徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

頭のない男

2007年06月21日 | ★★★

頭のない男
おすすめ度
原題:L'Homme sans tete
製作:2003年フランス アルゼンチン 18分
監督:フアン・ソラナス
出演者:アラン・オーシン アンブレ・ブケブザ サラ・テスクック ステファン・ボティ クリストフ・ボティ



カンヌ映画祭2003短編部門審査員賞受賞の「頭のない男」。



工場地帯の質素な一室。


愛しい人の写真を指でなぞり、電話をかける。


男は今夜彼女をロマンティックなパーティーに誘い、告白する決意をしているらしい。


そして、「勝負頭」を買いに出かけ


色々「試着」を試みますが、なかなか自分にぴったりの頭は見つからず・・・


結局頭の無いままデートへ

そして・・・


ハッピーエンド。

メデタシ、メデタシ


18分というとても短い作品。
CGを駆使したアニメーション映画。
少しくすんだアッシュな色見が退廃的にも見えるけど
それが作品のオトナな純愛と相まってなかなか良いカンジ。

いつも思うけど、一度観て
レビューを書くために画像を貼り付けたりする作業の中で
あー。この作品、いいねー。
と見直したりすることが多い。
この作品もそんな感じ。
あとからじわじわくる。

いいねえ。






ハイ・フィディリティ

2007年06月20日 | ★★★



ハイ・フィディリティ
おすすめ度
原題:HIGH FIDELITY
制作:2000年 アメリカ
製作・脚本・音楽監修:ジョン・キューザック
制作:ティム・ビーヴァン ラッド・シモンズ
監督:スティーブン・フリアーズ
脚本:D.V.デビンセンティス スティーブ・ピンク スコット・ローゼンバーグ
出演:ジョン・キューザック イーベン・ヤイレ ジャック・ブラック トッド・ルイーゾ リサ・ボネット キャサリン・ゼタ=ジョーンズ ティム・ロビンス

これも、迷いつつも長い間放置してた作品のひとつ「ハイ・フィディリティ」です。何気に豪華キャストな作品ですよね。

30代の独身男ロブ・ゴードン(ジョン・キューザック)は中古レコード店を経営し、それなりの毎日を送っています。ある日同棲していた弁護士の恋人ローラ(イーベン・ヤイレ)に突然出ていかれてしまいます。それを機に、これまでの辛かった失恋体験トップ5をリストアップします。そして、ローラに新しい恋人のイアン(ティム・ロビンス)がいることを知り大ショック。悩んだ挙句、ペニー(ジョエル・カーター)やサラ(リリ・テイラー)やチャリー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)ら、失恋トップ5の女性たちを次々と訪ね、自分の何が問題だったのかと問いただしていきます。

だめだめ男の心の旅です。ロブ・ゴートンはどこまでもどこまでもダメな奴です。女々しいんだもん。っていうか、男の人って皆そうなのかな?私なら別れて何年もたつ人にわざわざ会いたいなんて思わないなあ。失恋トップ5ってのは笑っちゃいましたが。

なーんて。ケチをつけちゃいましたが、楽しい作品でした。主人公、ロブもちょっぴりオトナになりましたし。なんてったってアノ人です。アノ人。ジャック・ブラック(爆)この人ホント凄いわぁ。凄い珍獣ぶりです。あと、挙動不振な不思議くんディックを演じていたトッド・ルイーゾ。気持ち悪くてよかったです(笑)あのレコード店のシーンはどれも楽しかったです。

原作とサウンドトラックが欲しくなりました。

ハイ・フィデリティ@映画生活
前田有一の超映画批評



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間宮兄弟

2007年06月19日 | ★★★


間宮兄弟
おすすめ度
制作:2006年 日本
制作:柘植靖司 三沢和子
監督・脚本:森田芳光
原作:江國香織
出演:佐々木蔵之介 塚地武雅 常盤貴子 沢尻エリカ 戸田菜穂

