習近平主席は、北京で朴槿恵大統領と6月27日に会談して対話と協議を通じて問題を解決し、平和と朝鮮半島の安定を守ることを強調しました。北朝鮮に一番影響力のある中国と北朝鮮が最も利害を有する韓国が半島の平和に向けて合意した意義は大きいと思います。J
日本では、アメリカに続いて両国が「日本はずし」をしたとか、相変わらずうがった報道ばかりでしたが、孤立する日本は、今回の中韓両国の平和外交を受け6月28日に北朝鮮へのミサイル破壊命令を、ようやく秘かに解除したそうです。日本は北朝鮮が前回のような通告もまだしていないのに、早々に4月7日に自衛隊に北朝鮮の人工衛星とも称するミサイルを迎撃する「破壊措置命令」を出したといわれていますが、安倍政権は「我が国の手のうちを明かすことになる」との詭弁で、破壊命令の発令を公式表明していないので、今回の解除も公式発表をしないのだそうです。しかし、実際にはマスコミが発表しているというおかしな政治を継続しています。挙動不審な国とも思われないでしょうか。
中国の李克強首相が、ようやく日本の政治関係者(鳩山元首相)と会談をし、対話路線のきざしが見えたようですが、安倍首相は、また、この成果さえも否定するのでしょうか?。P
日本は、挙動不審どころか、立派にナショナリズムの復活を目指していて、美しく強い日本国の復活を目指しているのではなかったのですか??。J
それが、右傾化と批判もされています。また、各国にセールス外交をする一方で、気がつけば、足元の対北東アジアと対アメリカで対話をとざしており、安倍政権のナショナリズムは北朝鮮にも負けないと言う人もいます。P
先般の毎日新聞のインタビューで「安倍政権の右傾化」への懸念を示した田中均・元外務省アジア大洋州局長に対して、安倍首相は11年前、北朝鮮との拉致外交に携わった際、かつての外交官僚の田中氏と意見対立があったことを6月12日の安倍首相のフェイスブックで明かして批判を加えました。
「彼に外交を語る資格はありません」とまで暴言めいたことも書き込みました。この発言について、民主党の細野幹事長は「田中氏は一民間人。表現の自由を有している。」と批判し自民党内からも小泉進次郎青年局長が「個人の名前を挙げて反論、批判をすべきではない」と批判するなど、安倍氏のフェイスブック発言には、各方面からの非難が相次いだそうです。
また、6月9日に東京・渋谷で行なわれた安倍首相の街頭演説終了後、フェイスブックに「演説を左翼に妨害された」とも安倍首相は書き込んでいました。(それは後日削除したそうです)。しかし、野次を飛ばして妨害していたと非難されたのは、実は同時刻に近くで街宣をしていた反TPP(環太平洋経済連携協定)を訴える保守系も含む超党派の運動団体の演説だったことが判明したから削除したのだろうと言われています。
復興庁で被災者支援に当たる幹部職員の水野復興庁参事官が、3月に自身のツイッターで「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席」「今日は懸案が一つ解決。正確に言うと、白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意しただけ」などと暴言めいたことを書き込んでいたことが発覚して、各方面から非難されましたが、安倍首相の基本認識もこれと同種なのでしょうか??.
