♦️♦️913の1『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナの感染は最悪期を脱したか(アメリカの場合、~4.25正午時点~5.3)

2020-05-02 08:29:03 | Weblog
913の1『自然と人間の歴史・世界篇』新型コロナの感染は最悪期を脱したか(アメリカの場合、~4.25正午時点~5.3)


 半年前には予想だにしなかったことが、アメリカで始まったのは、2020年3月1日のことだった。まずは、アメリカの現在の感染及び死者の状況は、次のとおり。
感染者のTOTAL
は699,554、そのAPRIL 17時点で+31,905(+5%)

 

DEATHSTOTALは36,773、その増減はAPRIL 17時点で+3,857(+10%)

 

Source: Center for Systems Science and Engineering at Johns Hopkins University. Cases on cruise ships are not included.

 


 次に掲げるのは、Last updated on April 17 at 9:17 p.m. ETまとめでの、各国の状況から抜粋だ。
COUNTRY、CASES、DEATHSの順
World・・・2,240,498、153,741
United States・・・699,706、36,773
Spain・・・190,839、20,002
Italy・・・172,434、22,745
France・・・147,969、18,681
Germany・・・141,397、4,352
United Kingdom・・・108,692、14,576
China・・・83,760、4,636
Iran・・・79,494、4,958
Turkey・・・78,546、1,769
Belgium・・・36,138、5,163
Brazil・・・33,682、2,141
Canada・・・32,813、1,354
Russia・・・32,008、273
South Korea・・・10,635、230
Japan・・・9,787、190
(以上は、npr社のサイトから抜粋して掲載)


 それから、アメリカで最も深刻なニューヨーク州の状況については、こんな事情が伝わる。

 「NY市の死者、一気に3700人増え1万人超に なにが起きた?(2020年4月16日のBBC電子版の邦訳よりの引用)

 ニューヨーク州のクオモ知事は自宅などで亡くなった人は集計から漏れている可能性があると述べた。・・・米ニューヨーク市の新型コロナウイルスによる死者が一気に3778人増え、1万人を超えた。生前に検査を受けていなかったものの、同ウイルスの感染症COVID-19にかかっていた疑いが大きい人を追加したためだ。・・・消防や救急医療の隊員からは、新型ウイルスが原因とみられる、自宅で亡くなった人の急増が報告されていた。・・ニューヨーク市保健局の新たな集計では、新型ウイルスの死者が1万367人となった。直前の死者数から60%増加した。」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 このような中での、1月末から今日に至る政府(連邦、地方)の大まかな動きは、次のとおり。ちなみに、アメリカでは、国家非常事態宣言法という、非常時の対応についての法律が存在する。

 

 

○1月21日、アメリカ西海岸のワシントン州で、武漢から帰国した男性が感染していることを確認した。それが、アメリカでの感染第1号。

 

 

○1月31日、アメリカが、中国全土からの入国を制限する。

 

 

○2月7日、トランプ大統領と習近平主席が電話会談を行い、習近平氏はアメリカの入国制限の再考を求める。

 

 

○2月16日、WHOが、中国へアメリカ人2人を含む専門家を派遣した。
3月27日、、トランプ大統領と習近平主席が電話会談を行い、トランプ氏は「緊密に取り組む」と表明する。

 

 

○4月9日、国連安全保障理事会が、新型コロナの対応にちいて初会合を行うも、決議は採択できず。

 

○1月31日、新型コロナウイルス拡散を受け緊急事態を宣言、中国滞在歴ある外国人の入国を停止する。

○2月19日、日本と香港への渡航に注意情報を発表する。

○2月22日、米国疾病予防管理センター(CDC)が日本渡航に対する注意レベルを引き上げる。  

 

○3月1日、ニューヨーク州で、初の感染を確認した。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の初の感染者が確認されからは、急速に国内に感染が広がっていく。3月20日後には、ニューヨーク州での感染者が1万人を越えた。緊急対策として3月22日、州は自宅待機令(Stay-at-home order、ロックダウン)に踏み切った。

 

 

○3月1日、ニューヨーク市ではじめての感染者が確認された。デブラシオ市長は、「市民には日常生活を続けてほしい」と語っていたという。これを報道した新聞は、同市を含むニューヨーク州とカリフォルニア州との差がどうしてできたのかを、現地の話としてこう伝えている。
 「当時。NY州(約1950万人)の感染者は約200人。人口が2倍超のカリフォルニア(CA)州と同程度であったが、いまNY州では10万人を超え、CA州の10倍近くに上る。
 国内では、外出規制令を出した時期が明暗を分けたとの指摘が上がる。NY州は22日、CA州の主要都市より5日遅れた。この5日間でNY州内の感染確認者は10倍超の1万7千人に急増。さらなる感染拡大を招く要因となった。」(朝日新聞、2020年4月5日付け)

 

