福島原発の温度計が故障したのだそうですね。本当なのでしょうか。
圧力容器の温度計の一つが壊れたと言われます。原子炉の「圧力容器」は穴があいているので、水が溜まらずかからない部分が発生したとも考えられましたが、温度計の故障という事でしょう。
しかし、大部分の核燃料は、「格納容器」側に落ちているのです。肝心の「格納容器」底に落ちているコンクリート内の温度は、実はまだわかっていません。東京電力は格納容器の外の温度が低いので中も冷えているだろうと推定しているだけなのです。
また、心配なのは今回、福島第1原発から数キロ西にある双葉断層で、直下型地震が起こる可能性が高いことが、東北大学の趙大鵬教授らの研究で分かったそうです。
趙大鵬教授は中国北京大学出身で、アメリカや愛媛大学の教授を歴任した地震学の権威で現在は日本の東北大学の地震学の教授になっているそうです。今回の研究では、過去に東北で起こった6000回以上の地震のデータを基に、断層撮影法を使って地下活動の状況が解析されました。この撮影法は、CTやCATスキャンを大掛かりにしたようなものだそうです。
福島のいわきには湯ノ岳断層帯があり、3月11日の地震までは、ほぼ休眠状態でした。しかし、4月11日夕方に震度6弱の地震が発生し、この湯ノ岳断層帯を中心に7カ月半に2万4000回を超える地震が福島で発生したため、この地域が注目され調査がされていました。従来活断層と認定されていた近くの井戸沢断層にも活動した跡が見つかりました。
今回見つかった双葉断層のリスクは地下から上昇してくる水が断層に入り込み、休眠していた双葉断層も滑りやすくなってマグニチュード7を記録したいわきの余震の地下構造と同様のリスクが発生しているといわれています。研究成果は欧州の専門誌「Solid Earth」に2月14日、掲載されました。
福島第一原発の炉心溶融が圧力容器内で止まらずに、底部貫通(メルトスルー)して格納容器下部にまで落下しているらしいことは、日本政府もすでに認めていますが、燃料がさらに格納容器をも突き破って建屋のコンクリート床を溶かし、地中岩盤にのめり込み始めている(メルトアウト)可能性さえあるといわれてきました。
しかし、11月30日、東京電力は事故を起こした1号機は、事故直後、注水が約14時間中断しため。一時3000度近い高温に達して溶融、圧力容器の底に穴が開いて、格納容器のコンクリートの床(厚さ1・4~2・6メートル)を侵食し、最終外壁の鋼鉄の板まで37センチに迫っているものの、格納容器内にかろうじてとどまっていると発表しました。メルトアウトしておらず、いわゆるチャイナシンドローム状態ではないのです。国の委託を受けて実施したエネルギー総研の解析でも、1号機は燃料の85%、2、3号機は70%が格納容器に落下し格納容器のコンクリートは最大2メートルまでも侵食しているとの予想が出ました。
しかし、地震等の理由で冷却ストップすれば、あとわずか37センチしかないコンクリート・鋼鉄板の侵食は容易に進み、格納容器を抜け出すわけです。そうなれば深刻な外部汚染が危惧されます。さらに格納容器下の分厚いコンクリート層や建物下の岩盤さえも抜ければ、まさにチャイナシンドロームの世界に踏み込むわけで、映画のようなことはないと言われていますが、地下水を含めた大量汚染、地下の水蒸気爆発等、それは想定外の事態ばかりが危惧されるのです。汚染水処理の目処もついていないのに、故障したと思われる一部の温度計が上昇しただけであわてて大量に増水されるのも理解できることです。また、4号機の使用済み核燃料プールには1500本もの核燃料が格納されていますが、管理設備が崩壊しており、プール崩壊の危機が迫っていると言われますが対応は一向に進んでいないそうです。余震などで4号機プールが崩壊した際は、首都圏まで深刻な汚染を被ると言われます。
実は、福島原発のプラントの基本技術はアメリカGE社からの提供で、日本にはプラントの基本知識が十分にないのだそうです(1号機はGE社で、他の原子炉は東芝や日立のものですが、アメリカGE社の設計図のコピーで、プラント設計の基礎技術はGE社の提供。)しかし、GE社は、その福島原発の製造物責任を全面的に免れているのです。日本は原子力損害賠償法で「(通常は問われるべき)製造物責任法の規定は、適用しない」としています。
アメリカの原発技術提供の歴史は古く、第五福竜丸を契機に高まった日本の反核運動に対して、アメリカでは「日本に実験用原子炉を提供する」との提案がされたのだそうです。「原子力の非戦争での攻勢は、ロシアによるプロパガンダへの対抗措置として時宜にかなっており有効である。加えて、日本ですでにおこっている損害を最小に抑えることができる」と言う理由だったのだそうです。「広島と長崎の記憶が鮮明なときに、日本のような国に原子炉を建設することは劇的であり、これらの街での大虐殺の記憶から遠ざけるキリスト教徒としての行いである」と当時の米原子力委員のトーマス・マリー委員は述べたそうです。(ニューヨークタイムズ1954年9月22日)