memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

地中海へ 時空を超えて~本の旅~

2014-06-16 00:07:34 | BOOK
2014年6月7日 朝日の朝刊「こんなときこんな本」のコラム。
有隣堂新百合ヶ丘エルミロ―ド店高樋純子さんの勧める「地中海の魅惑」本の数々。

一押しは「ローマ帝国と地中海文明を歩く」本村凌二編著 2013年 講談社 税込2808円
西洋史の研究者たちが実際に訪れた経験をもとに古代ローマ遺跡について語る、読むだけで行った気になれる学術的ガイドブックだそう。

「マグレブ紀行」川田順造著、1971年 中公新書 864円
文化人類学の碩学が若き日に、「日の沈む国」を意味する北アフリカ西部のマグレブ地方を旅した思いをつづった。
高樋さんは「異国情緒を掻き立てられる描写の連続。執筆されてから40年以上経つ本書が今でも古びないのは、異文化を見る目の確かさが随所に感じられるから」と薦める。

「オリーブオイルのおいしい生活」朝田今日子著 2005年 文春文庫PLUS 637円
イタリアの田舎に住んだ著者が料理を軸にラテン的な生活体験を描いた。
「冬の寒い時期に行われると言う、2日間にわたる豚の解体が印象に残りました。地中海料理というと豊富な魚介や野菜が思い浮かびますが、やはり肉食文明なのですね。四季折々の生き生きとした暮らしぶりが伝わるエッセーです」と高樋さん。

記者のおススメは
「海賊ユートピア」ピーター・L・ウィルソン著 2003年 以文社 2808円
「背教者と難民の17世紀マグリブ海洋世界」の副題が示すように「海賊的自由」を求めて地中海を荒らし回ったイスラム教徒の海賊を活写した。
海賊船の船長が市長に選ばれ(ってどこのシモン・ボッカネグラ?^^)海賊都市として独立を宣言したり、海賊国家が成立したり、痛快な歴史小説を読むような面白さがあるのだとか。
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きものトータルクリニック吉本

2014-06-15 23:35:36 | 
きもののメインテナンスについて、シミ抜きや洗い張りの専門家は京都の年配の職人さんで、大変良心的なゆえに全国から依頼が殺到して、
その処理能力を超えている・・・というイメージがあります。

でなくても、近所のご年配の職人さんにお願いしているけれども、引退されたらどうしよう・・と先を心配する声もあり、
きもの愛好家の悩みは尽きません。

そんな折、東京で!?30代の凄腕?!と思わず2度見の記事がありました。

2014年6月9日の夕刊「凄腕つとめにん」に紹介されていたのは
きものトータルクリニック吉本 東京日本橋店長の庭野秀義さん39歳。

「ウチでだめならあきらめてください」
創業80年余、京都に本店がある染み抜き、直しの専門店「吉本」で、9年前から技術部門の責任者を任される。
どこに持って言ってもダメな時は庭野さんの出番。業界でそう一目置かれる。

ジュースをこぼして黒ずんだヴィトンのカバン、お尻がすっかり色落ちしたブランド物のスラックス。
クリーニング店が自分で失敗した預かり品の直しを依頼することも。

よく持ち込まれる着物に関しては展示品の色焼けを新品に戻す仕事が多い。
汚れを完璧に落とせても、生地の色が飛んでしまう場合は、部分的に染め直す「色かけ」をする。

目の前にある着物の症状を診断すると、ピンと背中を伸ばし・・・煮沸して溶いた染料を刷毛に染み込ませ、表面を撫でるように一気に刷毛を滑らせる。
毛先を当てたらやり直しは効かない。最も気を使う瞬間だ。しゃもじのようなコテで熱を当てると色が定着する。
厚さ1ミリ以下の生地のどのあたりまで染料が染み込むか、仕上がりが読める。

経験に裏打ちされた天性の感覚。教えて覚えられるものではない。とは吉本の前社長で相談役の松本康男さん(77)はその技に信頼を寄せる。
4年前からは東京日本橋店の店長も任される。

