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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

小松左京の大震災'95

2020年10月16日 16時26分16秒 | 読書・地理地震
副書名
この私たちの体験を風化させないために

かつて「日本沈没」で近畿大地震を描写した作家が、何を目にし、何を思ったか。
神戸を愛して止まない作家が情報を収集し、自らの足によって確かめ、大震災の総合解析を試みる。
未来への教訓がここにある。


「サンアンドレアス断層」
断層を英語で「フォールト」「欠陥」という意味でテニスのフォールトと同じ言葉である。
「活断層」をアクティブ・フォールティング

中国内陸部では「死者83万人」の大地震
華県大地震・1556年1月23日深夜、華県(西安の東80キロ)でマグニチュード8.0

1960年に日本全国の「日本の活断層」が完成した。
完成当時、たまたま見る機会のあった私は、一見胸が悪くなってしまった。
日本列島はこんなに活断層だらけなのか!
これじゃ我々は「ひび焼き」の陶器の上に住んでいるようなものじゃないか!
特に「大阪湾周辺地域」の活断層の密集ぶりには驚かされ、その上の居住、社会密度を思うと不安になった。
しかし、よく見ると活断層の一つ一つの長さは、平均10キロぐらいを中心としてあまり大きなものではない。
いくつもの活断層が何十キロ、何百キロと連なっているものは「構造線」と呼ばれ、
中でも雄大なものは、「中央構造線」である。

だが1995年「先端型大都市圏直下型活断層地震」が現実に起こったのだ!

「激震災害ベルト」

午前5時46分52秒発生

「今度の地震で、犠牲者にお年寄りが多いのは、1階に寝ておられたからです」
神戸市の死者3,658人のうち、70歳以上が34%、60歳以上では53%を占める。
死体検案書での死亡時刻は46分頃と50分頃が多く、
6時0分までを含めると全体の80.5%を占める。
法医学の医師が検視した2,419人の92%が6時0分までの死亡と推定されている。

地震波はラテン語で「最初の」Primae、「第二の」Secundaeの頭文字をとって、
縦波をP波、横波をS波と呼ぶ

6階が全部ぐしゃっとつぶれ・・・
10階前後のビルの「中途階の挫屈
ビルの中間の階が押しつぶされることを「層崩壊」と呼ぶ。

24階展望室まで駆け上がって、市内の火災発生状況を視認し、その報告をトランシーバーで本部へ送らせた。
そうして、市内二十数ヶ所に火災が発生していることが、まず視認された。

「書棚の震災」「本とOA機器の震災」
震災によって大量の本が古書市場に出回った。それらは神田古本街に流れ、一時値崩れをおこしたという。

大阪ガスは、不幸中の幸いというか、供給源をすべてLNG,つまり液化天然ガスに変えていた。
この主成分メタンは、一酸化炭素を含む都市ガスと違って中毒を起こさない。
メタンは火力が強いのに軽いので、速やかに拡散する。

1995年5月28日午前1時4分
サハリン北部のネフチェゴルスクの大地震M7.6.
死者行方不明1989人。約35キロの地震断層が出現したが、無名のこの断層が活断層とは考えられていなかった。

三月の後半「地下鉄サリン事件」
「大震災、円高サリンにパンパカパン」という川柳
「異常前駆現象」

「震度計」のメーカー「明星電気」
計測部の心臓である「加速度センサー」は「日本航空電子工業」で作成。
「サーボ型加速度センサー」
サーボ機構:ロボットや飛行機などの機械の位置、姿勢、方向、速度などが、刻々と変化する目標値を自動的に追跡するシステム。

「地震速度計」
「強震記録のもうひとつの活用は、地震後早期に断層破壊域を推定することである」
「破壊域が特定できれば、地殻条件を考慮して大きな揺れの地域が推定され、緊急救援活動に生かすことができる」

「慣性誘導装置」:
ロケットや飛行機などが、地上からの指令なしでコンピューターで制御され、自動的に飛行できる装置。

尾池和夫
「地震は岩盤の破壊。われわれは震源の破壊を地震と言いますので、地震が発生した途端に出る電磁波と、揺れによって出る電磁波があります」
直接的なものは、破壊が始まる時に、断層面のずれを生み出す震源断層の断層面から電波が出てくる。

部屋を鋼鉄で全部包んで、外から電波が入ってこないようにアースして、
石を割ったら電波が本当に出るのか実験をやった
腕を振り上げると、筋肉から電力が出るので、・・・
石にどのくらいの割れ目が入るとどのくらいの電波が出るのか定量的に測定できた。

液状化は震動で起こるわけですが、そこから地震の波が上まで伝わらない。
だから、上の地震計はそんなに動いていない。
液状化することによって大揺れが吸収されたのが今度、わかった。
「埋め立て免震構造」
だから、地表面だけに強震計を置かずに、液状化しそうな所には下にも埋めておいたら、いいデータが取れることがわかった。
「地震庁」を作れ!!

