memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

和食の楽しみ 外国人目線で。

2014-07-27 10:39:34 | BOOK
2014年7月20日の書評より。

著者に会いたい、というコラムにて。
マシュー・アムスター・バートンさん(38)つるりとした頭頂に口アゴ髭メガネ。
「米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす」の著者である。

勘で、ふらっと、普通の店で

米・シアトル在住のフードライターの著者が、妻と幼い娘と共に東京でひと夏過ごしたころを中心につづった食紀行エッセーだ。
 本になった経緯がユニーク。もともと米国で出版しようとしたがうまくいかなかったため、ネットで多くの人から少額の資金を集める仕組みを利用し、電子書籍として自費出版した。それを目に止めた東京の編集者が「面白い」と、日本で出版化を進めた。現在3刷一万六千部と快調だ。「思いがけず日本で多くの方に読んでもらえて嬉しいです」
 著者と娘は日本食好きで、「いつか東京に行きたい」と一緒に貯金していた。そして2010年に娘(当時6歳)と2人で、12年には娘と妻とやってきた。
 情報通のグルメっぽい態度とは無縁。知人のつてで中野に小さなアパートを借り、勘で、ふらっとごく普通の店に入り、食事を楽しんだ。暑い日に食べた冷やし中華や青唐すだちしょうゆうどんのさわやかさ、アナゴ天ぷら注文時に最後に出てくる骨を娘が気に入ったこと、焼き鳥のぽんじりの脂ののりに感動したこと、たこ焼きの素晴らしさ・・・。
 「チェーン店でも何でも、娘が日本で食べるものひとつひとつに感動する。そのことに感動しました」
 庶民的で美味しい店があちこちにある中野の魅力にもハマったそう。
 日本では英国人の著書『英国一家、日本を食べる』がベストセラーになっている。「米国では知らなかったので、最近読みました。面白かったです。あちらは日本全国、高級な店まで食べ歩いていますが、僕は普通の店ばかり。あわせて読むのもいいかもしれませんね(笑)」

関根光宏訳 エクスナレッジ 1836円   
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片岡義男の新作

2014-07-27 09:40:56 | BOOK
2014年7月20日の書評欄に、片岡義男の本2冊の紹介が載っていた。
女子高生、大学生の頃、その頃、圧倒的に影響力のあった雑誌「JJ」に連載されていた小説が片岡義男によるもので、完璧な美貌の女性がシャワーを浴びた後フルーツオブザルームの3枚1パックの白Tシャツの新品に腕を通し、京紅の貝殻から指で唇を彩り、バイクで朝の海岸線を疾走するといったライフスタイルが都会的なタッチで描かれ、安西水丸の簡潔な挿絵がそんなムードを盛り上げていた。

流行作家なのだと思っていた彼の新作が今もまだ、ということに目を惹かれ、読んでみた。

早大教授、佐々木敦氏による書評を紹介させていただきます。

片岡義男の筆にかかると、東京はまるで外国の都市みたいに見えてくる。登場人物は皆、几帳面に姓と名を持たされており、女性の多くは下の名前がカタカナで、男達は作家か編集者か俳優、女性の職業のバリエーションは多彩だ。彼ら彼女らの人生の一場面、連続しているような、そうでもないような出来事たちが、字義通りの意味でハードボイルド的というべき筆致で、鮮やかに切り取られる。
『短編を七つ、書いた順』は「作家生活40周年書き下ろし」。「せっかくですもの」では、二十八歳で実家に戻った「宮崎恵理子」が二年後に就職が決まって再び家を出る準備をしていた或る日、最寄駅のドトールと駅の改札で二度、父親と出くわす。二度の偶然の間に彼女は友人の「倉本香織」とスペイン料理を食べ、2人で新居を見に行き、電車を乗り継いで還ってくる。題名はそのまま父と家には戻らずに寄った店で、バーテンダーが彼女に言う一言だ。「なぜ抱いてくれなかったの」は五十三歳で独身、作家の「三輪紀彦」が高校時代のクラスメイトの「中条美砂子」と再会する。卒業後2人は一度だけデートをした。彼女はその後、女剣劇の世界に入り、引退後の今は喫茶店を営んでいる。題名は彼女が彼に言う台詞である。彼が返答を思いついたところで、小説は終わる。
『ミッキーは谷中で六時三十分』の表題作は、二十八歳独身でフリーライターの「柴田耕平」が偶々入った喫茶店のマスターから、娘付きでこの店を切りまわさないかと持ちかけられる。その娘は「楠木ナオミ」といい、ビリヤードが上手い。ナオミは柴田をかつてはポルノ女優をしていた母親がやっている食堂に連れていく。以下、作者いわく「コメディの試み」の七編が収められている。2冊を足して14編、どの人物も実に「小説の登場人物」らしい。だがその”らしさ”は他の作家が書くそれとは全然違っている。