入社して19年。新品に蘇らせたのは1日に平均10点。着物だけで約4万点にのぼる。
修復が難しい場合は、柄を足してシミや変色を隠す。トータルで違和感のない風合いを出す創造力も求められる。

織物産地の新潟県十日町市の生まれ。漠然と家業を継ぐことを考えていたが、斜陽の呉服産業の状況に
「直しの技術なら、この先も必要とされるはず」大学時代の恩師の助言でこの世界に。

修復するのは品物だけでなく顧客の思い入れ、思い出だとか。
覚えておいて損はないお名前とみました^^
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時代を駆け抜けた女たち~本~

2014-06-06 06:15:27 | BOOK
本屋の店員さんがテーマを決めておすすめ本を紹介するコーナーが朝日の夕刊にあるのですが、
2014年5月31日のおすすめ本がちょっと魅力的で。

セレクトしたのは恵文社一乗寺店 堀部篤史さん。
華やかでスタイリッシュな女性たち、時代を駆け抜けた女性たちの素顔を追って・・・ということで。

まずは 山崎まどか著「イノセント・ガールズ 20人の最低で最高な人生」2011年 アスペクト 税込1566円
人並の幸福に飽き足らず、とことん好きなことをやりぬいた20人の女性たちの数奇な人生を紹介した一冊。
戦後から1970年代にかけてのアメリカの「規格外の女たち」の生き方を著者は洋書や洋雑誌から丹念に集めたとか。

高橋靖子著「表参道のヤッコさん」 2006年 河出文庫 821円
フリ―スタイリストの先がけだった著者が試行錯誤し、デビッド・ボウイのフォトセッションもサポートするなど世界的に活躍するまでを描いた回想録。
デザイナーやミュージシャンなど綺羅星のごとく集まった才能の中で鍛錬する様子が刺激的。
「ものを作る世界では、それぞれのスタッフの組合せには蜜月がある。(略)ゆるくはかなく結ばれて、ヒトとその才能がくっついたり離れたりしつつ仕事をするほうがわたしには合っている」。
こんな言葉に著者の流儀が観てとれる。
表参道のセントラルアパートを舞台に60~70年代の文化人たちと刺激的な街が生き生きと描かれ、時代の証言としても貴重。

鴨居羊子著 「わたしは驢馬に乗って下着を売りにゆきたい」1973年 ちくま文庫 972円
新聞社と言う男社会でもまれていた著者が、下着デザイナーとなった回想記。
きっかけは雑貨店でみつけたひとひらの花弁にも似たピンクのガ―タ―ベルト。
身に付けた感動を「わたしの中身はピンク色に輝き、おなかは絶えず1人笑いをした」と表現する。
裁断も縫製も知らなかったが、
「法則をしっているためにそれにしばられるより、知らぬことを利用して思いきり自由な法則を作りだそう」と
未知の世界に飛び込む。
戦後質素な下着しかなかった時代にカラフルでセクシーな下着を次々と売り出し、下着ブームの火付け役に。
『藝術ではなく商売』を標榜し作品ではなく商品をつくることに固執した。
個展やショーで日本女性の下着に対する意識を刷新するなどバイタリティーも伝わってくるとか。

島崎今日子著 「安井かずみがいた時代」 2013年 集英社 1836円
これは記者のおすすめとしてのご紹介。
著者が作家林真理子やシンガーソングライター吉田拓郎といったゆかりの人物を訪ね、エピソードを交えて素顔に迫っている。
林が安井から教えられた大事なことが紹介されている。それは
「自分の手で稼いで贅沢すること」と「望めば、なんでも手に入るということ」だった。

この手の本は、一度目を通しておきたいという衝動にかられる匂いがする。
理想としては、図書館で、本命の小説とは別に3~4冊借り出して、ウォーミングアップ的に読むこと。

そう言えば、最近、そんな時間を贅沢に使った読書をしていない気が・・・^^;


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