○553『自然と人間の歴史・日本篇』検察庁法改正で揺らぐ検察の公平性

2020-05-15 21:38:57 | Weblog
553『自然と人間の歴史・日本篇』検察庁法改正で揺らぐ検察の公平性


 日本中が新型コロナウイルスの感染拡大に揺れているなか、国会である事案を巡っての与野党の攻防が山場を迎えている。それには、大方こうある。

 まずは国家公務員法改正案で、2030年度を目とに定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる。これには、野党も賛成という。
 ついで検察庁法改正案が出ていて、こちらはまず検察官の定年を段階的に63歳から65歳に引き上げる。これにも、野党は賛成だという。
 問題だとされるのは次にある、検事長らは63歳で退く「役職定年」を設けるというのだが、野党は反対、削除をもとめているという。それというのは、内閣の判断で、かかる「役職定年」を最長3年延ばせるという内容となっており、2020年4月1日に施行するというのであって、今国会で揉めているのだ。

 おりしも、2020年5月15日には、松尾・元検事総長(松尾氏は1968年に検事任官。他の仲間とともに、ロッキード事件では贈賄側を取り調べた経験があるとのこと。法務事務次官を経て2004年から2年間に当職)らの元検察14人が意見書を提出したという。
 しかしてこの中では、黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長の閣議決定を「違法だ」と指摘しているという。その文面は、なかなかに勇ましい。
 現状について、「(検察庁法上の)定年を超えての留任という異常な状態が続いている」としたのは、自然体での発言ではないか。念のため、世の中の流れとしての「定年延長自体」に反対しているのではない。
 その上で、同意見書は、今回の検察庁法改正案の当該部分は「違法な決議を後追いで容認するものだ」という。「安倍総理は、「朕は国家なり」といったルイ14世」を思い出させる旨、引用もしているとか。
 彼らがこうまでいうのは、これについての閣議決定の前後から改正案提出の一連の動きにいたるまでが、国民のかなりは「安倍内閣になってからは、なんでもかんでも、まずは閣議決定でやっていく」のが慣わしとなってきたことに対し、大いなる違和感を覚えてきたのではないか。
 そういうことだから、安倍首相は国会などで「黒川氏については、まだ何も決めておりません」と答弁しているのだが、これまでの彼のあれこれ(さしあたって、森友学園での官民の癒着、加計学園獣医学部への疑惑で安倍夫妻が果たした役割を巡る問題、税金を投入しての桜を見る会に絡む問題など)の問題での国民への杜撰(ずさん)な説明の記憶もあって、信用できない。

 今回の騒ぎも、安倍氏らがまずは黒川氏が「余人をもって代えがたい」と評価付けした上で、自分たちのいいように運びたい、それも含めて今回、政権が、これからは自分たちの都合のいいように検察首脳を操りたい、ということではないか。
 およそこのような話に今回なっていったのには、文化人の大いなる役割があった。それというのも、「今回の政府のやり方は、どう考えても国民をないがしろにするものであって、決して許してはならない」という声は、ツイッターとなって、国民の間に拡散していく。そのスピードは、これまでの最高であったのではないか。誠に、勇気ある、そして頼もしい呼び掛けである、

 

 それゆえ、この度の検察庁OBの皆さんによる同意見書が、続けて、このような政府のやり方は、「検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとするものであり、看過できない」と批判しているのは、全く同感だ。また、「検察官というのは、(安倍首相の言うような」行政官に留まるのではなくて、準司法官としての性格ももつ」というのも、妥当な考えだと思われる。
 
 はたして、自民党議員の一部からも、このごり押しをするのは良くないといい、連立の公明党はだんまりを決め込んでいるのだろうか、両党とも一体どこを向いて国政を担当しているのだろうか。国民のかなり多くからこういう嫌疑がかかっているところへ、なぜいま強硬採決への道を歩むのをやめないのだろう。(5月15日夜)
 
 
 話は、その後も続くのであって、安倍氏がやり直しをほのめかして、今回はごり押しで決めるのをやめたのであった。
 ところが、そんな折、今度は黒川氏が新聞記者(朝日新聞が1人、産経新聞が2人という)とかねてから月に1度以上のペースでかけ麻雀をしていたという。しかも、国内が新型コロナでの非常事態宣言下にある5月になっても、その会をやめずに「三密状態」で楽しんでいたというのであるから、驚きだ。
 そして、これをマスコミに批判され、さすがに少しは反省したのだろうか、黒川氏が辞職をしたいと「辞職」申し出ると、政府はこれを受理、法務省は彼を訓告処分とした。これだと、法務省止まりの軽い処分であるからして、退職金は全額払われる話らしい。
 
