916『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカの労働市場、労働者などの置かれた状況と対策
アメリカでは、失業保険申請件数は労働市場の現状を映し出す指標とされている。米労働省が3月26日に発表した21日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比300万1000件増の328万3000件と、過去最多となった。
○もう少し詳しくみると、この間の推移は、こうだ。
3月8日~4月11日をみると、労働省が発表する失業保険の新規申請件数(季節調整値)の動向は、急を告げるものとなってきている。
具体的には、3月8日から3月14日までの3月第2週が28万1000件、3月15日から3月21日までの3月第3週が330万7000件、3月22日から28日までの3月第4週が686万7000件、3月29日から4月4日までの4月第1週が660万6000件、4月5日から4月11日までの4月第2週が524万5000件。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための厳しい対策によって経済活動が急停止し、一時帰休やレイオフが急増した。雇用の伸びは、かかる前までは米史上最長期間続いていたのが、ここにきてマイナスへ転じたとみられている。
アメリカのエコノミストのかなり多くは、この時点にて、米経済が既に景気後退入りしているとみるのだが、景気後退はすでに昨年後半に始まっているのではないか。失業保険申請件数は労働市場の現状を映し出す指標とされている。
労働省は当該週の申請件数の急増要因として新型ウイルスの感染拡大を挙げ、こういう。
「3月21日終了週の失業保険申請件数の増加は新型ウイルスの影響によるもの」と指摘。「各州は引き続き、宿泊と食品サービスを中心に広範なサービス産業への影響を指摘した。そのほかに失業が大幅に増えた産業はヘルスケアや社会扶助、芸術、娯楽、輸送・倉庫、製造業だった。」
4月の第二週になると、新規の申請者数は、やや減速してくる。米労働省が4月16日発表した先週の新規失業保険申請件数は、525万件に減少した。とはいえ、ここ1カ月での申請件数は合計2200万件となる。今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停止でにより、過去10年間に創出された雇用が事実上全て消失した。
繰り返しになるが、新規業険申請件数(11日終了週)は525万件。前週は662万件(速報値661万件)に修正。過去4週間の失業保険申請件数は合計2200万件ということで、その分失業が増えていく構図だ。
あわせて、事業閉鎖の影響がレストランやホテル以外にも広がっているという。ほかにもあって、システムの技術的問題などで未処理となっていた申請分が処理されたことも、高水準の数字が続いているのに寄与しているのではないか、とも言われている。それでも、大半の州では季節調整前ベースで新規申請件数が前週から減っている。
今回の統計は、一説には、失業率がこの時点(5月11日)において少なくとも17%前後となっていることを示唆しているのではないか、と話されている。あわせて、失業保険の継続受給者数は、4月4日までの1週間に453万人増加し、過去最多の1200万人となった。
(続く)
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