○3月6日、トランプ大統領が83億ドルの新型コロナウイルス対策予算法に署名する。



○3月11日、WHO(世界保健機関)がパンテック宣言を発する。

○3月11日、欧州26か国からの渡航の制限を発表する。

○3月13日、連邦政府か国家緊急事態宣言を発する。

○欧州での新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることから、3月13日深夜より30日間にわたり、EU(欧州共同体)のシェンゲン協定加盟国26か国を対象に入国を一時停止する措置を開始する。また、EU非加盟国である英国とアイルランドも入国制限の対象とし、3月16日深夜より入国制限を開始するとのこと。

 

○3月15日、FRB(連邦準備制度理事会)は、FOMC声明にて、政策金利としてのFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標レンジを1.0%切り下げ、0.00~0.25%%に引き下げることを発表した。

 その中では、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると委員会が確信するようになるまで」この目標レンジを維持するとしている。
 また、この中で、米国債を5000億ドル、MBS(住宅ローン債券)を2000億ドル購入できることにした。


 

〇3月16日、サンフランシスコ市は、市民の外出を原則禁止する命令を出す。ニューヨーク市では、約1900の公立学校を休校とする。

 

○3月16日、ドナルド・トランプ米大統領が記者会見で、アメリカ経済が景気後退に向かっている「かもしれない」と発言した後、この日のニューヨーク市場での取引開始直後に全ての株式売買を一時中断する「サーキット・ブレーカー」が発動された。15分の取引再開後にも売りが殺到し、買い戻りがないままに、ダウ工業株30種平均は2997.10ドル(12.9%)安の2万0188.52ドルで引けた。

 この日の下げ幅は12日の2352ドルを上回る、過去最大のものであり、下落率としては1987年10月のブラックマンデー以来の大幅なものだった。
 S&P500種についても11.9%が、ハイテク株比率が高いナスダック指数は12.3%下がった。



〇3月17日には、FRBが、「CPSS」として、CPをSPV経由で発行体から購入することにした。また、項目「PDCF」として、プライマリー・ディーラー(ニューヨーク連銀と直接取引できる米公認ディーラー)への資金供給。


〇3月18日には、FRBが、「MMLF」として、MMFの解約(CP購入先)への影響力を緩和するため、MMF流動性ファシリティ(MMLF)を創設。 


○3月18日:従業員の有給休暇等のコロナ対策法(Families First Coronavirus Response Act: FFCRA)が成立する。


〇3月19日:米国の初の州全体への自宅待機命がCA州で発令。これによると、不要不急の外出制限(州知事命令N33-20)が出され、食料や薬の購入、必要不可欠な業務(Essential Business)に携わる場合以外は外出が禁止される。

 

○3月20日、ニューヨーク州が大規模災害宣言を発する。


○3月21日、ニューヨーク州で、特別なサービスを除き、ワークフォースの100%を自宅で、との命令が出る。


○3月22日、ニューヨーク州で「New  York  PAUSE」(外出禁止令)が出される。

 

〇3月23日、FRB(連邦準備制度理事会)は、FOMC声明にて、保有資産額を無制限にするとの決定をしたことを発表した。いわく、「FRBは市場が円滑に機能し、金融情勢全般に政策が広く効果的に伝わることを支援する上で必要な額の米国債と住宅ローン債券(MBS)を購入し続ける」と。

   別の表現でいうと、「社債購入/TALF/債券購入」として、PMCCF、SMCCFを通じた発行市場や流通市場での社債購入、また証券化商品担保融資ファシリティ、それに事実上の無制限の債券を購入するか前に。

 

○3月26日、アメリカの感染者数(ワールドメーターの集計)が中国の感染者数を上回り、世界最多となった。
 3月26日時点のアメリカの感染者数は8万5435人。1日で1万7224人増えた。死者の数は268人増え、1295人になった。
 それまで世界最多だった中国の感染者数は8万1285人(1日で67人増加)、その次に多かったイタリアの感染者数は8万589人(1日で6203人増加)だった。
 州別に見ると、ニューヨーク州の感染者数が3万8977人(1日で6011人増加)と最大、2位はニュージャージー州(6876人、1日で2474人増加)だという。
 なお、世界の感染者数も3月26日、50万人を超え、53万1809人が記録された。

 

〇3月22日のアメリカのニューヨーク州(人口は約1950万人)で外出制限命令がだされた時の感染者確認数は、約1万5800人であった、これは3月15日での615人の25倍であった。一方、カリフォルニア州(人口は約4000万人)の感染拡大の3月12日の外出制限命令発出時の感染者確認数は約1000人であった。それから1か月余り経っての4月19日の同確認は、約5倍の緩やかなものであったという。要は、外出制限が出される前の感染者の増加率が、その3日間の違いということで、実に大きな差をこの両者の間にもたらした、と考えられている。なお、これらの出典は、ジョンズ・ホプキンス大学の資料。

 