 しかる後、国会で責任を追及された法務大臣は、安倍総理に「進退伺い」をだしたが、慰留され、黒川氏の後任の人事をしたいという。法務大臣の上司にあたる安倍氏は、「黒川氏の定年を延長したこと自体は問題なかった」とか、この「責任は私にあります」と一応は答弁するのだが、元々は彼が肝いりで同氏を定年後も現職に留まらせていたのであって、今になってまるで他人事のようにいうのはおかしい。
 なお、現内閣は、ここに至っても同法案を廃案もしくは練り直すというような妥協をしておらず、この問題の落ち着き先は見えていない。
 
 
(続く)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

♦️920『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナウイルスとの闘い(ロシア、ブラジル、南アフリカ)(5.19改訂)

2020-05-15 07:16:06 | Weblog

920『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナウイルスとの闘い(ロシア、ブラジル、南アフリカ)(5.19改訂)

 

【ロシア】


〇新型コロナウイルス感染拡大の中、ロシアでははじめは大方大丈夫ではないかと思っていた節があるものの、5月に入って世界第二位の感染者数になり、死者は2千人台で推移ながらも、モスクワなどの市中には緊迫感が漂うようになっているとのこと。

 といっても、ロシア政府の5月12日午前(日本時間夕)の発表によると、国内の確認された感染者数の累計は23万2243人ということで、1か月前のほぼ15倍に上る。政府は「検査数を大幅に増やしたことも一因だ」としている。


〇5月11日、プーチン大統領が、民間企業の休業措置を12日から解除し、建設業や資源採掘などの基幹産業を同日から解禁すると発表した。「これらの業種は雇用が非常に多い」「消費者と接触する必要がなく、リスクが低い」という理由を挙げている。

 

〇12日からは、既にかなりの数が行われているPCR検査に続いて、大規模な抗体検査が行われるとのこと。モスクワ市では、一日最大20万の検査キットを用意するという。 感染後に血液中に抗体ができているかどうかを調べるもので、感染状況を全体的に把握するのに効果があるといわれる。

 
〇プーチン氏の大統領の地位を延長するためと大方に受け取られているの憲法改正論議は、この感染拡大で凍結されているようだ。今後の対コロナ対策がうまく行われないことで感染拡大が収まらないようなら、政権への不満がそれだけ増す流れではないだろうか。

 

(続く)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【ブラジル】


〇5月13日のブラジルでは、新型コロナウイルスの確認された感染者が18万9千人を超え、死者も1万3千人を超えたと発表した。ここでの現下の特徴は、大統領が経済活動の制限緩和、外出制限解除に積極的であり、これに慎重な州政府や市民との間で争いが起きていることだ。

 

〇5月17日午後5時時点のジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、ブラジルでの確認された感染者数は23万3511人で世界で4番目に、死者は世界で6番目に多い1万5662人となり、中南米ではいずれも最も多い。

 

518日のBBCニュースによると、ブラジル最大の都市・サンパウロのブルーの・コヴァス市長は、同市の公立病院の病床利用率が90%に達し、今後2週間以内に満床になるとの見通しを述べたという。

 

○5月18日、サンパウロのファベーラと呼ばれる貧困地区の人々が、生活を保障せよとの要求を掲げ、デモを行う。

 

〇このところ、通貨レアルの低落も続いており、これがひどくなると、財政からの援助にも影響を与える。

 

○6月5日のブラジル政府と保健省は、新型ウイルスの感染者数、累計死者数の発表を停止したという。これまでは、保健省のホームページで公表していた。これに対し、新型コロナをめぐる路線対立で4月に解任されたマンデッタ元保健相は6日、「我々は情報の破壊という悲劇を見ている」と非難した。
 ボルソナロ大統領は、目先の経済を優先し、国境封鎖や外出自粛令に反対してきた。このやり方は、州知事との対立で、新型コロナのまん延を許したと国内外から批判されている。それでも同氏は5日、米国に追随する形で世界保健機関(WHO)からの脱退も示唆しているという。
 ジョンズ・ホプキンス大のホームページでは同6日、ブラジル政府の情報公開が止まったことを受け、ブラジルのデータを一時外した。その後、データを更新し、日本時間7日午前8時時点でブラジルは累計感染者数で世界2位、死者数で3位となっているという。

 