佐々木蔵之介と塚地武雅の2ショット。思わず「ツインズ」のアーノルド・シュワルツェネガーと、ダニー・デヴィートを彷彿させます。森田芳光監督の「間宮兄弟」です。

兄・明信(佐々木蔵之介)と弟・徹信(塚地武雅)は二人で仲良く暮らす間宮兄弟。二人とも独特のこだわりを持っています。お互いを大切に想い今の生活を楽しみながらも一方では恋愛に縁のない生活に疑問を持ちはじめます。ある日、ふたりは行きつけのレンタル屋さんの店員、直美ちゃん(沢尻エリカ)と、徹信の務める小学校の依子先生(常盤貴子)を誘ってカレーパーティーを開くことを決意します。頑張って彼女たちに声をかけるのですが…。

スコアを書き込みながらテレビで野球観戦したり、寝る前に反省会をしたり。商店街の中華店までグリコじゃんけんをしたり。いい年して子供のような兄弟。「そんな奴おれへんやろ~」とこだま師匠張りに突っ込みながら観ていましたが、えらく和んでいる自分がいたりなんかして。でも、間宮兄弟の住んでいるようなお部屋に遊びに行きたい、というか、ああいう部屋お家にひと部屋あったら楽しいだろうな…。と思っちゃいました。

真面目にきちんと生きている間宮兄弟。おだやかにのんびりとあんなふうに暮らせたら幸せだろうな。講釈やウンチク無しに観れるこういう映画が最近とても心地よいです。

あれ?私疲れてる??

間宮兄弟@映画生活
前田有一の超映画批評



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ゲロッパ!

2007年06月18日 | ★★★★★


ゲロッパ!
おすすめ度
制作:2003年 日本
制作:石原仁美
監督:井筒和幸
脚本:羽原大介井筒和幸
出演:西田敏行 常盤貴子 山本太郎 岸部一徳

井筒監督2003年の作品「ゲロッパ!」です。もう4年も前になるんですね。時が経つのは早いものです。

ヤクザ組長の羽原(西田敏行)は、刑務所収監を控え、大好きなジェームズ・ブラウンの名古屋公演に行けなくなってしまいます。落ち込んだ羽原は「組を解散する」と言い始末。見かねた弟分の金山(岸部一徳)は、子分に「ジェームズ・ブラウンをさらって来い」と、ははめちゃな命令をします。名古屋に向かった子分たちは、JBらしき人物を捕まえます。一方羽原は、25年前に生き別れた娘、かおり(常盤貴子)に会いに行きます。イベント会社を運営するかおりは、物まねショーの営業で愛知に出かけていました。

ナインティナインの岡村隆史がちょいと出てるというのも当時話題でしたね。日頃他の監督さんの映画をぶった切っり毒を吐き自らハードルを上げてしまった井筒監督(笑)そういう意味でも賛否両論のある作品ですが私は好きでした。

笑いは文化だ!観た後とってもハッピーな気分になれました。実は邪道にも数年前に旅行に行ったとき飛行機の中で観ました。人目をはばからず笑ってました。決して笑いに対してユルイつもりではないんですが(笑)西田敏行さん岸部一徳さんをはじめとする味のある役者さんが光ってます。

ちなみに、私この作品のあるシーンでうるっ。と来たんです。他の人に言ったら、「泣くところなんてあった??」と言われてしまいました。あれ??(笑)

観てない方は是非どうぞ。おすすめです。

ゲロッパ!@映画生活
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アナライズ・ユー

2007年06月17日 | ★★



アナライズ・ユー
おすすめ度
原題 : Analyze That
制作:2002年 アメリカ
制作:ポーラ・ワインスタイン ジェーン・ローゼンタール
監督:ハロルド・レイミス
脚本:ピーター・スタインフェルド ハロルド・レイミス ピーター・トーラン
出演:ロバート・デ・ニーロ ビリー・クリスタル リサ・クドロー ジョー・ヴィテレリ キャシー・モリアーティ

引き続き、アナライズ・ミーの続編「アナライズ・ユー」です。

収監中のマフィアのボス・ポール(ロバート・デニーロ)の様子がどうにもおかしい。躁鬱を繰り返しとっても不安定。そこで以前ポールを診ていたベン(ビリー・クリスタル)が登場です。ポールはベンの保護観察下におかれます。ベンは父を亡くしたばかりで落ち込み気味ですが、ポールの身勝手さがその気持ちに追い討ちをかけます。ポールを更正させようとしますが、どれもうまくいきません。ある日ギャングドラマの監修を依頼され引き受けますが、「リアリティがない」という事で昔の仲間を集結させます。一方、ポールの後釜・パティー(キャシー・モリアーティ・ジェンティエリー)たちとリガッチ(フランク・ジオ)のファミリーは抗争中で、両者ともポールを引き入れようと画策していますが…。

NG集を流していたエンド・クレジットは、ちょっとお得感あり。映画自体は前作より劣る印象です。残念!