〇2月初めのアメリカでは、CDCが検査キットを各州に配布を行った。その急いだ結果が、検査キット内の試薬に不純物が混ざったことから結果がうまくでないとの苦情がいくつかの州で出て、急遽引っ込めることになり、ウイルスと闘うための貴重な時間を失った。なので、「適切な検査が広範囲でできなかったので、検査を受けられる人が少なかった」と同センターの現場の担当者の一人が反省している。

 

〇2月までのアメリカでは、大統領が「少し暖かくなればウイルスも奇跡的に消え去るだろう」とか、政権は新型コロナを甘く見ていたのは疑いない。

 

○トランプ大統領が3月11日に発表した欧州26カ国からの入国制限は、米東部時間14日午前零時(日本時間14日午後1時)から始まった。イギリスやアイルランドは対象外となっており、アメリカ国民の帰国も認められる。この措置には欧州連合(EU)は強く反発している。

 

 

○3月の米債券市場は、目まぐるしい動きで乱高下した。3月1日の新型コロナショック勃発後の市場は、米国債へのマネーの一極集中が加速し、買いが盛況であった。そのため、米10年債利回りは一時過去最低の0.3%台まで下落していた。
 それが3月17日には1.06%まで急騰。安全資産のはずの米国債が売り込まれた。とはいえ、「恐怖指数VIX」は75とリーマン・ショック時の水準に接近。
 さらに3月17日の米2年債利回りは0.49%であり、10年債と比較すれば0.57%もの「順イールド」でより低い。景気後退の兆しともされる長短金利の逆転(短期が長期を上回る)は、この日はきえる。
 そんな中で、アメリカの景気後退リスクは日々高まっていく。
そして、この債券市場の異変が始まった。それというのも、米国債市場は、世界で最も流動性が豊富なマーケットだという。貿易などでの決済や手持ちの貨幣としてもドルが有利だと。

 ゆえに、米国債は安全資産とされてきた。「いつでも売り手、買い手が存在する」という「流動性への信仰ないしは安心」が見られたのが、今度はその「流動性」があやしくなってきた。欧米市場がその異変に気付いたのは3月11日のことだ。

 当日のニューヨーク株式市場は、米国株の「弱気相場入り」が宣言され「リーマン・ショック後11年続いた米国株長期上昇相場の終焉(しゅうえん)」が意識された日にして、アメリカの景気後退を誰もがはっきりと認識したであろう。この日に「安全資産」の米国債は売られ利回りは0.8%台まで上がった。

 

○3月24日になっての報道として、量的緩和のペースがことのほか早いペースで、FRB(米連邦準備制度理事会)が国内の債券を購入しているという。
 FRBは15日、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れる量的緩和を再開した。その買い入れペースが過去(2008年~14年)に比べて15倍ものペースで資産を買い入れているという。具体的には、米国債は15日時点で買い入れ枠を  
当面5000億ドルに設定し、開始5日間で2700億ドルに達した。23日に購入量を無制限に引き上げたとのこと。が、金融機関としては、ドルがほしいので、市場でどんどん売っているらしい。
 住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れることによる量的緩和も同時に行っており、こちらは2000億ドルとしていたのだが、ニューヨーク連銀によると、16~20日の5日間だけで購入額が2771億ドルに達していた。こちらの当初は、676億ドルを想定した買い入れ枠なのだが、その大半を1週間で使ったことになる。
 これらを過去の量的緩和と比べると、資産の買い入れ量はこちらの方が極めて高い。2012~14年の量的緩和第3弾と比較すると、米国債とMBSを合わせて月850億ドルを買い入れたのとは、足元のペースはその15倍だ。米国債だけでみても、第2弾(2010~11年)時に月750億ドルのペースで買い入れたが、今回はやはりその15倍と極めて大きいのだという。 

 

○3月27日、トランプ大統領が、総額2兆2,000億ドルの救済法案(CARES Act)に署名して発効する。

 

○4月3日から施行する州も含めると、4月2日時点で38の州、48の郡、14市それにワシントンDC、プエルトリコに自宅待機命令が出されている。ニューヨーク・タイムズ調べでは、自宅待機に服している地域の人口は、約2億9千万人以上。それと、これに違反すると、罰則を適用するとの規定が伴っていることに注意が必要だ。なお、これを最初に出したのは、3月中旬でのカリフォルニア州である。

○4月6日、ニューヨーク州での自宅待機命令が、4月末までに延長される。



○4月9日、ニューヨーク州での死者数は最多となるものの、新規の入院患者数は減少。

 

〇3月8日~4月11日をみると、労働省が発表する失業保険の新規申請件数(季節調整値)の動向は、急を告げるものとなってきている。

 

〇3月8日~4月11日をみると、労働省が発表する失業保険の新規申請件数(季節調整値)の動向は、急を告げるものとなってきている。具体的には、3月8日から3月14日までの3月第2週が28万1000件、3月15日から3月21日までの3月第3週が330万7000件、3月22日から28日までの3月第4週が686万7000件、3月29日から4月4日までの4月第1週が660万6000件、4月5日から4月11日までの4月第2週が524万5000件。

