サラ☆の物語な毎日とハル文庫

無人島にもっていくもの

「無人島に流れ着くとしたら、何をもっていくか?」という質問は、よく投げかけられるものです。
あるいは、「無人島に本を一冊もっていくとしたら?」「無人島にモノを一つしか持ち込めないとしたら、何をもっていくか?」などなど。

もし、自分が無人島で、独りで生活しなければならないとしたら、「どんなものがあったらいいな」と思いますか?

多分、『ロビンソン・クルーソー』の作者ダニエル・デフォーも小説を書くにあたって、自分が遭難して無人島に独り流れ着いたとしたら、どんなものがほしいか考えたのだと思います。
そして、「いろんなものがあると助かるし、便利だろうな」と想像した結果、ロビンソン・クルーソーに、ほぼ船1艘ぶんの品物を提供することにした。

☆物語では、嵐の夜に難破しそうになった舟から、ロビンソン・クルーソーをはじめとする乗組員全員が、ボートに乗って脱出します。
でも、荒れ狂う波にもまれ、ボートはあえなく転覆。
陸地にたどりついて助かったのは、ロビンソン・クルーソーただ一人でした。

猛獣を避けるために木の上で眠り爆睡したのち、朝になって目覚めたクルーソーは、海岸近くの浅瀬に乗り上げて、なんとか原型をとどめている船を発見したのです。

「みんなで船に残っていれば、全員助かったものを…」
そう思うと、胸が張り裂けそうになるのでした。慟哭です。
でも、気持ちを切り替え、船から運び出せるだけの物を運び出そうと決心しました。

「船の食糧はすべて無事で、私はお腹がすいていたのでパン類が収めてある部屋に行き、ポケットにビスケットを詰めて、ほかの仕事をしながら食べた。愚図愚図していることはできなかったのである。また一番大きな船室にラム酒があるのを見つけて、これも相当に飲んだ。それは私がこれから取りかかる仕事に必要な元気を私に与えた…」(『ロビンソン漂流記』新潮文庫・吉田健一訳)

そんな調子で、クルーソーはいろんなものを見つけては、筏を組み、火事場のバカヂカラで、さまざまなものを船から運び出します。

パン、米、チーズ、乾かしたヤギの肉の塊、穀類少々、ぶどう酒に瓶詰めの酒、甘露種(多分リキュールのことかも)、衣類、大工の道具箱、弾薬と武器(とくに火薬の樽が二つも)、釘や大釘がいっぱい入っている袋、大きなねじジャッキ、2ダースの手斧、砥石(なんと細かい!)、かなてこ、またまた小銃などの武器、ハンモック、夜具、綱具に綱、より糸、帆布、かみそりに鋏、ナイフ&フォークetc.etc.

ちょっとした一財産です。
そして、読者としては、クルーソーが何かを見つけるたびに、「おおっ」と嬉しくなるのです。
これからクルーソーと無人島生活をともにするのですから(もちろん読者は居心地のいい部屋の中で、熱いコーヒーでも飲みながら)、魔法の袋からものが出てくるように、いろんな品物がみつかると、自分のことのように喜んでしまうのです。

こういうのって、けっこう楽しい。
ワクワクしてしまいます。
最初の質問ではないですが、現代に生きる自分の場合は、どんなものを無人島にもって行きたいか。
そんなリストを作ってみるのも、楽しいかもしれません。
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