アナライズ・ユー@映画生活
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アナライズ・ミー

2007年06月16日 | ★★★★



アナライズ・ミー
おすすめ度
原題:Analyze This
制作:1999年 アメリカ
制作:ポーラ・ワインスタイン ジェーン・ローゼンタール
監督:ハロルド・レイミス
脚本:ピーター・トーラン ケネス・ローナガン
出演:ロバート・デ・ニーロ ビリー・クリスタル リサ・クドロー チャズ・パルミンテリ ジョー・ヴィテレリ

もう10年近く前の作品ですが、今でもたま~に観たくなります。ロバート・デ・ニーロとビリー・クリスタルの豪華二枚看板のコメディ映画「アナライズ・ミー」です。

父の跡を継いでマフィアのボスになった、ポール・ヴィッティ(ロバート・デ・ニーロ)は、対立しているプリモ・シンドーネ(チャズ・パルミンテリ)との抗争を前に奇妙な発作に悩むようになります。ポールは信頼しているジェリー(ジョー・ヴィテレリ)の勧めで精神科医ベン・ソボル(ビリー・クリスタル)の元に向かいます。ポールは時間も場所もお構いなしにベンを呼び出し、遂にはマイアミでの再婚相手のローラ(リサ・クードロー)との結婚式もメチャクチャにされてしまいます。さすがに逆上するベンですが、ポールは新居に噴水を贈り、ベンと縁を切る兆しはありません。ある日そんなベンにマフィアを追うFBIが接近します。彼は強制され、隠しマイクを仕込まれてポールとレストランで会う羽目になりますが…。

テンポの良いコメディ映画です。あれこれ語るような作品ではないですねっ。なので、感想は単純!「おもろい!!」です。だってデ・ニーロが好きなんですもん(笑)ビリー・クリスタルも相変わらず達者ですし。俳優さんが好きかどうかってやっぱり大切ですね~。

アナライズ・ミー@映画生活
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オレンジカウンティ

2007年06月15日 | ★★★★



オレンジカウンティ
おすすめ度
原題:ORANGE COUNTY
制作:2002年 アメリカ
制作:ハーバート・W・ゲインズ スコット・ルーディン
監督:ジェイク・カスダン
脚本:マイク・ホワイト
出演:コリン・ハンクス ジャック・ブラック キャサリン・オハラ スカイラー・フィスク ジョン・リスゴー

観ようかな、どうしようかな…。といつも観るのが後回しになっていたおばかキャラが総動員のコメディ映画「オレンジカウンティ」。やっと観ました。

南カルフォル二アのオレンジ郡に暮らすショーン・ブラムダー(コリン・ハンクス)はサーフィンに、ビーチバレーに仲間と楽しく過ごしている高校生です。ある日、悪天候の中で海に出た仲間を亡くします。友達を偲び落ち込むショーン。そんな中、砂浜に捨てられた小説を偶然手にしたショーンはその作品に感銘を受け、小説家になることを決意します。そして、小説の作者スキナー氏のいるスタンフォード大学進学を目指すことを決めたシェーンですが…。

ジャック・ブラックの振り切れたバカ兄貴ぶり、最高です。彼は本当に強烈な役がハマりますよね。ばかすぎて大笑いしました。

ノンクレジットのチョイ役でしたが、小説の作者スキナー演じるケヴィン・クラインがカッコよかったです。

主演のコリン・ハンクスがとっても爽やかでしたね。彼がトム・ハンクスの息子さんだと初めて知りました(恥)