(続く)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【南アフリカ】


〇5月10日時点での南アフリカの新型コロナウイルスでの確認済み感染者数は、1万2739人、死者は238
人というが、どこまで信じていいかわからないという。5月に入っても拡大が続く。5月10日時点では、3月27日から都市ではロックダウンが実施されている。それを5月1日から段階的に緩和する動きになっている。

 また、政府の救済策が遅れていて、貧困層の生活が圧迫されていることから、各地で暴動が起き、軍隊が出動しているとのことだ。

 

(続く)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


♦️921『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナウイルスとの闘い(インドネシア、イラン、トルコ)

2020-05-15 07:16:06 | Weblog

921『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナウイルスとの闘い(インドネシア、イラン、トルコ)

 

【インドネシア】

 

○3月31日のインドネシアでは、政府が、感染症のうち30日までの首都ジャカルタ特別州での新型コロナでの死者が76人であったと発表した。これに対し、同州のアニス知事は、州独自で亡くなった患者の埋葬を追跡してきた結果を公表した。それによると、同6~29日の間に「死後4時間以内に埋葬する」などという手順で計283人の患者が埋葬されていたという。
 けれども、「首都では感染を確認する検査の普及が遅れたこともあり、これら283人の大半が政府統計に含まれていない」(4月1日付け朝日新聞)と指摘する。


〇新型コロナウイルス感染拡大の中、インドネシアでは、はじめこそ大方大丈夫ではないかと思っていた節があるものの、4月8日時点でいうと、2738人の確認感染者数があり、221人が死亡していたという。

 それというのも、3月2日までは確認された「感染者ゼロ」が続き、その後に感染がみつかり、急拡大したことになっている。

 このあたりの事情については、例えば、次のように言われている。

 「だが、首都ジャカルタ特別州の墓地では3月の埋葬数が前年同月比で千件以上増加しており、アニス知事は「新型コロナ以外の理由を探すことは困難だ」とはっぴょうされている患者数に疑問を呈している。」(産経新聞、2020年4月9日付け)

 「感染拡大の当初から水面下で蔓延していた恐れもある。同国のカラ赤十字総裁は検査能力の不足のため、感染者が「普通の発熱か、テング熱と診断されるのではないか」と懸念する。」(同)

 

○5月15日付けで、エリック・トヒル国営企業相は、在宅勤務が定められているジャカルタ首都圏などで、国営の会社や工場で25日から経済活動を順次再開させ、45歳以下の職場復帰を促すとの通知を出した。

 

 

(続く)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【イラン】

 

○3月に入ってのイラン政府は、IMF(国際通貨基金)に、新型コロナウイルス対策の名目で50億ドルの融資を要請した。

 

○4月5日のイランでは、ロハニ大統領が「健康管理と経済活動の両立は可能だ」といい、そう事を荒立てないで対応することは可能だと言いたいのかもしれない。


〇4月8日夜時点でのイランでの新型コロナイルスの確認された感染者は6万7286人、死者数は4003人だという。それが、日本時間で5月16日午後5時時点でのイランでの新型コロナイルスの確認された感染者は11万6635人、死者数は6902人だという。

 

○4月11日には、首都テヘランを除いた各地で制限的の緩和があった。具体的には、政府が「感染リスクが低い」と認め、営業再開を許可した企業や商店・店舗の活動が再開してよいことになった。

 

○そして迎えた4月18日には、テヘランでも制限の緩和が始まり、多くの市民が街頭に出ていく。

 

○4月18日には、確認された感染者数か8万人を超え、死者数も5千人を超えた。3月18日に、中国、イタリアに続いて1千人を超えていたことから、1か月の間に約5倍になったわけだ。

 

○4月19日午後5時での米ジョンズ・ポプキンス大学の集計をみると、イランの確認感染者数は8万868人、死者数は5031人。

 

 

(続く)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【トルコ】

 

〇4月20日、トルコのエルドアン大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制しようと、23日から4日間、全国の31都市でロックダウンを行うと発表した。これまでには、11~12日、18~19日に、同様の措置を行っていたのが、感染拡大が収まらないことに対応したもの。5月24日からイスラム教の「ラマダン」に入ることからの措置を延長したものと見られる。

 

〇5月16日午後5時時点でのトルコの新型コロナウイルスでの確認済み感染者数は14万6457人、死者は4055人。イランを除く中東地域で最大の感染状況だ。

 

〇そんなトルコで特徴的な動きの一つに、通貨リラの下落が止まらず、外貨準備の減少があるという。この国の通貨リラは2018年の通貨危機以来の最安値圏で推移し、外貨準備は1か月で約3割方下落しているというのであるから、大変だ。

 

 

(続く)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