あの独特の感覚を想起させようと、それぞれの短編の設定を延々連ねて観たものの、やはり伝わっていないことに気付いて、これじゃない、と一言
(笑)
そう、あの独特の間や流れる雰囲気を再現するのは難しかろう。
ふと、時間があれば読んでみたいな、この新作、と思わせただけ成功している書評なのかも。

『短編を七つ』 幻戯書房 2052円
『ミッキー』 講談社 1836円 片岡義男 40年生まれ 作家


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地中海へ 時空を超えて~本の旅~

2014-06-16 00:07:34 | BOOK
2014年6月7日 朝日の朝刊「こんなときこんな本」のコラム。
有隣堂新百合ヶ丘エルミロ―ド店高樋純子さんの勧める「地中海の魅惑」本の数々。

一押しは「ローマ帝国と地中海文明を歩く」本村凌二編著 2013年 講談社 税込2808円
西洋史の研究者たちが実際に訪れた経験をもとに古代ローマ遺跡について語る、読むだけで行った気になれる学術的ガイドブックだそう。

「マグレブ紀行」川田順造著、1971年 中公新書 864円
文化人類学の碩学が若き日に、「日の沈む国」を意味する北アフリカ西部のマグレブ地方を旅した思いをつづった。
高樋さんは「異国情緒を掻き立てられる描写の連続。執筆されてから40年以上経つ本書が今でも古びないのは、異文化を見る目の確かさが随所に感じられるから」と薦める。

「オリーブオイルのおいしい生活」朝田今日子著 2005年 文春文庫PLUS 637円
イタリアの田舎に住んだ著者が料理を軸にラテン的な生活体験を描いた。
「冬の寒い時期に行われると言う、2日間にわたる豚の解体が印象に残りました。地中海料理というと豊富な魚介や野菜が思い浮かびますが、やはり肉食文明なのですね。四季折々の生き生きとした暮らしぶりが伝わるエッセーです」と高樋さん。

記者のおススメは
「海賊ユートピア」ピーター・L・ウィルソン著 2003年 以文社 2808円
「背教者と難民の17世紀マグリブ海洋世界」の副題が示すように「海賊的自由」を求めて地中海を荒らし回ったイスラム教徒の海賊を活写した。
海賊船の船長が市長に選ばれ(ってどこのシモン・ボッカネグラ?^^)海賊都市として独立を宣言したり、海賊国家が成立したり、痛快な歴史小説を読むような面白さがあるのだとか。
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時代を駆け抜けた女たち~本~

2014-06-06 06:15:27 | BOOK
本屋の店員さんがテーマを決めておすすめ本を紹介するコーナーが朝日の夕刊にあるのですが、
2014年5月31日のおすすめ本がちょっと魅力的で。