シンプルに楽しめる作品ですね。とっても爽やかな気持ちになる青春コメディ映画でした。

オレンジ カウンティ@映画生活
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地球は女で回っている

2007年06月14日 | ★★★




地球は女で回っている
おすすめ度
原題:Deconstructing Harry
制作:1997年 アメリカ
制作:ジーン・ドゥーマニアン
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン キャロライン・アーロン カースティ・アレイ ボブ・バラバン リチャード・ベンジャミン エリック・ボゴジアン ビリー・クリスタル

「ライフ・イズ・コメディ!ピーター・セラーズの愛し方」を観て、思わず思い出してしまった作品。「地球は女で回っている」です。不連続シリーズ「愛すべきダメ男」モノです(笑)

舞台はNY。自分の私生活をネタにして数々のベストセラーを輩出してきた小説家、ハリー・ブロック(ウディ・アレン)は、最近スランプ気味。ある日、三番目の元妻であるジェーン(エイミー・アーヴィング)のルーシー(ジュディ・デイヴィス)が、ハリーの元に怒鳴り込んでくる。自分たちの関係をハリーが著作の中で暴露したのです。翌日、精神分析医を訪れたハリーは、書きかけの短編の内容を打ち明けます。それはひとりだけピントがボケてしまう俳優メル(ロビン・ウィリアムス)の話でした。その後、精神分析医をしている二番目の元妻ジョーン(カースティ・アレイ)の元に向かったハリーは、明日、母校で行われる自分の表彰式に息子のヒリー(エリック・ロイド)を連れて行きたいと頼んだが、断られます。

病んでます(爆)ウディ・アレン演じる小説家ハリー、どうしようもなく情けないキャラクター。でもどこか憎めない。ばかばかしい演出や、ユーモア満載でアレン節炸裂。しょーもない。だけど観てしまう(笑)ウディ・アレンには、ついついやられてしまいます。


地球は女で回っている@映画生活
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ライフ・イズ・コメディ!ピーター・セラーズの愛し方

2007年06月13日 | ★★★★



ライフ・イズ・コメディ!ピーター・セラーズの愛し方
おすすめ度
原題:The Life and Death of Peter Sellers
制作:2004年 イギリス アメリカ
制作:フレディ・デ・マン
監督:スティーヴン・ホプキンス
脚本:クリストファー・マーカス
出演:ジェフリー・ラッシュ シャーリーズ・セロン ジョン・リスゴー エミリー・ワトソン ミリアム・マーゴリーズ スタンリー・トゥッチ スティーヴン・フライ

名優ピーターセラーズの俳優人生を描いた作品「ライフ・イズ・コメディ!ピーター・セラーズの愛し方」です。

1950年代、イギリスのラジオ番組へ出演していたピーター・セラーズ(ジェフリー・ラッシュ)は、母(ミリアム・マーゴリーズ)の強い勧めで、オーディションを受けまくり諦めかけていた映画俳優の夢を叶えます。ある日ピーターは、共演者のソフィア・ローレンに恋をします。それをぬけぬけと妻に宣言するピーター。呆れた妻は遂に家を出て行ってしまいます。失意のなか、「ピンクの豹」のクルーゾー警部役が舞い込んできます。映画は見事大ヒットし、私生活では美人女優ブリットと結ばれ幸せいっぱいのピーター。しかし、突然心臓発作で病院へ搬送されてしまいます。何とか一命を取り留めたピーターですが、その頃からコメディを卒業し、シリアスな正統派役者としての道を進もうとします。

ピーター・セラーズは私のお気に入りの役者さんの一人です。本当に素晴しい役者さんだと思います。何とも絵に描いたような「愛すべき役者バカ」ですねー。物凄い女好き(笑)そして懲りない(爆)(亡くなるまでに4人の女性と結婚しています)正直こんな無茶な人だとはこの作品を観るまで知りませんでした。

いやあ、笑いました。見事なピーター・セラーズショウでした。ジェフリー・ラッシュ恐るべし!実在する(した)作品の性格上、映画界の大物監督や名作がたくさん出てきます。博士の異常な愛情のくだりはそっくりすぎて笑っちゃいました。男前すぎるキューブリック。そして、しゃくれ過ぎてるブレイクエドワーズ(いいぞ!ジョン・リスゴー!!笑)。

