ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその64-ばかもの

2013年01月30日 | 邦画
思い出の中に生きる。

名画「カサブランカ」の中にこのような台詞がある。
「男は思い出の中で生いきられるものだ」
男はいくつになってもロマンチストである。
よって「思い出の中に生きる」ことも可能だと思う。
今回紹介する映画は「ばかもの」
芥川賞を受賞した原作の映画化である。
ストリーを紹介しよう。
主人公は未成年の大学生。
彼は或る日父親に頼まれて呑み屋へ父親が忘れた財布を取りに行く。
そこで彼は店の女将の娘ガクコと出会う。
彼女は未成年の彼に酒を飲ませ、その後彼女のアパートで交わることになる。
彼にとっては初めての「酒」と「女」の経験であった。
その後彼らの交際は順調にすすんでゆくのだがある日突然ガクコの冷たい仕打ちとともに恋も終る.....
彼はその後酒におぼれる。
毎日大量の酒を呑む。
やがてアルコール依存症になってしまう。
新しく交際を始めた女性ともそれが原因で別れてしまう。
ここに悲しい男の性が伺える。
彼は酒をあおりながらいつもガクコとの思い出の中に生きていたのではないだろうか。
「男は思い出の中に生きられるものだ」
まさにこの台詞どおりではないか。
同姓の私としては痛烈に彼の気持ちを感じられた。
男とはかくも寂しく悲しい性の持ち主なのだ。
ラスト自然あふれる場面の中、陽光が降り注ぐ。
私にはその太陽が何故かまぶしすぎるように思えた。
2010年公開、122分、カラー、日本映画、金子修介監督。