坂本勇人の魅力は広い守備範囲にある。それを垣間見せるプレーが14日の試合で飛び出した。
2点リードの9回表。先頭打者の武内の打球は3塁後方へフラフラと打ち上がったが、坂本は全速力で追いかけスライディングキャッチ。守護神・西村も「勇人に助けられた」と絶賛するプレーだった。
これ以外でも、二遊間を抜けようかという打球をキャッチし、一回転して一塁に送球してアウトにするという、アクロバティックなプレーも時折見せる。おそらく現在日本球界で最も守備範囲の広いショートだろう。WBCで井端・鳥谷・松井稼頭央といったゴールデングラブ賞受賞経験を差し置いてショートのレギュラーを張ったのは、その点を買われたからであろう。3人がセカンドもできるというのもあるが…。
私も河埜和正、川相昌弘、二岡智宏といった巨人の歴代のショートを見たが、守備範囲の広さは坂本が群を抜いている。もちろん肩も強い。
かつて松井稼頭央が「世界一のショートになる」と言ってメジャーに旅立ったがショート失格の烙印を押され、主にセカンドを守った。また西岡剛もメジャーに行ったが、守ったのは主にセカンドで、併殺プレーで殺人スライディングを浴びて怪我した影響もあり、わずか2年でアメリカを去った。
こういったこともあり、メジャーでは日本人内野手の評価はガタ落ちなわけだが、坂本ならメジャーでもショートで通用するのではないかと思わせる。もちろん巨人ファンとしては、出て行ってもらっては困るのだが…。
広い守備範囲能力を持ちながら、未だゴールデングラブ賞を受賞していない要因としてゴロを確実に捕球する安定性の欠如と、スローイングの不安定さだが、今年はかなり良くなっている。
3番としてフル出場&3割&ゴールデングラブ賞初受賞。坂本には今年、この3点を求めたい。