いやいや楽しい作品です。観終わった後若干テンションが上がっちゃってる自分がちょっと恥ずかしい(笑)とりあえず、まだ観てないピーター・セラーズ出演作品をのんびりとチェックしてみたいと思いました。

ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方@映画生活
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カポーティ

2007年06月12日 | ★★★


カポーティ
おすすめ度
原題:Capote
制作:2005年 アメリカ
制作:キャロライン・バロン マイケル・オホーヴェン ウィリアム・ヴィンス
監督:ベネット・ミラー
脚本:ダン・ファターマン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン キャサリン・キーナー クリフトン・コリンズ・Jr マーク・ペルグリノ クリス・クーパー ブルース・グリーンウッド

トルーマン・カポーティを描いた伝記映画「カポーティ」です。代表作の「冷血」を取材して書き上げるまで描かれています。

1959年、カンザス州の小さな町で、一家4人が惨殺されるという事件が起こります。ニューヨーク・タイムズでこの事件を知ったカポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は興味を持ち、幼馴染のハーパー・リー(キャサリン・キーナー)と共に現場に向かい、事件について調べていきます。ある日、ついに犯人2人との接触に成功します。犯人のひとりペリー・スミス (クリフトン・コリンズ・Jr)と触れ合ううちにカポーティは創作意欲を掻き立てられ、間もなく「冷血」の執筆をはじめます。しかし、ペリーは肝心な犯行時のエピソードは話してくれません。そんな中、二人の「死刑」も延期を繰り返され次第に追い詰められていくカポーティですが。

カポーティの苦悩を描いた作品です。「作品を書くため」なのか「友情」なのか。観ていてわからなくなります。凄い話ですよね。作品を仕上げるために弁護士をつけ死刑執行を先延ばしにさせるカポーティ。しかしいざ、小説が仕上げの段階に向かうと彼らの死を願うようになる。カポーティのエゴにより結果として彼らの生死をコントロールしているようにも映ります。

そんなカポーティの執筆時の苦悩や繊細さなどが丁寧に静かに描かれています。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は確かに素晴しいものだと思いますが、映画としては好みがハッキリ分かれるタイプの作品だと思います。


カポーティ@映画生活
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太陽

2007年06月11日 | ★★★★




太陽
おすすめ度
原題:Solntse
制作:2005年 ロシア
制作:イゴール・カレノフ アンドレイ・シグレ マルコ・ミュラー
監督・撮影:アレクサンドル・ソクーロフ
脚本:ユーリ・アラボフ
出演:イッセー尾形 ロバート・ドーソン 佐野史郎 桃井かおり つじしんめい田村泰二郎 ゲオルギイ・ピツケラウリ 守田比呂也 西沢利明 六平直政

アレクサンドル・ソクーロフ監督の「太陽」です。これ、ずーっと観たくて。この度やっと観ることができました。この作品、本来なら日本で撮るべき内容なのでしょうが、自国だからこそ難しい、デリケートなテーマですよね。

1945年終戦直前。地下防空壕で天皇裕仁(イッセー尾形)が朝食を摂るシーンからはじまります。ラジオからは劣勢の戦況が伝えられ、天皇はそれを止めるよう侍従役(佐野史郎)に伝えます。御前会議で終戦を示唆する発言をした後、研究所での生物学研究に没頭する天皇。間もなく終戦を迎え、いよいよマッカーサーと対面することとなります。

昭和天皇が実際にどんな仕種なのかあまり記憶がありませんが、あのゼスチャーはそっくりなんだそうです。私は、オーバーリアクションなんじゃなかな?と感じていたですが。どちらにせよ、イッセー尾形の演技は素晴しかったです。「あ、そう。」という口癖。その短い相槌言葉の中に色々な気持ちが込められています。時折コミカルな描写があり、多少の違和感は感じますが、天皇の悲哀・苦悩がひしひしと伝わってきました。「現人神」と奉られ、敗戦後には「人間宣言」。天皇自身、時代に翻弄され、波乱の人生を強いられたひとりだったんだと改めて実感しました。「ひとりの人間としての天皇像」を描いたアレクサンドル・ソクーロフ。この作品を観ることが出来てとてもうれしく感じます。