自分に反対する勢力は全て左翼とレッテルを張る認識では、「安倍首相が自らの右傾化を証明している」と言われてもしかたありません。P
暴言と言えば、橋下大阪市長の暴言を受けて、国際連合の拷問禁止委員会は5月31日、旧日本軍の「慰安婦」問題について、「公人による事実の否定、否定の繰り返しによって、再び被害者に心的外傷を与える意図に反論すること」を日本政府に求める勧告をまとめました。日本政府への勧告は、「国政および地方の高官や国会議員を含む政治家が本件事実を公に否定し、被害者に新たな心的外傷を与え続けている」と指摘し、「即時かつ効果的な立法的・行政的措置をとるよう」求めたものです。(その種の暴言は慰安婦の心の傷に塩を塗りこむ行為だと批判する人もいます。)
5月7日の参院予算委員会では、 民主党の鈴木寛氏が、東京・新大久保や大阪・鶴橋で繰り返されている「朝鮮人を殺せ」などとヘイトスピーチ(憎悪表現)を連呼するネトウヨのデモを念頭にした質問をし、それに答えた安倍首相は人種や宗教などで、ある集団をおとしめたり暴力や差別をあおったりする行為が国内で急増している日本について、(それに首相自らが間接的に関与している疑惑には答えず)「日本人は和を重んじ、排他的な国民ではなかったはず。どんなときも礼儀正しく、寛容で謙虚でなければならないと考えるのが日本人だ」「一部の国、民族を排除する言動があるのは極めて残念なことだ」と述べていました。
また、首相自身が使っているフェイスブックにも同様のコメントが読者から寄せられていることも認め、「他国の人々を誹謗中傷し、まるで我々が優れていると認識するのはまったく間違い。結果として自分たちを辱めている」と、自身のフェイスブックに掲げる記事の内容について反省めいた話をしたばかりの安倍首相でしたが、今回の橋下暴言を戒めた国連機関の勧告には、「従わない」という結論を出してしまいました。やはり、橋下暴言と安倍首相の慰安婦問題への認識は同根だったのでしょうか?。
(安倍首相は、ヘイトスピーチを行う人々を単に批判したに過ぎません。しかし、もし日本の誇りを取り戻したいと主張するなら、他国の誇りをも尊重しなければならないのです。慰安婦問題や靖国問題への態度で、他国の誇りを大きく傷つけている自らの行動には全く言及も反省もしていません。)
しかも、橋下氏は、アメリカ軍への侮辱発言は撤回しても慰安婦への侮辱は撤回していないのだそうです。強いアメリカには媚びて、沖縄県に配備されているオスプレイの一部訓練を、八尾空港で受け入れる提案までしました。(住宅密集地の八尾市には、本当にいい迷惑です。)
今日のアメリカでは、女性兵士の3~5割が軍隊内においてレイプされているという報道もありました。実際イラクとアフガニスタンに派遣されたアメリカの女性兵士のアンケート結果では、33.5%がアメリカ軍内でレイプされ、63.8%が性的いやがらせを受けたと回答したとの報道もありました。日本でも1989年から2011年までの23年間で、アメリカ兵による日本人市民へのレイプ事件の検挙件数は全国で67人もいて、うち沖縄県は33人もいるそうです(親告犯の検挙数ですから実際の被害数はこの数倍とも言われます。)
橋下氏が正義を気取るなら、アメリカ軍への発言は撤回すべきではなく、慰安婦の発言の方を撤回すべきでした。オスプレイでアメリカの機嫌をとりたいなら、(決して許可はされないでしょうが)自費で借り受けチャーターしてホワイトハウスをオスプレイで上空旋回してアメリカに乗り込んでいきたいと言えば、パーホーマンスとしてアメリカ人の受けも良かったはずです。「強いアメリカに媚びて、弱い慰安婦を苛めているような卑劣な男になったことは本当に残念だった」とがっかりする橋下氏支持の若者も意外に多いようです。)
第二次安倍政権をもたらした、現在の日本の空気は、歴代の日本の政権の中でも極めて右翼的状況で危険だと言う人もいます。第ニ次安倍内閣の閣僚4人が靖国に参拝し安倍首相が「真榊」の供物を「内閣総理大臣」名で奉納した直後の今年の春季例大祭は過去に例のない国会議員168人の靖国集団参拝という異常な社会現象さえ日本にもたらしました。
しかし、安倍首相の主張とはアべコベに、そんな右傾化した日本は従来の国際政治関係からみると(北東アジアやアメリカでは)大きく政治的影響力が後退しました。実際、韓国の世論調査(6月27日の中韓首脳会談の前)では、「日韓関係より中韓関係が重要」と答えた人が83.0%に上りました。また「朝鮮半島の平和と安定のために最優先で協力すべき国家」は、米国が46.0%で1位、2位は中国で28.9%でした。従来は批判があっても重視されてきた日本との協力関係はわずか1.9%にまで低下しました。
1昨年人民報に掲載された、旧日本軍の服装と旗による参拝
右派と左派の定義がよく分かりません。韓国では、大統領選で左派陣営を破った朴槿恵大統領は右派なのでしょうか、習近平は左派とも言われていますが??J