 

○3月下旬になってからと、市民生活の変化がメディアで頻繁になされるようになっていく。

 お金にしても人材にしても技術にしても、初期の対応において、アメリカは全体としてはたかをくくっていたのは、否めない。それが、今回オーバーシュート(爆発的な感染拡大)を防ぐことができなかった。そのうちに、ロックダウン(都市封鎖)の中でも働きに行かなければ暮らしていけない人々と、そうでない人々との間で、行動のあり方の違いが鮮明となっていった。

 そのなかには、仕事を失った労働者が食料品を手に入れようと安価な食料が手にはいる農場やフードバンクに出かけて求めることも放映されている。それというのも、この国では、いわば日銭を稼ぐことで暮らしていて、蓄えは少ししか持たない人が「5人に一人くらいはいるのではないか」という話もあるくらいで、この国ではありきたりのことなのだ。

 

○3月下旬になってからと、市民生活の変化がメディアで頻繁になされるようになっていく。

 お金にしても人材にしても技術にしても、初期の対応において、アメリカは全体としてはたかをくくっていたのは、否めない。それが、今回オーバーシュート(爆発的な感染拡大)を防ぐことができなかった。そのうちに、ロックダウン(都市封鎖)の中でも働きに行かなければ暮らしていけない人々と、そうでない人々との間で、行動のあり方の違いが鮮明となっていった。

 そのなかには、仕事を失った労働者が食料品を手に入れようと安価な食料が手にはいる農場やフードバンクに出かけて求めることも放映されている。それというのも、この国では、いわば日銭を稼ぐことで暮らしていて、蓄えは少ししか持たない人が「5人に一人くらいはいるのではないか」という話もあるくらいで、この国ではありきたりのことなのだ。

 

⭕3月24日付けのセントルイス連銀のレポートは、失業の現状(2月まで)と4~6月期までの予想を、こう報告している。
「Calculating Second-Quarter Unemployment Rate

○These two numbers were obtained by applying different methodologies and classifications to two different datasets. This means that while there may be significant overlap, each measure will also be capturing some aspects that the other ignores.

○For this reason, we simply took the average of those two numbers as a point estimate for the total number of workers who will be laid off during the second quarter. This resulted in 47.05 million people being laid off during this period.

○Summing to the initial number of unemployed in February, this resulted in a total number of unemployed persons of 52.81 million. Given the assumption of a constant labor force, this resulted in an unemployment rate of 32.1%.

○Civilian labor force in February 2020 = 164.5 million (BLS via FRED)

○Unemployment rate in February 2020 = 3.5% (BLS via FRED)

○Unemployed persons in February 2020 = 5.76 million (#1 * #2)

○Workers in occupations with high risk of layoff = 66.8 million (Gascon blog post)

○Workers in high contact-intensive occupations = 27.3 million (Famiglietti/Leibovici/Santacreu blog post)

○Estimated layoffs in second quarter 2020 = 47.05 million (Average of #4 and #5)

○Unemployed persons in second quarter 2020 = 52.81 million (#3 + #6)

○Unemployment rate in second quarter 2020 = 32.1% (#7 / #1)」
(セントルイス連銀のレポートBack-of-the-Envelope Estimates of Next Quarter’s Unemployment Rate(Tuesday, March 24, 2020、同銀のサイトより)


○4月14日、ニューヨーク州での確認された患者数が初めて減少した。

 

○4月15日には、感染状況が緩和する流れであるとする、連邦と州との見解が出される。ある報道には、こうある。

 

 「米ジョンズ・ホプキンス大学とブルームバーグ・ニュースの集計データによると、米国の感染症例は15日午後までに前日比3.5%増の61万9607人と、過去1週間の平均増加率の6.2%を下回った。死者数は10%増えて2万7760人。
 ニューヨーク州の感染者数は約0.5%増と、1週間前の7.6%増を下回り、最も深刻な打撃を受けている同州で感染ペースが落ち着く兆候が示された。
 同州のクオモ知事は15日、通常の生活に戻る最初のステップとして、医療従事者などで既に新型コロナに感染し何らかの免疫力を得た人を特定する抗体検査を導入すると発表。1日当たり2000人を対象としたプログラムにより、抗体を確認できた人から業務への復帰が認められる。」

○4月15日、トランプ米統領は、米国は新型コロナウイルス感染拡大の「ピーク」を越えたとして、各地で実施されているロックダウン(都市封鎖)の緩和計画の第1弾を16日に発表すると明らかにした。

 これは、専門家による知見にて、地面に落ちることなく、しばらく空中に浮遊するウイルスを防ぐため、また人にうつす危険を減らすことが幾つかの報告によりわかったからだとされる。