限りなくモノクロに近い独特な映像、戦火の表現も秀逸です。この作品を観て、ヒトラーを描いた「モレク神」、レーニンを描いた「牡牛座」も是非観てみたいな、と思いました。

太陽@映画生活
前田有一の超映画批評



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悪い男

2007年06月10日 | ★★★★



悪い男
おすすめ度
原題:Bad Guy
制作:2001年 韓国
制作:イ・スンジェ アン・サンフン
監督・脚本:キム・ギドク
出演:チョ・ジェヒョン ソ・ウォン チェ・ドンムン キム・ユンテ キム・ジョンヨン

引き続きキム・ギドク監督モノで。「悪い男」です。この作品監督曰く「男の願望」なんだそうです。わお。

喉に古傷を負い言葉を発することのできないヤクザ、ハンギ(チョ・ジェヒョン)は、ベンチに腰掛ける清楚な女子大生ソナ(ソ・ウォン)に一目惚れします。ボーイフレンドと待ち合わせをしていたソナは嫌悪感を露にしながらその場を去ろうとしますが、ハンギは強引にソナの唇を奪い、パニックに。その後、ハンギはある計画を立てます。書店で、ソナの真横に財布を置きその場を去ります。ソナは出来心でその中身を抜き取ってしまいます。しかし持ち主に捕まり責められ多額の借金を背負ってしまいます。支払不能な彼女は、ハンギの仕切る売春宿に売り飛ばされてしまったのです。ハンギはマジックミラー越しに、娼婦へと変わっていくソナを見守ります。

愛に不器用な男の究極の愛情表現。台詞が殆ど無かったチョ・ジェヒョンの圧倒的な存在感、圧巻です。ソ・ウォン演じる可憐で美しい女子大生を罠にかけ人生を大きく変えてしまいます。不条理で、歪んだ愛情でとんでもない話なのですが、不思議と物語が進むに従い引き込まれていきました。


雨の繁華街の映像、海辺のシーン、ソナの部屋を静かに見つめるマジックミラーの世界。美しい映像も心に残ります。

…キム・ギドクってスゴイ…!

悪い男@映画生活
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悪い女~青い門~

2007年06月09日 | ★★★★



悪い女~青い門~
おすすめ度
原題:Birdcage Inn
制作:1998年 韓国
監督・脚本:キム・ギドク
出演: イ・ジウン イ・ヘウン アン・ジェモ チョン・ヒョンギ ソン・ミンソク チャン・ドンシク

いつもお世話になっている映画と暮らす、日々に暮らす。の管理人vivajijiさんおすすめのキム・ギドク作品を観よう!ということでTSUTAYAへ行ってきました(笑)キム・ギドク監督作品「悪い女~青い門~」です。この作品の邦題タイトルって何で「悪い女」なんですかね?原題のままのほうが良かったのに…。

ジナ(イ・ジウン)は、ポハン(浦項)のセジャン(鳥篭)旅人宿にやってきます。そこには、父(チャン・ハンソン )・母(イ・イノク)・女子大生ヘミ(イ・ヘウン)・高校生ヒョンウ(アン・ジェモ)の4人の家族が暮らしています。ヘミは家の商売が嫌で、娼婦を毛嫌いしています。そのせいか、どうしても性に対して積極的になれません。恋人のジノ(ソン・ミンソク)に求められても拒否し続けるヘミ。ある日、店に来たジノと関係を持つジナ。そればかりか、父と高校生のヒョンウまでももジナとも関係を持ってしまいます。ヘミはそれを知ってしまいます。

夜ごとに客をとる娼婦と、恋に勉強に、充実した日々を送る女子大生、二人は同い年の女性です。ヘミはビックリするくらい分かりやすくジナを拒絶します。どんなに彼女を軽蔑しても、自分たちが彼女のお陰で生活しているのも事実。

ジナのバックボーンについては殆ど描かれていませんが、彼女は孤独で、皆「娼婦」としてしか彼女を見ません。作中ではこれでもか!と言わんばかりに不幸な事件が彼女を襲います。ジナは基本的に全てにおいて受身です。皆ジナをどこかで見下しつつも依存しています。彼女を抱く男たちも、ヘミ一家も。

最後、ヘミはジナに少しづつ歩み寄り友情が芽生えます。この作品の唯一の救いです。ヘミ一家とも馴染んでいくジナ。あの最後の歯磨きのシーン。あの一家団欒風な雰囲気。すごくシュールです。

どうでもいいことかもしれませんが、金魚は海に放すと死んじゃうのでは…?