1957年に毛沢東の反体制狩りが反右派斗争と呼ばれたことで有名ですが、日本では左翼のような反体制派が、中国では、右派とも右翼とも呼ばれてきました。日本と真反対の言葉の定義で使用されているのは不思議なことです。
それは中国も日本も政党を機軸にするから定義がおかしいのです。中国政府首脳が、共産党が絶対で反体制市民を右翼とレッテルを貼るのと同じロジックで安倍首相は、自民党が絶対で、反体制の市民は左翼とレッテルを貼っているのです。日中は真逆のようですが、実質は日中の政権首脳の両者に共通するロジックは民衆市民へのレッテル張りであり、その背景にあるのは独裁志向の思いあがりであり、傲慢な政治姿勢とも思います。無党派市民は立場と状況で、時には右派にもなり、時には左派にもなるものです。
本来は、左派や右派の定義は、政治を行う立場のスタンスであり、左派とは通常民衆よりで「より平等な社会を目指し、急激な社会変革(社会主義的)な思想を支持する層」であり革新派とも呼ばれ、右派とは、通常支配層よりで「より保守的な格差社会を目指し、国粋主義的(ナショナリズム的)な思想を支持する層」で保守派とも呼ばれ、現実社会の合理性を急進的な改革よりも尊重する立場です。
欧米などでの正しい概念とは違い、日本も中国も、この概念を全く違えています。ナショナリズムに染まり右傾化・保守化している中国や韓国が日本を右傾化などと非難する資格は実はないのです。
特に民主化が遅れているアジアでは、伝統的な官僚支配や階層支配が残っていることも考慮しなければなりません。民衆の立場から乖離した体制は基本的に右翼体制です。ギリシャ語でデモス・人民のクラシア支配が民主主義の語源であり人民・民衆の政治支配体制が民主主義であり、フランス革命後の国民議会で人民政府の樹立を求める人民派が左座席に、貴族派の旧支配体制が右座席に座っていたことから由来しています。
そして右派の国の支配層は旧支配体制を強制維持するため現実的に体外的な国の防衛を維持する軍事実権と常に結びつきます。中国の支配層は共産官僚と言われますが、常にその背景には警察官僚と人民軍がいます。そういう意味では決して、中国は左翼体制ではないのです。北朝鮮の世襲支配も警察官僚と軍隊によりささえられた独裁的右翼体制です。日本と韓国は一定の民主化は進みましたが、支配階層は特殊です。政治官僚と政財界は癒着し警察官僚によりささえられておりますが、軍事支配の実権はまだ国にはなく、アメリカ軍によって支えられた保守体制です。
欧米流の定義で正しく言えば、習近平体制も金正恩も朴槿惠政権も実は体制保守の右派です。日本政治はさらに特殊で複雑です。戦後にアメリカ傀儡とも言われた自民党政治は自由と民主主義を党名に掲げて標榜しているのに、実態的には、その支援組織には戦前から続く靖国派等の右翼的支持層を含む自民党中心の政権独裁を遂行してきた体制保守であり、その対極で反体制で戦前から弾圧された歴史のある日本共産党が共産主義を標榜しているのに「自由と民主主義」を体現してきた戦後の日本の民主的市民勢力の運動の最大の応援部隊の役割を実態的には、果たしているのです。
安倍政権も実は大変な右翼政権でアジアの一角で強国を志向する4国は、政治形態は別にして、右傾化した保守政治と言う点では共通しており、しかも、トップが世襲政治家で、民衆の代表ではなく支配勢力階層の代表である点までも実は共通しているのです。
一方でアメリカでは、同姓婚も認めようとする民主党のオバマ大統領は左派であり共和党が右派です。欧州では労働党政権や社民党政権は普通、左派と呼ばれます。連立を組む政党が中道とも呼ばれますが、中道政党が組む側は殆ど左派か右派で、政権に中立ということはあり得ません。
フランス社会党のオランド大統領政権やイタリア共産党(PSI)代議院議員団長を歴任した(現民主党)ナポリターノ大統領政権は左翼政権とも呼ばれます。欧米では、左派政権と右派政権が選挙で交代して政策を競いますが、韓国は別にして、中国は党官僚の独裁で北朝鮮は世襲の軍事官僚独裁体制で、形態は民主国家の日本も実態は官僚が牛耳っており、民主化のレベルや政治形態は大きく違うにしても、政権が変わっても国の政策は、あまり変わらないと言う点では、日本と中国と北朝鮮は共通していると言われています。P
今日の韓国では選挙で多くが変わります。選挙では政策論議がきちんと行われ、国民は大きな選択をします。そのかぎりでは、韓国民衆の勝ち取った民主制度は、もう欧米並みともいえるのでしょうか?。J
朴槿恵大統領 中国精華大学演説
「人生在世、只求心安理得就好了」(世を生きるにおいて、道理から外れず、安らかな気持ちを持って生きていけば良い)
と訪中前の大統領府で中国CCTVのアナウンサーに漢文(中国語)入りのサインを朴槿恵大統領が渡したことも話題になりました。