♦917『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナと中国(~2020.12.08)

2020-05-10 12:00:00 | Weblog

♦917『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナと中国(~2020.12.8)

 

 中国での感染及び対策などの状況ですが、主な流れを以下に記していきたいと考えます。

 

〇2019年12月30日午後5時43分、湖北省武漢市で医院を営む李文亮医師がネット配信にて「貨南水果海鮮市場確診7例SARS」の表題にて、人々に注意を喚起した。

 なお、以下では、現代中国語の漢字が日本漢字と大きく合わない場合があることから、そのときは適当な日本漢字なりを探して充てたい。蛇足ながら、戦後のある時、周恩来・当時の首相が日本側と漢字をできるものは一致させてはどうかと提案があったものの、当時の日本政府は断った経緯がある。

 なお、文中に紹介の中国の一般市民からの情報については、これまでのところ、主にテレビで放映された番組からの引用が欠かせません。その1としては、郭晶「武漢封城日記」、5月27日NHKのBS1で放映の「武漢封鎖76日記録、日記とラジオ市民の声」、5月25日NHKのBS1で放映の中国国営放送「武漢の24時間、ロックダウン・中国の記録」

 

〇それにもかかわらず、武漢市衛生健康委員会初の市民向け知らせには、こうある。「人から感染する証拠はない。状況はコントロールできる。」(「未発現明確的伝人証拠」)というのだ。

 

○2019年12月31日、武漢市政府が、原因不明の肺炎患者を確認したことを発表する。

 

○2019年12月31日に、中国はWHO(国連の世界保健機関)に、その事を報告している。

 ここにいうWHO(世界保健機関、1948年に設立)の本部は、2020年5月現在はスイスのジュネーブに、その事務所は世界150か所以上あるという。2020年5月現在で194かヵ国が加盟していて、職員は7000人以上に上るという。運営については、年に1回の総会で予算や政策などを決め、その執行は年2回の執行理事会で行われている。

 

 

○2020年1月1日、武漢市の公安当局が、ネット上にて事実と異なる情報を流したとして、8人を拘束、処分したことを発表する。

 

○武漢市肺科医院の杜栄輝(DU  RONGHUI)医師は、1月3日、CT画像にかつてない異常を見つけた。
 いわく、「大勢の肺炎患者を診ます。アデノウイルス、パラインフルエンザ、H1N1型インフルエンザもあります。」「一度に5~6人の初診の患者が来て、見たこともない肺炎の症状が、どの患者のも似ていて、ほぼ同じでした。胸膜に沿った部分も気管支に沿った部分も真っ白でした。」

 

○1月3日、米国の疾病対策センター(CDC)長官が、中国側から直接「武漢で原因不明の肺炎患者」の発生連絡を受ける。

 

○1月6日、アメリカが、中国にCDC専門家の派遣を申し出るも、中国は認めず。

 

〇1月6日、武漢市政府は、「原因不明の肺炎が発生している」ことを再び発表する。最初の症例は、2019年12月12日とあって、それから2020年1月5日までの間に、合わせて59人が感染したとのこと。

 

○1月9日、新型コロナウイルスが病原体であるとの専門家の判断を、国営テレビが報道する。

○1月14日、WHOが中国当局による予備調査では「人から人に感染するという明白な証拠は見つかっていない」とツイッターに投稿した。
 ちなみに、WHOの専門家は同日、(人から人への)限定的な感染が起きている可能性があると述べている。

 

○1月14日から、武漢の空港、駅、バスの発着所などで、体温を検査するサーモグラフィーを335台以上配備した。


○1月15日、武漢市政府が、人から人への感染について「明確な証拠は見つかっていない」「感染の可能性の排除はできない」との見解を発表した。


○1月15日、習近平国家主席が、感染対策に全力を挙げるよう指示したと、新華社が報道した。

 

 

〇1月19日、武漢市で「万家宴」と称し、大勢の市民が市当局に招待されるなど、盛会であったという。

 

〇1月20日~、中国国家衛生健康委員会が、今回のウイルスは「人から人へ感染する」と先の見解を改めた。国営テレビ報道によると、「中国共産党の最高指導部は会議を開き、新型コロナ対策チームから報告を受け、今後の取り組みを話し合いました」とある。

