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M★A★S★H マッシュ

2007年08月06日 | ★★★





M★A★S★H マッシュ
おすすめ度
原題:M★A★S★H
制作:1970年 アメリカ
製作:インゴー・プレミンジャー
監督:ロバート・アルトマン
脚本:リング・ランドナーJr.
出演:ドナルド・サザーランド エリオット・グールド  サリー・ケラーマン トム・スケリット ロバート・デュヴァル

今までなかなかこれを書く気力がなかったのですが、再復活というわけで。(またかよ…殴)そしてテンションを上げていこうという思いを込め。(またかよ…殴)。ロバート・アルトマンの「M★A★S★H マッシュ」です

朝鮮戦争下の移動米軍外科病院M★A★S★Hに3人の軍医ホークアイ(ドナルド・サザーランド)、デューク(トム・スケリット)、トラッパー(エリオット・グールド)が配属されます。彼らは腕はピカイチの名医なのですが、やることなすこと全てが破天荒です。ハードな手術が終わると、寸暇を惜しんで下品なイタズラやくだらない事に夢中です。そんなある日、精力旺盛で有名なワルドウスキー大尉が、自分は潜在性のホモだと言い出し、自殺したいと告白します。そこで3人は、彼のために最後の晩餐会を開き、自殺できる薬といつわり、睡眠薬をのませます。そして婦長のディッシュ中尉(ジョー・アン・プフルーク)に彼を「看病」させるように仕向けます。翌朝すっかり自信に満ちた表情のワルドウスキー大尉と、満足げな笑顔で転任先へ移動する彼女の姿がありました。彼女の後任としてグラマラスなホーリハン少佐(サリー・ケラーマン)が着任しますが…。

まー。下品です。カトリックの神父の扱いだとか、女性の扱いだとか、軍隊の描き方だとか。大胆にそして下品に描写されてます。勇気ありますねー。全編を通し「これでもか」という程の馬鹿騒ぎぶり。テンション上げないととても観れたもんじゃあありません。

実はこの作品、友人がえらく(?)おすすめしていて期待して観たんですが、何となく肩透しを食らわされた感じでした。好きなタイプの作品ではあるんですが。個人的には、制作秘話の方が興味深かったです。

この作品は、当時配給会社が大枚をつぎ込み力を入れていた「トラ・トラ・トラ! 」や「パットン大戦車軍団」と同時期に制作されていた為、全く注目されていなかったそうです。それをいいことにアルトマンはやりたいようにやっちゃったわけですね。なんでも、お偉いさんに制作途中でラッシュを見せないために400万ドルの予算を更に50万ドル抑えて完成させてそうです(笑)大したもんです。

それから。

何てったってこの作品の見所のもうひとつは、あの生々しい手術のシーンですよね。リアルな手術シーンと全編コントばりの馬鹿馬鹿しい描写とのコントラストはシュールでとっても印象的です。リアリティを追求したアルトマンは本物の外科医をテクニカルサポーターとして招いたんだそうです。技術的なことはもちろん、血液の色にもこだわり、酸素を多く含んだ鮮血と、酸化した黒ずんだ血液の色を使い分け、かなりリアルに再現しています。

「あんな馬鹿騒ぎをして気を紛らわせなければ彼ら(医師)は正気を保つことが難しかった。」「世間での女性の扱い方を描いただけ。軍隊の中ではそれが顕著に現れるだけ。今(2000年)も当時から何も変わっていない。」「奇麗事でなく現実を描きたかった。」と語るアルトマン。

…男前です。

マッシュ@映画生活
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