学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

学校のICT化という幻

2016-08-19 | 教育

学校のICT化が議論されて久しいが、私は日本の学校ではICT化が諸外国ほどに進むことはないだろうと考えている。とくに公立学校では、すべての学校に十分なICT環境を整えるということに対する財政負担に自治体が耐えられないだろう。ICTの特徴は、買えば終わりということではなく、メンテナンスや維持、機器の更新に永続的に費用がかかるということである。さらに、十分な容量のある無線LAN回線の整備や電源の確保など、現状の学校の予算環境で整備するには無理がありすぎるのである。

しかも、コンテンツ利用に制約が多すぎるためか、日本でいま紹介されているICTの活用は、ほとんどすべてICTなしでもできることなのである。電子黒板でできることは、黒板とチョークと模造紙と既存の視聴覚機器を使えばできることの精度をむしろ落としたものにしか見えない。

この面で、アメリカなどのICT利用の方向性とは大きく異なっている。例えば、Khan Academyなど、ICTを利用することでアナログの教育に新しい付加価値を与えているように思える。

むしろ、ICTの活用は、教育における格差の解消や教育機会の均等化に役立つものであるはずなのに、日本では、重点的にICT環境を整える学校が一部に限られているなど、格差拡大の方向に向かっているように思えるのも、気になるところである。

これも、学校のICT化そのものが、教育界の需要からはじまったものではなく、経済的な内需拡大策に過ぎないからであろう。



最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。