   その画面にて、「中共中央政治局常務委員会召開会議」、研究加強新型冠状病毒感染的肺炎工作疫情控工作」とのタイトル、および「我能力的一時大考、我門一定要総結経験、吸取教訓。要針対今次疫情〇対中暴露出来適短板和不足、健全国家〇急管理体系、・・・」云々とある。要は、「我々は、今回の対応のまずさを、次の教訓に生かさなければならない、・・・」というのである。

 

○1月21日、アメリカ西海岸のワシントン州で、武漢から帰国した男性が感染していることを確認した。それが、アメリカでの感染第1号。

 

○1月31日、アメリカが、中国全土からの入国を制限する。

 

○2月7日、トランプ大統領と習近平主席が電話会談を行い、習近平氏はアメリカの入国制限の再考を求める。

 

○2月16日、WHOが、中国へアメリカ人2人を含む専門家を派遣した。
3月27日、、トランプ大統領と習近平主席が電話会談を行い、トランプ氏は「緊密に取り組む」と表明する。


🌕二月下旬、中国政府は、ウイルス感染が心配される野生動物の取引と消費を全面的に禁止した、と言われるものの、詳細は明らかでない。

 

○4月9日、国連安全保障理事会が、新型コロナの対応にちいて初会合を行うも、決議は採択できず。

 

〇1月22日、中国保健当局の記者会見が国営テレビで放映された。

 国家衛生健康委員会の李・副主任いわく、「医療従事者間や集合住宅で人から人への感染が拡大された。・・・武漢へは行かないでほしい。武漢の人は特別な事情がない限り市外に出ないでほしい。」

 「全力」で事に当たろうという見出しの当局の公告には、「2020年1月23日10時」を期して、「全市全城」を封鎖状態におき、市民の理解を「総請産人市民、旅客理解支持」との表現でねがう形であり、大上段からの、こわもてのものではないことに留意したい。


○1月22日、WHOの調査団が訪中し、武漢において人から人に感染したという証拠はあるが、完全に解明するにはさらなる調査が必要との見解を示した。



○1月23日、WHOが緊急委員会の結果として、この時点での緊急事態宣言を見送る。

 

〇1月23日、武漢市にロックダウン(都市封鎖)が発動される。鉄道は、武漢漢口駅などに堰が設けられ、入れなくしている写真が放映された。同市にある天河国際空港では、全便が欠航した。この日のことを、「武漢封鎖76日記録」(台湾において発行)の著者(武漢市在住)は、こう振り返っている。

 「目が覚めたら、武漢のニュースを知って、頭が真っ白になった。封鎖って何?いつまで続くの?私はどうすればいいの?全てがわからない。」 

 

〇1月28日付けの「ネットメディアにおける新型コロナウイルスによる肺炎の報道方針」(国家ラジオテレビ総局発)によると、「医療関係者の感動的な物語(「感人故事」)を宣伝しプラス面を描くこと」などと、利用者に指示があった。

 

○1月27日には、WHOのテドロス事務局長と幹部3人が北京に飛んだ。「公式の招待を受けたのは午前7時半。その日の午後8時には飛行機に乗っていた」という話が伝わっている。

 

○テドロス氏は、1月28日に習国家主席と会談を行う。そして、データと生物学的資料を共有することを特に協議したという。テドロス氏は習氏と握手する写真をツイッターに投稿し、「率直に協議した」、「(習氏は)歴史に残る国家的対応を担った」と書き込んだ。


○1月30日には、WHOが緊急事態を宣言した。また、アメリカが中国全土への渡航禁止をWHOに勧告する。

○2月、WHOは、この感染症を、英語のコロナウイルス(coronavirus)と病気(disease)とを組み合わせ、「COVIDー19」と命名した。


○2月3日には、テドロス氏がWHOの執行理事会で、「不必要な渡航・貿易制限」は勧めないと発言した。

〇2月7日、最初に感染を注意喚起した李文亮医師が、新型コロナの為死去した、と伝わる。彼は、前に市当局・警察から「デマを流した」と非難され、「自分の違法行為を反省しなさい、さもなくば法律により処罰する。わかったか?」(警察)と訊問された。その「訓戒書」(1月3日付け)には、「社会秩序を乱した」とか「法律違反だ」などとある。死後しばらくになって、一転、彼は「英雄」を意味する「烈士」とされるも、当局の責任は地方幹部の更迭にとどまった模様だ。