セレクトしたのは恵文社一乗寺店 堀部篤史さん。
華やかでスタイリッシュな女性たち、時代を駆け抜けた女性たちの素顔を追って・・・ということで。

まずは 山崎まどか著「イノセント・ガールズ 20人の最低で最高な人生」2011年 アスペクト 税込1566円
人並の幸福に飽き足らず、とことん好きなことをやりぬいた20人の女性たちの数奇な人生を紹介した一冊。
戦後から1970年代にかけてのアメリカの「規格外の女たち」の生き方を著者は洋書や洋雑誌から丹念に集めたとか。

高橋靖子著「表参道のヤッコさん」 2006年 河出文庫 821円
フリ―スタイリストの先がけだった著者が試行錯誤し、デビッド・ボウイのフォトセッションもサポートするなど世界的に活躍するまでを描いた回想録。
デザイナーやミュージシャンなど綺羅星のごとく集まった才能の中で鍛錬する様子が刺激的。
「ものを作る世界では、それぞれのスタッフの組合せには蜜月がある。(略)ゆるくはかなく結ばれて、ヒトとその才能がくっついたり離れたりしつつ仕事をするほうがわたしには合っている」。
こんな言葉に著者の流儀が観てとれる。
表参道のセントラルアパートを舞台に60~70年代の文化人たちと刺激的な街が生き生きと描かれ、時代の証言としても貴重。

鴨居羊子著 「わたしは驢馬に乗って下着を売りにゆきたい」1973年 ちくま文庫 972円
新聞社と言う男社会でもまれていた著者が、下着デザイナーとなった回想記。
きっかけは雑貨店でみつけたひとひらの花弁にも似たピンクのガ―タ―ベルト。
身に付けた感動を「わたしの中身はピンク色に輝き、おなかは絶えず1人笑いをした」と表現する。
裁断も縫製も知らなかったが、
「法則をしっているためにそれにしばられるより、知らぬことを利用して思いきり自由な法則を作りだそう」と
未知の世界に飛び込む。
戦後質素な下着しかなかった時代にカラフルでセクシーな下着を次々と売り出し、下着ブームの火付け役に。
『藝術ではなく商売』を標榜し作品ではなく商品をつくることに固執した。
個展やショーで日本女性の下着に対する意識を刷新するなどバイタリティーも伝わってくるとか。

島崎今日子著 「安井かずみがいた時代」 2013年 集英社 1836円
これは記者のおすすめとしてのご紹介。
著者が作家林真理子やシンガーソングライター吉田拓郎といったゆかりの人物を訪ね、エピソードを交えて素顔に迫っている。
林が安井から教えられた大事なことが紹介されている。それは
「自分の手で稼いで贅沢すること」と「望めば、なんでも手に入るということ」だった。

この手の本は、一度目を通しておきたいという衝動にかられる匂いがする。
理想としては、図書館で、本命の小説とは別に3~4冊借り出して、ウォーミングアップ的に読むこと。

そう言えば、最近、そんな時間を贅沢に使った読書をしていない気が・・・^^;


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第18回手塚治虫文化賞

2014-05-06 07:54:18 | BOOK
日本のマンガはレベルが高い。
文学の一つのジャンルとしてみても良いと思うくらいテーマも表現も深く、広く題材を扱っていて大人の鑑賞に堪える物が多いというのが今や常識。

とはいえ、常時、その動向を追うほどの情熱や習慣もないわたくしにとって、一つの参考になるのがこの賞。
手塚治虫文化賞。
昨年に刊行・発表された作品のうち、最も優れた作品に贈るマンガ大賞は、専門家や書店員の推薦を参考に社外選考委員が持ち点15点(1作につき最高5点)で投票し、上位10作を最終選考会で協議という方式で決定。

選ばれた作品はそれぞれに興味深い。
機会があったら是非読みたい。

マンガ大賞
「3月のライオン」羽海野チカ

短編賞
「オンノジ」など 施川ユウキ

新生賞
「みつあみの神様」など  今日マチ子

読者賞
「宇宙兄弟」 小山宙哉

特別賞
「まんが道」「愛・・・しりそめし頃に・・・」 藤子不二雄A


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