○4月17日、ニューヨーク州立のクオモ知事は、newyork  pouseによる自宅待機を1か月後の5月17日まで延長すると発表する。


○4月17日、連邦政府が、正常化(諸制限・禁止の解除)のための3段階の行動計画を発表した。これより前の16日、トランプ大統領は各州の知事たちとのテレビ会議で、経済活動の再開は「自らの責任で決められる」と伝えた。

 それというのも、先立つ15日に大統領は、「感染拡大のピークを過ぎた」と述べ、経済活動を再開させるためのガイドラインを発表することを明らかにしていた。

 このガイドラインによると、再開プランは3段階におよぶ。感染者数が減っている地域でのみで実施されるという。

 そして、これの適用にあっては、トランプ大統領か「州の責任で決められる」と述べている。

第1段階

 第1段階では、感染リスクが低い人たちは外出が認められる。とはいえ、外に出るときはできる限り物理的な距離をとり、10人以上のグループで集まってはいけない。また、不必要な旅行は最低限にとどめる。

 また、高齢者や基礎疾患のある人たちは、引き続き自宅待機を続けるよう求める他、高齢者施設や病院への訪問も禁止される。

 テレワークについては、自宅勤務できる従業員にできる限り自宅勤務を続けることを求める一方で、段階的に職場に戻れるとしている。

 現在閉鎖している学校は、閉校状態を保つこと。レストランなどの大勢の人が集まる場所は、確実に物理的な距離を保ている状態に限ってオープンできる。

 スポーツジムは、ソーシャルディスタンスと衛生的な環境を保てる状態であれば営業再開できる。バーの営業再開は許されていない。 

■第2段階

    第2段階では、高齢者や基礎疾患のある人たちは、引き続き自宅待機を続けること。

 それ以外の人は、外に出るときはリスクが伴う。ついては、できる限り物理的な距離をとるようにし、50人以上のグループで集まらないよう求める。

 また、この第2段階では不必要な旅行は再開してもいいとしている。さらに、自宅勤務が引き続き推奨されるが、学校や保育所などは、再開できるようになる。

◼️第3段階

 第3段階では、高齢者や基礎疾患のある人たちも、外に出ることができるが、物理的な距離を保ち、人が集まる場所は避けるようにすること。

 なお、ホワイトハウス新型コロナウイルス対策調整官のデボラ・バークス氏は、比較的行動の自由が許された3段階にあっても、高齢者など感染リスクの高い人たちを守る行動を取るよう呼びかけている。

 

 

(続く)

 

○4月23日、ニューヨーク州のクオモ知事は23日の会見で、州内で無作為に選んだ3000人に新型コロナウイルスの抗体検査を行った結果を発表した。それによると、14%近くの人が抗体を持っていることがわかったという。
 約1950万人の州人口をもとに試算すると、これまでに約270万人が新型コロナの抗体を持っていることから、この人数が感染した計算になり、実際報告されている感染者よりもずっと多くなる。
 一方、この推定感染者数(270万人)と州の死亡者集計(約1万5500人)とを組み合わせることで算出した推定死亡率は0.5%とのことであり、こちらは、一部の専門家が懸念していたよりも低い水準。
 なお、23日時点でニューヨーク州の感染者は26万3460人、死者は1万5740人と、感染が確認された人の約6%にあたるという。
 それに、クオモ知事は、州の死亡者について、病院や介護施設で亡くなった人を集計しており、自宅などで亡くなりCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)と診断されていない人が含まれていないため、実際にはもっと多い可能性があると説明した上、州内で約5000店あるところの薬剤師にPCR検査の検体採取の資格を与えることで、今後調査の母数となる検体を増やして実施する意向だ。

 

○ニューヨーク州の新型コロナによる死者数の動きが変わった、との記事を紹介しよう。

「New York's Daily COVID-19 Deaths Below 400 For First Time In April
April 26, 20205:23 PMET

For the first time this month, New York's daily death toll from COVID-19 has dropped below 400, according to Gov. Andrew Cuomo.
Speaking at his briefing Sunday, Cuomo said that 367 New Yorkers died from the respiratory illness the day before — less than half of where it was at the height of the outbreak.
New hospitalizations also dropped to about 1,000 on Saturday.」

 

 

○4月24日での情報として、ちなみに、フリーデン元CDC所長は、アメリカでの経済活動の再開の条件について聞かれ、「検査感染者の隔離、感染経路の追加など、態勢が十分整ってから慎重に再開すべき」と、現状を危惧している。

 これについてWHO(世界保健機関)は、「証明書」を発行して職場などに復帰させることについて、「現時点では正確性を保証できるだけの十分な証拠はない」(2020年4月24日付けの「科学的な見地からの手紙」)との見解を発表している。

 あと、「鼻風邪抗体も測定している可能性があるのではないか」(4月26日夜のフジテレビ、「ミスター・サンデー」での専門家の弁)との見方もある。

 