 ちなみに、彼の最後のネットへの投稿画面が残っていて、病院のベッドの上で呼吸器をつけた状態のものであって、「健全な社会の声は一つであるべきではない。治ったらすぐに現場に戻りたい」とのことである。この言葉は、たぐいまれな教訓そして真の勇者の偉大な発言として、世界の人々の間に永く語り継がれることだろう。

〇2月11日の武漢市(人口は約1100万人)では、累計で2万人の感染者を確認した。2月12日には、3万人を超える。この一日で1万3436人増とのこと。中国国家衛生健康委員会調べ。なお、この時点では、集計に漏れている人が多いのではないか、との指摘が多く寄せられていた。もっとも、この類いのことは中国ばかりではなく、4月のイギリスやアメリカの統計にも向けられている。

 

🌕ここに最前線でコロナ対策に当たったのが、日本の自治会に相当程度類似の役割を担う「社区」に他ならない。この組織が新型コロナに対して行うことは、並大抵のことではあるまい。
 まずは、地区の出入り口での体温検査や感染者の隔離、健康QRコードの確認といったことを徹底しておこなう。ただ一人の住民も、管理の枠外に追いやることはないという。
 そうして世界でも、まれに見るほどの注目を集めているその社区を、一説には、行政の末端組織としてコントロールしているのが中国共産党並びに政府だというのだが、実はそのルーツは、大方近代中国以前から自主的住民組織として受け継がれてきているものだという見方もあり、後者の立場からは一方向だけの捉え方では不十分なのではないかと考えられる。

○2月10日には、上海、北京など主要都市で、企業の操業が再開される。

 

○2月14日からのこととして、武漢の空港、駅、バスの発着所などで体温を検査するサーモグラフィを335台以上配備した。

 

〇2月17日付けの「中国共産党新聞」によると、「第一線で戦いにあたっている医療従事者に「致尊」」と表題にて、その中には「医療従事者は党の呼びかけに応じ人民を守る責務を全うして崇高な精神を見せてくれた」とある。

 

○2月20日、習近平国家主席が、対策に全力をあけるよう指示したことを、新華社が報道する。また、中国チームの専門家トップが、「人から人への感染が認められる」と指摘した。

 

○3月1日、中国政府は、「ネット情報コンテンツ環境管理規定」を施行した。「デマ」はもちろん、政治や経済、社会の秩序を乱す情報をネットを使用して流すのを禁じる内容だという。

 とはいえ、具体的に何がそれに当たるのかを巡り、論点は尽きない。例えば、「ネットコンテンツの制作者は国益を損なってはならないとし、献身的な仕事で「英雄」と称される党員の功績を否定する内容や、宗教政策の批判なども禁じる。自然災害や重大な事故に際し、「不当」な評論をさせないことも求めている」(2020年3月3日付け朝日人新聞)という。




○3月11日、WHOが、世界的な大流行を意味する「パンデミック」の状態だと認定する。



○3月12日時点での国内では、200以上の都市が採用しているというシステムに、「健康証明」がある。これを利用する段階には、自分のスマートホンを手にして、当該掲示板なりにしつらえてあるQRコードにアクセスしたりで、当該アプリを手に入れる。そしてこれの画面にて身分証番号、家族関係や移動履歴などの個人情報を登録すると、その人が感染しているかどうかのリスクが、緑、黄、赤の3段階で示されるという。
 個人情報を向こうに明かす見返りに、自己に関わる安全情報を入手できるという触れ込みであって、今のところ強制ではないものの、一部では登録しないと職場に復帰できなかったり、店舗に入れなかったたりすることがあるという。ちなみに、この時点での北京市政府ホームページには、当該「健康コード」のデモ画面が掲載されており、顔写真の下に「異常なし」とかの表示があるという。

 

