♦️916『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカの労働市場、労働者などの置かれた状況と対策

2020-05-03 17:54:42 | Weblog

916『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカの労働市場、労働者などの置かれた状況と対策

 

 アメリカでは、失業保険申請件数は労働市場の現状を映し出す指標とされている。米労働省が3月26日に発表した21日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比300万1000件増の328万3000件と、過去最多となった。

 

○もう少し詳しくみると、この間の推移は、こうだ。
 3月8日~4月11日をみると、労働省が発表する失業保険の新規申請件数(季節調整値)の動向は、急を告げるものとなってきている。

  具体的には、3月8日から3月14日までの3月第2週が28万1000件、3月15日から3月21日までの3月第3週が330万7000件、3月22日から28日までの3月第4週が686万7000件、3月29日から4月4日までの4月第1週が660万6000件、4月5日から4月11日までの4月第2週が524万5000件。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための厳しい対策によって経済活動が急停止し、一時帰休やレイオフが急増した。雇用の伸びは、かかる前までは米史上最長期間続いていたのが、ここにきてマイナスへ転じたとみられている。

 アメリカのエコノミストのかなり多くは、この時点にて、米経済が既に景気後退入りしているとみるのだが、景気後退はすでに昨年後半に始まっているのではないか。失業保険申請件数は労働市場の現状を映し出す指標とされている。
 労働省は当該週の申請件数の急増要因として新型ウイルスの感染拡大を挙げ、こういう。
 「3月21日終了週の失業保険申請件数の増加は新型ウイルスの影響によるもの」と指摘。「各州は引き続き、宿泊と食品サービスを中心に広範なサービス産業への影響を指摘した。そのほかに失業が大幅に増えた産業はヘルスケアや社会扶助、芸術、娯楽、輸送・倉庫、製造業だった。」

 

 4月の第二週になると、新規の申請者数は、やや減速してくる。米労働省が4月16日発表した先週の新規失業保険申請件数は、525万件に減少した。とはいえ、ここ1カ月での申請件数は合計2200万件となる。今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停止でにより、過去10年間に創出された雇用が事実上全て消失した。

 繰り返しになるが、新規業険申請件数(11日終了週)は525万件。前週は662万件(速報値661万件)に修正。過去4週間の失業保険申請件数は合計2200万件ということで、その分失業が増えていく構図だ。

 あわせて、事業閉鎖の影響がレストランやホテル以外にも広がっているという。ほかにもあって、システムの技術的問題などで未処理となっていた申請分が処理されたことも、高水準の数字が続いているのに寄与しているのではないか、とも言われている。それでも、大半の州では季節調整前ベースで新規申請件数が前週から減っている。

 今回の統計は、一説には、失業率がこの時点(5月11日)において少なくとも17%前後となっていることを示唆しているのではないか、と話されている。あわせて、失業保険の継続受給者数は、4月4日までの1週間に453万人増加し、過去最多の1200万人となった。

 

(続く)

 

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♦️915『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカの新型コロナ、中小企業対策の歩み(3.19~)

2020-05-03 17:29:17 | Weblog

915『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカの新型コロナ、中小企業対策の歩み(3.19~)

 

 今回の新型コロナによる危機では、中小企業対策にかなりの工夫がみられるので、まずその立ち上げから紹介しよう。

 約220兆円のCARES Act(経済支援法)が2020年3月19日に調印されたが、そのうちの約3950億ドルを投入するのが、「Paycheck protection Program」(以下PPP)と呼ばれる。

 

1.対象

 これの対象としては、従業員規模が 500 人以下の企業であれば、非営利法人・個人事業主・自営業者・請負契約者等もその対象に該当するとのこと。ただし、特定業界については 500 人以上の企業も対象になる可能性がある、。

 こちらの内容だが、大まかに、前述のような従業員が500人以下の中小企業や個人事業主を対象とし、ビジネス継続と雇用の保護のために使途を限定して融資される。

 より詳しくは、中小規模事業者の 8 週間分の人件費(給与および社会福利費含)を中心とする事業経費を補填するための資金を提供するもので、その中には人件費の他、借入金利・賃料・水道光熱費等を含めることができるとのこと。

 

2.申請窓口

 その申請窓口としては、米国財務省からの支援を受けた連邦政府の一機関「 Small Business Administration (SBA)」がその担当となり、SBAローンを受付ける金融機関が申し込み窓口となる。

 

3.主な内容


 このPPP の主な内容は、これまでの平常時の時の雇用確保策とは大いに異なる。それというのは、中小規模事業者の 8 週間分の人件費(給与および社会福利費含)を中心とする事業経費を補填するための資金を提供するもので、その中には人件費の他、借入金利・賃料・水道光熱費等を含めることが出来るからだ。 

 しかも、融資の形を取るものの、指定された用途にそのお金を使う限りにおいては返済義務が免除されるのだ。とはいえ、審査というものがあり、申請すれば必ず融資がおりるということではない。

 かかる返済の免除措置についてより詳しくは、まず、本プログラムの資金は融資形式で提供される、その資金の使途の最低 75%以上が人件費(給与・社会福利費含)に充当される場合、その部分については返済免除措置を受けることができるとのこと。

 また、当該融資の返済は 6 か月間は猶予され、担保や個人保証は求められず、米国政府も受付け金融機関も、如何なるフィーも徴取することはないとのことだ。

 さらに、まだ細かい話があって、従業員の雇用継続または早急なる再雇用が前提ということなのだが、当該融資の返済免除措置を受けるための前提として、従前と同様レベルの給与水準を維持した上での雇用継続および一時解雇の場合は早急なる再雇用が求められているとのこと。他にも、正規雇用者の人数が減少した場合や給与水準が減額された場合には、返済免除額も減額される。

 

4. 申請開始日について


 上記の中小規模事業者と個人事業主は 2020 年 4 月 3 日からその申請が始まり、自営業者と請負契約者は 2020 年 4 月 10 日からその申請が開始される。

 

5.実施に入っての状況、問題点など

 この制度が始まってからは、申請が相次いでおり、窓口は「パンク」状態に陥っていく。

 

(続く)

 

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