○4月26日、ニューヨーク州のクオモ知事の発表によると、州内の感染者は前日比850人増の22万2284人、死者は606人増の1万2192人となった。外出制限の解除時期について、クオモ氏は「感染率などのデータにもとづき専門家が判断する」と述べ、近隣州とも連携して判断するとした。
 一方、クオモ氏は経済活動の再開について、ワクチンの開発が見込まれる1年~1年半先にかけて、感染防止対策と並行して段階的に行っていく考えを示した。住民生活への重要度や各事業者の感染防止策の実施状況などを踏まえ、総合的に再開時期を判断するという。
 中でも経済活動については、具体的には、外出制限は5月15日まで続けるとしながらも、新たな入院患者が減少し続けることを条件に制限を緩め、段階的に少なくしていく。ついては、できるところから生産活動を再開すると発表した。

 ついては、経済活動の段階的制限緩和、解除れの道筋を示すことが必要となる。そこで同州では、分野別に3つの分野に分けて封鎖解除を進めていく。第一の段階では、感染のリスクが相対的に小さい建設企業や製造業で始めるという。

 

○4月27時点での日米の感染者数の比較は、できるのだろうか。ちなみに、ニューヨーク州の人口は約1950万人で、確認された感染者は4月27日までで約29万人。東京都は人口が約1395万人で、確認された感染者は28日時点で4000人を超えたところだ。
 これを窺うに、人口の差異や、東京の実際の感染者数を仮に10倍強の5万人として両者を考慮しても、ニューヨーク州の数字は東京の6倍近くとなり、大きすぎるのではないか。

 

○4月30日に、29日でのFOMC(米連邦公開市場委員会)が29日に発表した声明は以下の通り。

 「米連邦準備制度は現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用いることにコミットしている。それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進する。

(中略)

 進行中の公衆衛生危機は、短期的に経済活動や雇用、インフレへの強い重しとなり、中期的には経済見通しへの重大なリスクをもたらすであろう。こうした情勢を考慮し、委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジをゼロ-0.25%に据え置くことを決めた。経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると委員会が確信するようになるまで、この目標レンジを維持する。
 
(中略)
 
 家計や企業への信用の流れを支えるため、連邦準備制度は引き続き、財務省証券と政府支援機関(GSE)保証付きの住宅ローン担保証券(RMBS)・商業用不動産ローン担保証券(CMBS)を、市場の円滑な機能を支援するのに必要な規模購入する。
 
(中略)

 今回の金融政策措置に対し、パウエル議長とウィリアムズ副議長、ボウマン理事、ブレイナード理事、クラリダ連邦準備制度理事会(FRB)副議長、ハーカー総裁、カプラン総裁、カシュカリ総裁、メスター総裁、クオールズFRB副議長が賛成した。」(U.S. Federal Open Market Committee April 29 Statement(抜粋)、ブルームバーグ社による日本語訳を引用)

 

(続く)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


♦️913の4『自然と人間の歴史・世界篇』金融からのコロナ対策(~4.25正午時点~4.30)

2020-05-02 08:29:03 | Weblog
913の4『自然と人間の歴史・世界篇』金融からのコロナ対策(~4.25正午時点~4.30)
 
 こちらでは、金融の状況と、金融からのアプローチを見よう。

 

 

○2月10日の記事から、まとめると、米国の債務はトランプ政権発足後の3年間で既に3兆ドル増えているが、予算教書では2035年まで債務拡大が続くことになる。連邦債務は今年度の22兆7000億ドルから、2030年までに30兆5000億ドルへの増加を見込む。対国内総生産(GDP)比は84.6%となり、今年度(106.9%)から低下する。
 ホワイトハウスによれば、今回の2021年度予算教書の下では歳出が現行水準を下回り、21年度は財政赤字が9660億ドルに減少、財政赤字の対GDP比は30年までに0.7%に縮小する見通し。これは議会予算局(CBO)が現行政策の下で予測している1兆ドルを下回る。

こうしてみると、政権は、この時点でかなりの「余裕」なのであった。

 

 

○3月15日、FRB(連邦準備制度理事会)は、FOMC声明にて、政策金利としてのFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標レンジを0~0.25%%に引き下げることを発表した。

 その中では、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると委員会が確信するようになるまで」この目標レンジを維持するとしている。

 

○3月16日、ドナルド・トランプ米大統領が記者会見で、アメリカ経済が景気後退に向かっている「かもしれない」と発言した後、この日のニューヨーク市場での取引開始直後に全ての株式売買を一時中断する「サーキット・ブレーカー」が発動された。15分の取引再開後にも売りが殺到し、買い戻りがないままに、ダウ工業株30種平均は2997.10ドル(12.9%)安の2万0188.52ドルで引けた。

 この日の下げ幅は12日の2352ドルを上回る、過去最大のものであり、下落率としては1987年10月のブラックマンデー以来の大幅なものだった。
 S&P500種についても11.9%が、ハイテク株比率が高いナスダック指数は12.3%下がった。