○3月12日には、国家衛生委員会が、「感染のピークは過ぎた」と発言した。
○武漢市でとられた主な対策として伝わっているのは、次の通り。まずは、移動の制限が行われていく。1月下旬からは、市外との交通を遮断、市内交通機関の停止、それに市街地での自家用車の通行禁止。2月中旬からは、外出の原則禁止を打ち出す。次には、感染者の発見と隔離、そして治療。こちらは、2月上旬から重症者用の臨時病院2棟を建設した。新型コロナ専門の「火神山医院」は、工期10日で、2月3日に開院にこぎつけたという。同じく2月上旬、軽症患者のための臨時病院の14棟を開院した。2月中旬からは、全市民に対し1日2回の体温測定を義務付けした。

 

 

3月25日先進7か国外相会議にアメリカのポンペイオ国務長官がでかけて会議終了後に会見し、「武漢ウイルス」の呼称を用いるとともに、「中国共産党は我々の健康と生活のあり方に対する重大な脅威となっている」と批判したという。これに対しての外務省報道官は、「ウイルスの起源は複雑な科学的問題、米国の最優先課題は、自国の感染を食い止めて国際的にも役割を果たすことであり、中国の信用を傷つけて責任を転換することではない」と述べたという。
 これは一体どういう類いの話なのだろうか。そう考えるうちに思いだされるのが、かの「スペイン風邪」との命名に当時のスペインは反対したという。だが、そのかいなく、汚名を着せられてしまったという。今では、当時のアメリカから当該ウイルスが世界に広がったとされているものの、当時のこの方面の科学的知見は今日よりかなり低かったから、その分スペインの反論が劣勢に流されていったのは、あながち見当違いではあるまい。
 今回、日本の保守系メディアの中にも、アメリカのかかる主張を「グロテスク」とさえ形容していることから、憎しみしか生み出さないようなこのアメリカ政府の態度に同意できないというのが正論ではなかろうか。ちなみに、武漢のウイルス研究所から漏れだしたのではないかとか、そのウイルスを武器として実験中であったのではなどと、色々な説が日本でも飛び回っていたようなのだが、ようやく沈静化してきたようだ。

 

 

○3月31日、中国国家健康委員会は、新型コロナウイルスに感染しながら症状のない「無症状者」の数を、4月1日から新たに計上すると発表した。この措置は、無症状者を介した感染拡大が言われる中で、方針転換したものだという。
 それというのも、無症状なのに感染するのが、このウイルスの特徴だと追々わかってきた。それまでの中国政府は、「無感染者が感染を広げる確率は低い」として、数字の公表からはずしていたというのだ。
 それでも問題は多々あるようで、続けてこう報道されている。「国家衛生健康委員会は31日、当局が把握している無症状者が「30日までに1541人を数え、うち205人が外国からの入国者だ」と明らかにした。一方、香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国の政府統計に入らない無症状者が2月末で4万3千人以上いたと報じている」(4月1日付け朝日新聞)という。

 

○3月1日、ニューヨーク市ではじめての感染者が確認された。デブラシオ市長は、「市民には日常生活を続けてほしい」と語っていたという。これを報道した新聞は、同市を含むニューヨーク州とカリフォルニア州との差がどうしてできたのかを、現地の話としてこう伝えている。
 「当時。NY州(約1950万人)の感染者は約200人。人口が2倍超のカリフォルニア(CA)州と同程度であったが、いまNY州では10万人を超え、CA州の10倍近くに上る。
 国内では、外出規制令を出した時期が明暗を分けたとの指摘が上がる。NY州は22日、CA州の主要都市より5日遅れた。この5日間でNY州内の感染確認者は10倍超の1万7千人に急増。さらなる感染拡大を招く要因となった。」(朝日新聞、2020年4月5日付け)

 

〇4月2日、最初に感染を注意喚起した李文亮医師が、新型コロナへの注意喚起をしたことで人民に貢献したとして、「烈士」の称号を与えられる。

 

 

○4月15日、アメリカが、WHOへの拠出金の支払い停止を表明した。

 

○4月17日、武漢市政府は、これまでの累計確認死者数を訂正した。この訂正により、17日午前0時での武漢市の累計確認死者数は3869人となり、これは、これまで公表していた数より1290人多かったという。同市内の累計確認感染者数も、これまでより325人増えての5万333人と訂正した。市政府は、今回「調査を尽くし、自発的に訂正した」としており、情報開示に向けてやや前進したのではないかと、各国メディアからも見られている。
 おりしも4月15日の中国国家衛生健康委員会は、新型コロナウイルスに感染しながらこれといった症状のない「無症状者」の累計人数が6764人だったと、初めての公表に踏み切った。