16世紀の京都・伏見の大地震
1596年9月5日、M7.5の「慶長の伏見地震」
伏見城天守閣が大破し、石垣が崩れ、圧死500人。諸寺・民家も倒壊、死者多数。堺では死者500名。
「有馬・高槻構造線」

「地震兵器」
ニコラ・テスラという天才的な電気学者の発想による。
エジソンと徹底的に闘い、ナイアガラでエジソンの直流発電に対して交流発電を成功させ、
今日の発電・送電技術の基礎をつくる。十数ヶ国語に通じ、詩人でもあった。

「空自の中部方面隊の総指揮は、埼玉県入間の司令部が総括していますので・・・」
「空挺団は習志野にありますが、ヘリコプターを保有しておりません。
木更津のヘリコプター団が保有しています」

国土地理院に「日本列島の目方は何ぼありますかと聞きにいったら、「ええ医者を紹介しましょうか」と言われた。
電卓:当時電気そろばんと言われた
1964年3月、早川電気(現シャープ)とソニーが初の電卓を発表。
早川のトランジスタ使用の「コンペット」は1台50万円だった。

「野島断層」
2100~1840年前に、この断層が動いた証拠を発見した。

都市計画:
米国カリフォルニア州の「活断層法」では、断層から15m以内の建築が規制されている。

阪神大震災を引き起こしたのは、活断層と呼ばれる「地球の亀裂」だった。
藤田和夫

「プリューム・テクトニクス」

「はじめは活断層という言葉はなく、アクティブ・フォールトという英語だけがあった。
昔から断層は知っていたのですが、断層がもう一度動くとは誰も考えなかった

大阪湾が沈んでいき、逆に六甲山が上がっていく運動
「大阪層群」

「日本沈没を書く前に根尾谷断層の現場を見に行きました。
1891年の濃尾大地震のとき、6mくらい上下に動いてる断層ですね」

「日本沈没を読んでびっくりして感動したのは
【六甲山系にはいくつも斜めに断層が走っていて、それとクロスする長いトンネルが断層の動きによって二箇所ひびわれてしまった】
と書いてあるところです。その部分を読んだときは本当にびっくりした。
私が六甲の地質図を作ったばかりでしたから」

「あれは六甲山腹にトンネルを掘る、つまり、串刺しにするというので、危ないじゃないかと思って書いたのです」

「丹那トンネル」:世界のトンネル工事史に残る難工事。

「新神戸駅はまさに断層の上に乗っている。
活断層といっても全部が動いているわけではないし、真相はわからない部分も多いのです」

「六甲の大月断層に斜坑を入れた時に、坑道に【ひずみ計】を入れた。これは世界で初めてだと思います。
ところが、”断層が動くなんて”と、鉄道関係は信用してくれない。
その後、山崎断層が発見され、上空からはっきり目に見える形で横にずれている。
典型的な横ずれ断層」

「山崎地震の予知はある程度できた。前兆として地電流がかなり変化した」

「関西はプレートと直接関係なく、プレートに押された内陸で二次的に発生したストレスが原因となって断層ができた。
南海トラフをフィリピンプレートが押して起こるだけではすまない」
☆1944年に名古屋を中心に大きな被害を出したが、戦時中のため政府は発表しなかった。東南海地震
☆米国には地震計の記録にやり知られていた。

「新神戸駅は不思議な駅で、両側をトンネルに挟まれていますね」
「そのハイライトが新神戸駅ですよ。断層の真上にのっている」
「とはいえ、今度の地震で新神戸駅は無事でしたね」
「なぜ大した被害がなかったのか調査しないといけない。
やられたところばかり調査していますが」

「地球潮汐です。面白いのは、六甲の場合は地下水の増減カーブが2時間ずれて出てくる。地球の脈拍を感じますね」

ケヤキやネムノキの生体電位を測り地震を予知する。

国家地震局
中国では動物園や植物園が民衆の娯楽施設である一方、地震観測施設になっている。
「動物の地震予知」

阪神高速が開通したのが1970年2月。
「一本足で大丈夫か」
「いや、大丈夫、日本の技術を信用してください」
それでも高速道路がぶっ倒れるところを書いたら、東京の先生がご機嫌悪かったらしい。
一本足の高速道路「ピルツ工法」

「リアルタイム地震工学」「リアルタイム地震防災」

戦争が始まると、天気予報は海軍の行動に影響するというので機密事項になった。
ラジオの天気予報は昭和16年12月8日に禁止になり、復活するのが終戦の日の夕方。

災害の問題は、自分で守れるところがあります。
宅地開発した場所でよく揺れて被害が起こりやすいのは、ため池を埋めたり、土盛りしたところが弱いに決まっている。
買うときに自分の目で確かめ、それをしないで人のせいにするのはおかしい。

「中途階挫屈」
「衝撃伝播層インピーダンス」
☆電流の流れにくさ、つまり電気抵抗を表す量のことで、電圧と電流の比をいう。
つまり、上下動は「衝撃」だけが先行して柱を伝わっていき、水平動のようにゆさゆさと揺れることはない。

「免震装置」「制震装置」
☆制震という概念は、超高層ビルの風圧の揺れを抑えるためにアメリカ東部で始まった。










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