 

○3月の米債券市場は、目まぐるしい動きで乱高下した。3月1日の新型コロナショック勃発後の市場は、米国債へのマネーの一極集中が加速し、買いが盛況であった。そのため、米10年債利回りは一時過去最低の0.3%台まで下落していた。
 それが3月17日には1.06%まで急騰。安全資産のはずの米国債が売り込まれた。とはいえ、「恐怖指数VIX」は75とリーマン・ショック時の水準に接近。
 さらに3月17日の米2年債利回りは0.49%であり、10年債と比較すれば0.57%もの「順イールド」でより低い。景気後退の兆しともされる長短金利の逆転(短期が長期を上回る)は、この日はきえる。
 そんな中で、アメリカの景気後退リスクは日々高まっていく。
そして、この債券市場の異変が始まった。それというのも、米国債市場は、世界で最も流動性が豊富なマーケットだという。貿易などでの決済や手持ちの貨幣としてもドルが有利だと。

 ゆえに、米国債は安全資産とされてきた。「いつでも売り手、買い手が存在する」という「流動性への信仰ないしは安心」が見られたのが、今度はその「流動性」があやしくなってきた。欧米市場がその異変に気付いたのは3月11日のことだ。

 当日のニューヨーク株式市場は、米国株の「弱気相場入り」が宣言され「リーマン・ショック後11年続いた米国株長期上昇相場の終焉(しゅうえん)」が意識された日にして、アメリカの景気後退を誰もがはっきりと認識したであろう。この日に「安全資産」の米国債は売られ利回りは0.8%台まで上がった。

 

○3月24日になっての報道として、量的緩和のペースがことのほか早いペースで、FRB(米連邦準備制度理事会)が国内の債券を購入しているという。
 FRBは15日、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れる量的緩和を再開した。その買い入れペースが過去(2008年~14年)に比べて15倍ものペースで資産を買い入れているという。具体的には、米国債は15日時点で買い入れ枠を  
当面5000億ドルに設定し、開始5日間で2700億ドルに達した。23日に購入量を無制限に引き上げたとのこと。が、金融機関としては、ドルがほしいので、市場でどんどん売っているらしい。
 住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れることによる量的緩和も同時に行っており、こちらは2000億ドルとしていたのだが、ニューヨーク連銀によると、16~20日の5日間だけで購入額が2771億ドルに達していた。こちらの当初は、676億ドルを想定した買い入れ枠なのだが、その大半を1週間で使ったことになる。

 

○4月9日の金融からのコロナ経済危機へのアプローチだが、債券を中心とした金融マーケットの動揺が昨年からあるのが、今回の新型コロナ感染拡大の中増している。金融面では、企業や地方政府の金融を支えなけりばならない。
 そこで、今回のCARES法において、「企業を軸とした4,540億ドルの支援について明記した条文には「企業や州政府、地方政府などへの貸出を支援する金融システムに流動性を供給する目的で、FRBにより設立されたファシリティーあるいはプログラム」との文言がある。
 これは、今後FRBが、国債やMBS(住宅ローン債券)なんかを買い増しするのに止まらず、企業が発行する社債やコマーシャルペーパーも買う、これらにより金利上昇を抑制するという金融当局の意思の表明に他ならない。このうち社債の買入対象は、さしあたりBBB以上の格付が高い債券になるのではないだろうか。このことが実施されると直接買入対象の債券から順次波及ししていき、市場が持ちこたえるのを期待することになろう。

 

○4月7日のテレビで、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン前議長は6日、FRBが購入できる資産の対象に株式を含めることが将来的な検討課題になるとの考えを示した。金融市場を支えるための手段を増やすのが狙いだ。

 経済情勢に関しては、こう予想する。

「失業率は現状で12~13%とみられ、さらに上昇するだろう」との見方を示した。クレジットカードなどのデータが「経済活動の劇的な低下」を示しているとして4~6月期の米国内総生産(GDP)が「年率で少なくとも30%減る。」

 FRBは新型コロナウイルスによる経済への悪影響を和らげるため、3月に米国債を無制限に買う量的金融緩和策を導入。企業が発行するコマーシャルペーパーや社債を間接的に購入する仕組みも作った。

 イエレン氏はさらに、中央銀行の株式購入は「日本を含むいくつかの国で可能だ」といい、またこういう。

 「現時点では必要ないと思うが、長期的にはFRBが購入できる資産について議会に再検討してもらうのは悪くない」。

 なお、株式購入には法改正が必要になる。行うことになると、日銀と似たり寄ったりになろう。

 

 ○4月9日、FRBは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に対応した経済支援策として、新たに最大2兆3,000億ドル(約250兆円)を供給する一連の追加措置を発表した。
 今回のFRBの追加支援策には、当局が避けてきた高利回り債(ハイイールド債、またはジャンク債)やローン担保証券(CLO)、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の一部も投資対象に含まれているのが特徴だ。
 FRBが表明した2.3兆ドル支援の主な内容はには、こうある。