 

○3月26日、サンチェス首相は、中国の習近平国家主席と電話会談をして、医療物資の援助を要請したという。ちなみに、「AFP通信によると、中国のIT大手アリババ集団は同日、200万枚のマスクをスペインに送ると表明した」(3月26日付け朝日新聞)という。


○4月19日までに明らかになった話として、「新型コロナウイルスは中国・武漢ウイルス研究所から始まった」というアメリカ・サイドからだされている話について、「その可能性は絶対にない」とする同研究所職員の反論を中国国営メディアが伝えたという。同研究所の所長と、同様に話したという。

 また、19日までに放送されたテレビ放送から、同研究所の袁志明(えんしめい)研究員は「われわれには厳格な(ウイルス)の管理制度がある」「退職者であれ学生であれ、職員は1人も感染していない」と述べたという。

 もっとも、アメリカ大統領と国務長官のこれまでの一連の発言は、証拠を示しての話ではなく、中国に政治的な圧力をかけ、また中国を国際的な孤立に追い込もうとする政治的立場からのものである可能性が強いのではないか。

 

○4月24日、「「Immuniry  passports(感染パスポート)  in  the  context  of  Copid19」(「Scientific  Brief  24  April  2020」)において、WTO(世界保健機関)は、「抗体ができたとしても、2度目の感染を防げるかは不明」との見解を示した。

 

〇4月26日、武漢市の新型コロナの感染患者の、残っていた全員が退院したと発表した。中国政府の統計によると、武漢市で入院した患者は累計で5万333人、3869人が亡くなり、4万6464人が治癒して退院した。同市での入院患者数は同月24日に47人であったが、そのうち約30人は症状が治まってもPCR検査で陽性が出続けていたという(朝日新聞、4月27日付け)。

 

〇5月2日から、武漢市を含む湖北省で公衆衛生に関する警戒レベルを最高1級から2級に引き下げた。湖北省政府が1日に発表した。中国は、感染症など公衆衛生上の警戒レベルを4段階で定めているとのこと。


 

〇米国東部時間の5月6日、米軍制服組のトップのミリー統合参謀本部議長が、新型コロナの発生源についての見解を記者会見で述べた。結論は、「われわれにはわからない」というものであった。また、元の軍幹部は自身のブログであろうか、このウイルスは自然から発生し、その由来も人為的なものではないのではないかとの見解を発表しているとのことであり、大統領や国務長官のこれまでの見解と一致していない。後者は、これを受けてであろうか、「確かだが、証拠はない」などとこれまでの強硬な主張から後退しているとのこと。

 そもそもWHOは、政治ではなく科学でもって、この問題を明らかにすることを訴えており、アメリカ首脳が根拠が示せない段階で中国を「悪呼ばわり」するのは、自らの意図が政治的なものであることをひけらかしているような印象も与えかねず、世界で今苦しんでいる中建設的な話にならず、いかがなものかと思う。




○5月13日、上海協力機構の外相会議でロシアのラブロフ外相はアメリカのコロナに関する対中攻撃を非難したと、環球時報が伝えた。14日の中国国営の中央テレビ局「CCTV」も、このラブロフ外相の発言を報道した。


○5月24日、北京で開催中の全国政治協商会議(全国政協)に出席している医師の孫鉄英・政協委員が、朝日新聞の取材に応じたという(同紙、2020年5月27日付け)。
 新型コロナウイルスへの対応で湖北省武漢市にも支援に入った孫氏は「(異常を察知し))医師に、中央政府に直接報告する権利を与えるべきだ」と指摘した。各界有力者が集うこの会議で、現場の医師が察知したら、国家衛生健康委員会に直接報告しなければならないとする制度の創設を提案する予定だという。
 これまでも、SARSの蔓延を受け病院が深刻な症例を中央機関に通報するシステムが設けてあったのだが、手続きの煩雑さもあり、役に立たなかったことが背景にあるという。今回の中国での初期対応の不備を反省し、感染症の初期情報が滞らないようにしたいとのこと。

 

 

(続く)

 

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