一方、例の建物では怒声が響く。
「バカヤロー!
猫1匹にどこまで好き放題やられてんだ、おめえらは!!」
ごもっとも、としか言いようがない。
しかしながら、あの悪戯猫にお仕置き出来るのはケイトくらいである。
クソッ、ファイルだけ持ち去っていきやがった。
ただの野良猫じゃねえ。
猫の主にあの文字を解読されたら、必ずこの建物に来るはずだ。
「今夜見張りを厳重にしろ!
必ず何かが来るぞ!」
「は、はい!」
怒鳴っていた男は、冷や汗が流れていた。
冗談じゃねえ。
ここで食い止めておかねえと、あの用心棒2人のどっちかに殺されちまう。
必死な思いなのは当然だが、世の中やっぱり甘くない。
エルとイヴだけではない。
冒険者カイルたちだけではない。
ドクター・スノーが仕組んだ魔眼に魅せられた者と、
「バカヤロー!
猫1匹にどこまで好き放題やられてんだ、おめえらは!!」
ごもっとも、としか言いようがない。
しかしながら、あの悪戯猫にお仕置き出来るのはケイトくらいである。
クソッ、ファイルだけ持ち去っていきやがった。
ただの野良猫じゃねえ。
猫の主にあの文字を解読されたら、必ずこの建物に来るはずだ。
「今夜見張りを厳重にしろ!
必ず何かが来るぞ!」
「は、はい!」
怒鳴っていた男は、冷や汗が流れていた。
冗談じゃねえ。
ここで食い止めておかねえと、あの用心棒2人のどっちかに殺されちまう。
必死な思いなのは当然だが、世の中やっぱり甘くない。
エルとイヴだけではない。
冒険者カイルたちだけではない。
ドクター・スノーが仕組んだ魔眼に魅せられた者と、
フランソワの使い魔が撒いた種が、現場を更に混乱化していく。
冒険者カイルたち一行は、倒した巨大蜘蛛の解体をようやく終了。
だが長い脚が大半を占めていたせいか、
冒険者カイルたち一行は、倒した巨大蜘蛛の解体をようやく終了。
だが長い脚が大半を占めていたせいか、
デブ鼠ほど袋がパンパンにならなかった。
「デブ鼠ほどじゃなかったな。」
ゴッセンが最後の袋詰めをして一息つく。
休憩をとり、それから立ち上がって辺りを見渡すが広い。
4方向とも壁は見えなかった。
「普通は上の階と同じ広さだと思うが、ここは違うようだ。
シーマ、ラナ、何か気配を感じるか?」
カイルに言われるまでもなく四方に気を配っているが、特に何も感じない。
「いや、何も無い。」
次はミウに指示を出す。
「ディレクション(方向感知)を使ってくれ。
とりあえず西端を目指す。」
「なんで西端なの?」
「西側にAブロックがあるからだ。
もしかしたらAブロックに通じている扉があるかもしれない。」
「分かった。
詠唱するね。」
ミウがディレクションを唱えた。
この魔法は術者の脳裏に、常に北を指し示してくれる。
北が分かれば、他の3方向も分かるというもの。
「こっちだよ。」
「よし、慎重に行くぞ。」
上の地下2階もだったが、ここも部屋の類が無い。
まるで巨大な洞窟だ。
壁が見えたところで、西側の壁を丹念に調べていく。
しかしAブロックに通じるものは何も無し。
アテが外れてしまった。
次は北側の壁を調べる。
すると少し歩いたところで、お香の香りが匂ってきた。
何かの花を原料にしたお香なのか、とても良い香りがする。
「香りのする方向に向かうぞ。」
すると、このフロアの北東部にあたる場所に、
「デブ鼠ほどじゃなかったな。」
ゴッセンが最後の袋詰めをして一息つく。
休憩をとり、それから立ち上がって辺りを見渡すが広い。
4方向とも壁は見えなかった。
「普通は上の階と同じ広さだと思うが、ここは違うようだ。
シーマ、ラナ、何か気配を感じるか?」
カイルに言われるまでもなく四方に気を配っているが、特に何も感じない。
「いや、何も無い。」
次はミウに指示を出す。
「ディレクション(方向感知)を使ってくれ。
とりあえず西端を目指す。」
「なんで西端なの?」
「西側にAブロックがあるからだ。
もしかしたらAブロックに通じている扉があるかもしれない。」
「分かった。
詠唱するね。」
ミウがディレクションを唱えた。
この魔法は術者の脳裏に、常に北を指し示してくれる。
北が分かれば、他の3方向も分かるというもの。
「こっちだよ。」
「よし、慎重に行くぞ。」
上の地下2階もだったが、ここも部屋の類が無い。
まるで巨大な洞窟だ。
壁が見えたところで、西側の壁を丹念に調べていく。
しかしAブロックに通じるものは何も無し。
アテが外れてしまった。
次は北側の壁を調べる。
すると少し歩いたところで、お香の香りが匂ってきた。
何かの花を原料にしたお香なのか、とても良い香りがする。
「香りのする方向に向かうぞ。」
すると、このフロアの北東部にあたる場所に、
人の身長ほどの大きな石がいくつも見えてきた。
多い。
50基はあるのではないだろうか。
その50基の1つ1つに、お香が供えられていた。
石には名前らしきものが刻まれている。
「こんなところに何用かね?」
!
