日本人の偏見は、中韓に対するものに留まらないようです。週刊文春の5月8日・15日号では、オバマ大統領を「今週のバカ」としてあしらっています。しかし、アメリカンジョークで寛容なアメリカにおいても、露骨に「バカ」と罵倒されるのは本当に失礼な話でもあるようです。3月には安倍首相も酷評した適菜収氏のコラムですが、相手は紛れもなく大統領である最高位の人物です。朴槿恵大統領の批評時もそうでしたが、その国の代表者たる人物への侮辱行為は安倍首相のアベノミクスが経済評論家にアホノミクスと揶揄されるのとは次元が違います。しかも、今回、日本国が国賓として、もてなした大統領です。仮に今上天皇に対して「バカ」とか言う人格的な侮辱をして外国の権威ある紙面が揶揄したと想像したら、どうでしょうか?やはり日本国民のプライドは損なわれるでしょう?。
しかも、何を批判しているのか思いきや、「(鮨を)半分は残したそうな」「迎賓館に泊まらないと言い出すし」「ミッシェルはついてこなかった」「(ミッシェルは)二人の娘を連れて中国を訪問し、習近平と会っている」「朴槿恵と会談、共同記者会見で、慰安婦問題について「甚だしい人権侵害だ」と言い放った」など、空虚なオバマ批判ばかりでした。
文春に限らず、日本の週刊誌でのオバマ訪問の報道は、日本が国賓扱いにして天皇との会談までセットしたのに、中国は訪問しても日本には来なかった、ミッシェル批判と、オバマとミッシェルの夫婦危機など、もっぱらコシップ記事ばかりで内容のないものが多数ありました。日本のネットに至っては、オバマ発言は勉強不足だとかオバマ発言は韓国やマスコミの捏造だとまで言うようなうがった意見ばかりが大量に溢れています。
対中国に対しても、オバマ政権は人権批判も厳しく行いますが、一方で好意的なのは、なにもオバマ大統領の異母の弟が中国人と結婚して中国に住んでいるからでもありません。今日、アメリカ貿易の輸入先は隣国カナダを抜いて中国がトップであり、アメリカの輸出先でも日本を抜いて、経済的には、日本以上に重要なパートナーになっているからです。
1990~2010年のアメリカ貿易推移
オバマ大統領は、アメリカ史上初めての黒人大統領で、ノーベル平和賞も受賞、しかも、もう二期目であり、決して「バカ」などではなく、近年まれに見る非常に優秀な逸材と言われています。苦労してハーバード大学ロースクールも卒業したエリート弁護士ですが、両親は早く離婚し父の思い出もあまりない家庭環境で、幼少期はアメリカ本土外で育っています。アメリカ、シカゴ大学ロースクールで憲法も講義した大学講師の顔も持っています。その主要なバックは、共和党のように軍需産業や大企業や富裕層に偏っておらず、弁護士らのエリートから、黒人を初めとする非白人層や低所得層まで、幅広く草の根に依存しています。
今回の訪日では、TPPの閣僚協議では合意に至らず、オバマ大統領が離日する寸前に「合意に向けて大胆な措置を講じる決意がある」という共同声明を出す形となりましたが、従来のアメリカの立場の踏襲とは言え、「尖閣諸島への日米安保の適用」と言う言葉を日米共同声明に明記して日米間で確認したことは、大変大きな、日本へのプレゼントでした。(同時に「対話を通じて平和的解決をめざすべき」ともオバマ大統領は言いました。)
「日米両国民は、太平洋という広大な海を挟んでいますが、日々あらゆる分野で協力しています。私たちは共に創造し、つくり上げることにより、世界を変える新たなイノベーションを生み出します。共に学び研究して、病気を治療し命を救う新たな発見をします。平和を維持し、空腹の人々に食べ物を提供するため、共に世界の果てまで出かけます。宇宙の神秘を理解するため、共に宇宙にも行きます。日本人選手が大リーグのチームの勝利に貢献した時のような喜びの時にも、三年前のようなつらい時にも、私たちは共にいます。(晩餐会でのオバマ大統領の言葉から」
7才の時ハワイからインドネシアに向かう途中、日本に三日間滞在した経験もあるオバマ大統領は、エドワード・ケネディ上院議員とともに二十歳のとき原爆記念館を訪れて、心を揺さぶられた、と発言していたキャロライン・ケネディ弁護士を、日本大使に据えたことからも、その親日的な姿勢と平和志向が垣間見れます。イルカ漁批判のケネディ大使にクジラ寿司は無理でも和食の代表・寿司を食わせたのも巧みでした。日本側はキャロライン・ケネディ駐日米国大使と佐々江賢一郎駐米日本大使の2人だけの同席することを望んだのですが、日本に厳しいライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を追加で同席させたのはしたたかでした。 食事中はずっと、環太平洋経済連携協定(TPP)関連の対話が続き、オバマ大統領側は「米国の豚肉業界は政治的な影響力が大きい」「自動車業界を敵に回せば米国で選挙するのは難しい」などと執拗に安倍首相に圧力を加えたとの報道がありました。
