ペンネーム牧村蘇芳のブログ

小説やゲームプレイ記録などを投稿します。

蟲毒の饗宴 第8話(1)

2025-02-27 20:47:44 | 小説「魔術ファミリーシリーズ」ウェストブルッグ2<蟲毒の饗宴>
 カイルが必死に墓守の姿を探すが、影も形も見えない。
 ふいに走り出そうとしたところをシーマに止められた。
「よせ、カイル!
 この地図をよく見ろ。
 墓地のエリアを抜けたら一方通行の空間だらけだ。
 パーティーがバラバラになってしまうぞ!」
 そう言われ、カイルはようやく落ち着きを取り戻す。
「すまん。
 あの墓守、どうしても幽霊に思えなくてな。」
「それは俺も同感だ。
 ・・・何らかの接点で関係している者だろう。
 でなければあまりにも不自然すぎる。」
 ここでラナがボソリと呟く。
「もしかしたらさ、あの墓守、一方通行の空間を行き来してたから
 気配を感じなかったんじゃないのかな。」
「・・・そうだな。
 そう考えると辻褄が合う。」
 答えながら、カイルは地図を見入っていた。
 地図の通りなら、このまま東に歩けば
 下水道の上流に出れる一方通行がある。
 間もなく夕方だ。
 時間を考慮するなら、ここは一度地上に帰って
 作戦を練った方が無難だろう。
 急いては事を仕損じる。
「このまま東に歩いて下水道の上流に出る。
 その周辺から真上に伸びた梯子があるから、それでひとまず帰ろう。
 また酒場で個室を借りて、作戦会議だ。」
「賛成だ!
 さっさと帰ろうぜ!」
 酒場と聞いて真っ先に賛成の声を上げたのはゴッセンだった。
 まあ今回は皆も疲れていたので賛同する。

 地上に出れば、もう間もなく真っ暗になりそうだった。
「もうこんな時間か。
 まず冒険者ギルドに寄ろう。
 解体した巨大蜘蛛を換金だ。」
「入手した地図はどうする?」
「ギルドに見せて万が一没収されたら敵わないからな。
 とりあえず黙っていよう。
 もし地図の事を言われたら、ラナが書いていた地図を見せればいい。」
「え、あたし墓石から下水道への出口まで書いちゃったよ。」
「実際に探索してきた箇所の報告だから、それでいい。」
 話しながら、カイルたちは小走りで冒険者ギルドに向かっていった。
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第3話 オープニング(ストーリーの選択)

2025-02-27 20:44:28 | ゲームプレイ記録「真・女神転生Ⅴ VENGEANCE 復讐の女神編」
 この物語はフィクションです。
 登場する人物・団体・名称等は架空であり、
 実在のものとは関係ありません。

 うつせみの常なき見れば世の中に
       心つけずて思ふ日ぞ多き

 (現実の無常さを見て
  世事に打ち込む事も出来ず
  物思いにふける日が多くなる。)

               -万葉集

 ATLUS presents

 学生たちが通学する様子を背景に、
 人ならざる者と思える女と男が交互に語り出す。

女の声
「はるか昔、神により創られた秩序の世は
 神の僕たる天使たちにより正しく導かれていた。
 その世の中で、人々は幸せを感じ、
 健やかに繫栄していった。」

男の声
「しかし神の世といえど永遠ではない。
 神の生み出した清らかなる流れも、
 人の営みの中でいつしか淀み世を腐らせる毒となる。」
 
女の声
「そして狂った秩序は混沌となり、
 過ぎた混沌もまた秩序によって飲み込まれていく。」

男の声
「諸行無常なるこの世の中で知恵を得た人間たちが、
 いかに歩み、そして骸となるか…」

女の声
「新たな王の生まれるその日まで、
 ゆっくりと眺めさせてもらうとしよう。」

男の声
「…ここを通らんとする魂か。」

 確認するように自らの両手を見つめた。
 ここは周囲を霞で覆われ、
 遥か高い位置にある謎の場所。
 目の前にある道に、暗き人影がある。
 男の声は続けて語り出す。

男の声
「ここは未来へと繋がる道。
 汝の歩む先が世界の在り方を決める。

 視線が左側に向かれると、
 うずくまったような人影らしきものが見えた。
 そこに近付き、手を差し伸べようとする。

男の声
「…その手を止めろ。
 その少女は存在の許されぬ魂。」

 そう言われたからか、手を引っ込める。
 すると別な方角から女の声が聞こえてきた。
 今立っている位置は十字路の中心の様だ。

女の声
「世界に混乱と破滅を導く相を持つ。
 この地で永遠に封じるべき存在。」

男の声
「少女を連れて行くことは、
 世界をあるべき未来ではなく、
 未知なる世界へと繋げるであろう。」

女の声
「それでもその少女の手をとるのか?」

「手をとる」(※左キーで選択。)

 すると、うずくまっていた少女は立ち上がった。
 ショートヘアのスリムなシルエットが
 後方の光を帯びている。

少女
「ありがとう。」

 そう応えると少女は手を離し、
 後方の光りの指す方へ歩いていった。

男の声
「愚かな…、汝のその選択が
 世界の命数を縮めた事を忘れるな。」

女の声
「願わくば汝が歩むその先で
 正しき道へ戻ることを…」

!『真・女神転生Ⅴ Vengeance』では
 あなたが少女の手を取ったかどうかで
 ストーリーの内容が大きく分かれます。

 ■創世の女神編
 『真・女神転生Ⅴ』のストーリーです。

 ■復讐の女神編
 『真・女神転生Ⅴ Vengeance』で
 新たに追加されたストーリーです。

 少女の手を取ったあなたは
 「復讐の女神編」を選びました。
 このストーリーでゲームを開始しますか?

「開始する。」
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