遠くから声が聞こえた。
東側だ。
足音がする。
皆が戦闘態勢をとっているところに、ゆっくりと歩いてくる者がいた。
背が高い。
身長180は超えていそうだ。
大柄な男は、僧侶の法衣をまとい、フードを深く被り、
多い。
50基はあるのではないだろうか。
その50基の1つ1つに、お香が供えられていた。
石には名前らしきものが刻まれている。
「こんなところに何用かね?」
!
遠くから声が聞こえた。
東側だ。
足音がする。
皆が戦闘態勢をとっているところに、ゆっくりと歩いてくる者がいた。
背が高い。
身長180は超えていそうだ。
大柄な男は、僧侶の法衣をまとい、フードを深く被り、
巨大な錫杖を片手で持っていた。
そしてもう片手にはランタン。
「・・・まさか、迷宮都市伝説の墓守か。」
「迷宮都市伝説とやらは知らぬが、いかにも小生は墓守のような存在。
ここは、何処より彷徨う者たちが行き着く場所のようでな。
よく骸骨が転がっている。
拙僧の事は墓守と呼んでよい。
お主たちはどこから来たのだ?
見たところ、死にかけているわけでもなさそうだが。」
「この上の階層から。
巨大蜘蛛を倒してきたところだ。」
そう言ってカイルは、袋の1つを開いて見せた。
「ほう、これは凄い。
この墓地まではどうやって来たのだ?」
「西側の壁をつたって壁沿いに歩いてきただけだ。」
そう答えると、墓守は軽く頷いた。
「そなたらはなかなか運が良いようだ。
このフロアは一方通行の空間が多くてな。
迷えば最後、死ぬまで抜けられなくなる。」
ラナが恐る恐る聞く。
「出口はあるの?」
そう言われ、墓守は大きな和紙を懐から取り出し、1枚差し出した。
「これを授けよう。」
皆でそれを見て驚愕する。
「地図か!」
「・・・おい、この地図・・・!」
いつの間にか、墓守は忽然と消え失せていた。
辺りに気配は感じない。
・・・というか、声を掛けられた時も気配を感じていなかった。
「まさか、幽霊?」
ここは剣と魔法の世界。
もし見つけたら神聖魔法のディスペル・アンデッドで
そしてもう片手にはランタン。
「・・・まさか、迷宮都市伝説の墓守か。」
「迷宮都市伝説とやらは知らぬが、いかにも小生は墓守のような存在。
ここは、何処より彷徨う者たちが行き着く場所のようでな。
よく骸骨が転がっている。
拙僧の事は墓守と呼んでよい。
お主たちはどこから来たのだ?
見たところ、死にかけているわけでもなさそうだが。」
「この上の階層から。
巨大蜘蛛を倒してきたところだ。」
そう言ってカイルは、袋の1つを開いて見せた。
「ほう、これは凄い。
この墓地まではどうやって来たのだ?」
「西側の壁をつたって壁沿いに歩いてきただけだ。」
そう答えると、墓守は軽く頷いた。
「そなたらはなかなか運が良いようだ。
このフロアは一方通行の空間が多くてな。
迷えば最後、死ぬまで抜けられなくなる。」
ラナが恐る恐る聞く。
「出口はあるの?」
そう言われ、墓守は大きな和紙を懐から取り出し、1枚差し出した。
「これを授けよう。」
皆でそれを見て驚愕する。
「地図か!」
「・・・おい、この地図・・・!」
いつの間にか、墓守は忽然と消え失せていた。
辺りに気配は感じない。
・・・というか、声を掛けられた時も気配を感じていなかった。
「まさか、幽霊?」
ここは剣と魔法の世界。
もし見つけたら神聖魔法のディスペル・アンデッドで
成仏させてあげましょうねと言われる程度のお話。
幽霊だからといって、怯えるような事はない。
受け取った地図は詳細だった。
この地下3階Bブロックの一方通行まで事細かく記載されている。
下水道からも出入り出来る箇所がある。
そして何より驚いたのは・・・。
毒花ペレス栽培施設への、地下からの出入り口。
王城区域貴族エリアへの、地下の連絡通路。
そして、地下迷宮Cブロックの存在。
そこは、奴隷商アラクネの管轄エリアと記載されていた。
幽霊だからといって、怯えるような事はない。
受け取った地図は詳細だった。
この地下3階Bブロックの一方通行まで事細かく記載されている。
下水道からも出入り出来る箇所がある。
そして何より驚いたのは・・・。
毒花ペレス栽培施設への、地下からの出入り口。
王城区域貴族エリアへの、地下の連絡通路。
そして、地下迷宮Cブロックの存在。
そこは、奴隷商アラクネの管轄エリアと記載されていた。