悪い女@映画生活
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ヒトラー~最期の12日間~

2007年06月08日 | ★★★★★




ヒトラー~最期の12日間~
おすすめ度
原題:Der Untergang
制作:2004年 ドイツ イタリア オーストリア
制作・脚本:ベルント・アイヒンガー
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:ブルーノ・ガンツ アレクサンドラ・マリア・ララ コリンナ・ハルフォーフ ウルリッヒ・マテス ユリアーネ・ケーラー

「独裁者」といえば真っ先に浮かぶ人物がこの人。ヒトラーの女性秘書を務めていたトラウドゥル・ユンゲの証言と歴史書を元に描いた「ヒトラー~最期の12日間~」です。

1945年ソ連軍に攻め込まれベルリンは陥落直前です。ヒトラーとその側近たちは、総統官邸の地下要塞に避難します。追い詰められたヒトラーは遂に正気を失います。わずかに残った軍勢に戦況の挽回を命じ、戦況はさらに悪化。そんなヒトラーを前に究極の選択を迫られる側近たち。最期まで運命を共ににしようとする者、逃亡を企てる者、酒に溺れて現実逃避する者。そんな一部始終を間近で目撃していた総統付き秘書のユンゲは、ある日、ヒトラーから遺書の口述筆記を依頼されます。

今まで観てきた実録系映画の中で、私の心に残るベスト3に入る作品です。

アドルフ・ヒトラーという人物には以前から興味があって、いくつかドキュメンタリーや記録映画を観てたんですがヒトラー像がいまいちだったんです。そんなヒトラーの「人間像」を描くという、しかもドイツで。色々なタブーを超えて作られた話題作。絶対に観なきゃ!と当初から、かなり期待していました。

とにかく完成度が高いです。ヒトラーの自害以降の幹部たちの最期も克明に描かれ、映画の終わりには、晩年のユンゲ本人が登場してヒトラーのことを語るシーンもあり、まるで質の良いドキュメンタリーを観ているような感覚になります。

ブルーノ・ガンツ演じるヒトラーは凄いです。彼の演技は鬼気迫るものがあります。ちなみに、ドイツ人俳優がドイツ語でヒトラーを演じるのはこの作品が初だそうです。この作品で初めて知った女優さんですが、秘書ユンゲを演じたアレクサンドラ・マリア・ララも可憐で素敵でした。

色々な意味で凄い・濃い作品です。

ヒトラー~最期の12日間~@映画生活
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ラストデイズ

2007年06月07日 | ★★



ラストデイズ
おすすめ度
原題:Last Days
制作:2005年 アメリカ
制作:ダニー・ウルフ
監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント
出演:マイケル・ピット ルーカス・ハース アーシア・アルジェント キム・ゴードン ハーモニー・コリン

ニルヴァーナのヴォーカリスト、カート・コバーンをモデルに最後の日を描いた作品「ラストデイズ」です。

グランジ・ロックの代表的なヴォーカリストブレイク(マイケル・ピット)。彼はプレッツシャーと薬物中毒の治療で廃人寸前になっています。病院を抜け出し、森を徘徊してある家にたどり着きます。

モデルになったカート・コバーンの衝撃的な死の前に、ガス・ヴァン・サントの友人リヴァー・フェニックスを亡くし、大きなショックを受けていた彼は、2人の死をきっかけにこの作品を作成するきっかけとなったそうです。

う~ん。




う~ん。

ふわっふわしてました。全編を通して何とも危うい感じがして目を離せない感じ。「何か起こるんじゃないか」とかいう気がして、とりあえず寝ないで最後まで観ました。はい。脚本無し、あくまでも自然に。とても詩的な表現で。芸術的でした。はい。

正直私は駄目でした(笑)

ラストデイズ@映画生活
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