そして2日後の朴槿恵大統領と会談後の、共同記者会見で、慰安婦問題について触れたのは、安倍政権の靖国参拝についての韓国記者の質問に答えたものでした。韓国からの要望でも誘導でもなく、リップサービスでもなく、それは、オバマ氏の信条にもとづくもののようです。過去は正直かつ公正に認識しなければならないものであることを安倍首相も日本国民も分っているはずだと、日本側の良心に期待した配慮の発言さえありました。(12月26日の安倍首相の参拝に対し、駐日アメリカ大使館は「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している」とのコメントを発表していましたが、韓国記者の靖国参拝への質問に対して直接それに触れず、北東アジアの領土紛争について、オバマ大統領は「米国が紛争の当事国ではない」と前置きした後、「米国はこうした問題が法と外交によって解決されるべきだという一貫した立場を堅持している」という原則的な立場で尖閣には触れても竹島に対して触れなかったのも、明らかに日本への配慮でした。
反日の反面で、今日の日本の安全や技術だけでなく日本人の規範やモラルさえも、実は大きなお手本になっているのですから、歴史認識でも偏見を捨てて、日本人は是非お手本になってもらいたいものです。そして、仮にその国の認識が自国の認識に照らし誤っているとしても、他国の文化や歴史は一応理由があり尊重されるべきものです。他者を尊重できない偏見が多くの誤解や対立さえ生み出します。民族的偏見に染まったナショナリズムこそが戦争萌芽の正体なのだと私は思います。
<今、日本の歌が韓国中を癒しています。>
나의 사진 앞에서 울지마요
ナエ サジン アペソ ウ(ル)ジマヨ
私の写真の前で泣かないでください
나는 그곳에 없어요
ナヌン クゴセ オ(プ)ソヨ
私はそこにはいません
나는 잠들어 있지 않아요
ナヌン チャ(ム)ドゥロ イッチ アナヨ
私は眠ってなんかいません
제발 날 위해 울지 말아요
チェバ(ル) ナ(ル) ウィヘ ウ(ル)ジ マラヨ
どうか私のために泣かないでください
나는 천개의 바람, 천개의 바람이 되었죠
ナヌン チョンゲエ パラ(ム), チョンゲエ パラミ トゥェオッチョ
私は千の 千の 風になりました
저 넓은 하늘 위에 자유롭게 날고 있죠
チョ ノ(ル)ブン ハヌ(ル) ウィエ チャユロ(プ)ッケ ナ(ル)ゴ イッチョ
あの広い空の上に自由に飛んでいます
가을엔 곡식들을 비추는 따사로운 빛이 될게요
カウレン コ(ク)ッシ(ク)ットゥル(ル) ピチュヌン ッタサロウン ピチ トゥェ(ル)ゲヨ
秋には穀物を照らす暖かい光になります
겨울엔 다이아몬드처럼 반짝이는 눈이 될게요
キョウレン タイアモンドゥチョロ(ム) パンッチャギヌン ヌニ トゥェ(ル)ゲヨ
冬にはダイヤモンドのように輝く雪になります
아침엔 종달새되어 잠든 당신을 깨워줄게요
アチメン チョンダ(ル)セドゥェオ チャ(ム)ドゥン タンシヌ(ル) ッケウォジュ(ル)ゲヨ
朝にはヒバリになって寝っているあなたを起こします
밤에는 어둠속에 별되어 당신을 지켜줄게요
パメヌン オドゥ(ム)ソゲ ピョ(ル)ドゥェオ タンシヌ(ル) チキョジュ(ル)ゲヨ
夜には暗闇の中で星になってそっとあなたを守ります
나의 사진앞에 서 있는 그대
ナエ サジナペ ソ インヌン クデ
私の写真の前に立っているあなた
제발 눈물을 멈춰요
チェバ(ル) ヌンムル(ル) モ(ム)チュォヨ
どうか涙を止めてください
나는 그곳에 있지 않아요
ナヌン クゴセ イッチ アナヨ
私はそこにはいません
죽었다고 생각말아요
チュゴッタゴ センガンマラヨ
死んだと考えるのはやめて
나는 천개의 바람. 천개의 바람이 되었죠
ナヌン チョンゲエ パラ(ム). チョンゲエ パラミ トゥェオッチョ
私は千の 千の風になりました
저 넓은 하늘 위를 자유롭게 날고 있죠
チョ ノ(ル)ブン ハヌ(ル) ウィル(ル) チャユロ(プ)ッケ ナ(ル)ゴ イッチョ
あの広い空の上を自由に飛んでいます
나는 천개의 바람. 천개의 바람이 되었죠
저 넓은 하늘 위를 자유롭게 날고 있죠
저 넓은 하늘 위를 자유롭게 날고 있죠
(兵士たちが早く無事に帰ってくることを願った黄色いリボンが追悼キャンペーンに使われています。)