 

▽メインストリート貸付プログラム(MSLP)
→従業員1万人以下の一般企業、あるいは売上25億ドル以下の中小企業の債権を、MSLPが民間銀行を通じ最大6,000億ドル買い入れ(融資)を行う。
→MSLPは債権の95%を保有、民間銀行は5%を保有。言い換えると、民間銀行が一度は融資するが、その95%分はFRBが設立する特別目的事業体(SPV)が買い取ることになっている。これを「事実上、民間企業に直接資金供給する緊急措置だ」とする向きが多い。
→融資は最大4年間とする。
→金利は担保付翌日物調達金に250~400bp上乗せする。
→融資返済は1年繰り延べる。
→融資を受けた企業は雇用維持などの取り組みを実行する必要あり、自社株買いなどに制限もある。
→財務省は新型コロナウイルス支援救済経済保障法(約2.2兆ドルの景気刺激策、CARES Act)の下、750億ドルを出資する。
→現時点で9月末までの時限措置となっている。

 

▽ 地方自治体流動性ファシリティー(MLF)
→州・地方自治体など地方政府が発行する満期まで2年以下の短期債(地方債)、主にレベニュー債を最大5,000億ドル買い入れ(融資)であるが、背景には、それらで医療設備の整備などで財政負担が増していることがあり、今回FRBが直接支援に乗り出す。
→対象としては、各州政府、ワシントンD.C.、人口200万人以上の郡、人口100万人以上の都市など。
→財務省はCARES Actの下、350億ドルの信用保護を提供する。
→現時点で9月末までの時限措置とする。

 

 

▽給与保護プログラム(PPP)向けにPPP流動性ファシリティー(PPPLF)を新設
→CARES Actに盛り込まれた約3,500億ドルの中小企業向け融資、給与保証プログラム(PPP)を効果的に運用すべく、PPP融資を裏付けとしてプログラムに参加する金融機関に流動性を提供する。
→中小企業庁(SBA)がPPPの融資に政府保証を付与する。
→現時点で9月末までの時限措置とする。

 

 

▽主に大企業向けには、社債市場などの安定化を目指すプログラムにして、合わせて7500億ドルの資金枠を設ける。

 具体的には、3月23日に導入した3つの次に掲げるファシリティーを拡充を内容とする。言い換えると、この日に公表した社債(発行、流通の両市場)と資本担保証券貸付ファシリティの規模や対象の拡大により、3つの信用供与プログラムで構成する。

プライマリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(PMCCF)
セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(SMCCF)
ターム資産担保証券ローン・ファシリティー(TALF)
→3つのプログラムを通じ、最大8,500億ドルの信用をサポートする。
→財務省はCARES Actの下、350億ドルの信用保護を提供する。
→3つのプログラムは全て、現時点で9月末までの時限措置とする。
→PMCCFを通じ5,000億ドル、SMCCFを通じ2,500億ドル、合わせて最大7,500億ドルの社債を買い入れ、従来の2,000億ドルから拡大(PMCCFは発行元、SMCCFは流通市場から)
→PMCCFとSMCCFの対象は投資適格の最低である”BBB-格”までだったが、3月23日以降ジャンク債へ格下げされても”BB-格”までを対象に
→PMCCFは満期まで4年以下の社債が対象、買い入れ上限は発行額の25%まで
→SMCCFの買い入れ対象は、高利回り債を裏付けとした上場投資信託(ETF)を新たに追加する
→TALFでは、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)と新規に発行されたローン担保証券(CLO)、それぞれAAA格を買い入れ対象に追加する
→TALFでは満期まで3年以下のABS、CMBS、CLOなどが対象、最大で1,000億ドル買い入れを行う。

 要は、これまでは償還期間の短いコマーシャルペーパー(CP)をFRBが買い取るにとどまっていたのを方針転換して、社債については、「対象は状態期間が最大5年の社債で、FRBとして一定のリスクを背負う」のだということで、今回はそうした援助を幅広で行うことにした訳だ。

 この融資拡大というのは、今回コロナ危機の影響で経営危機に見舞われているホテルチェーンや小売りや外食といった広範な産業、業種向けが中心となりそうだと見られている。

 ここにあるのは、新型コロナウイルス感染拡大のうねりは、銀行融資に頼り自転車操業の中小企業だけでなく大手企業にも降りかかってきている。

 顧みると、この間の低金利と株高を背景に、社債を発行してきた。それを原資に自社株を購入したり、M&A(企業の買収・合併)を行うことで市場での自らの力を高めようとしてきた。

 そしてそれらの結果、非金融機関の企業債務は2019年末にGDP比で46.6%と史上2番目の水準へ膨れ上がっている。

 

(続く)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