サラ☆の物語な毎日とハル文庫

銀座教文館主催『宝島』の作者、スティーブンソンについての講演会に参加した  

10月19日、銀座の書店教文館の6階にある児童書専門のブース「ナルニア国」で、
《福音館書店創業60周年記念・古典童話シリーズ特集関連講演会》というのがあった。
(「ナルニア国」というのは、いいような、ちょっとためらわれるようなネーミングだ。働いている方々の主張は意気に感じるけれども、このネーミングだけで、入りづらい)

講演のタイトルは“英語で最も愛するイニシャルはR.L.S”というもの。
R.L.Sが『宝島』の作者ロバート・ルイス・スティーブンソンと知らなければ、何のことかわからないというタイトルである。
それに講演者のよしだみどりさんが「最も愛してる」って、ずいぶんひとりよがりな話し手なのでは? という危惧も感じられて・・・
そういう諸条件にもかかわらず、『宝島』に惹かれて、夜の6時からの講演会に参加した。

よしだみどりさんは、スティーブンソンの伝記『物語る人(トゥシターラ)~「宝島」の作者R.L.スティーブンソンの生涯』(1999年/毎日新聞社)という本を書いた人で、2000年の日本文芸大賞伝記・翻訳新人賞を受賞した人である。

わたしはこの本を読んだばかり。
スティーブンソンの生涯がよくわかり、よく調べられていて、力作だった。
書き起こしの部分に、ちょっとポエムが入りすぎてなんだったけど。
さらに、スティーブンソンの伝記としてめぼしいものが他にない...不思議である。

講演タイトル中の「愛する」の主語は、『ピーター・パン』の作者ジェームズ・バリであることは、ほどなくわかった。
スティーブンソンが、いかに英米の、そして日本の作家達に影響を与え、愛されたか。それについて熱く語られた1時間半だった。

よしだみどりさんは、「ロンパールーム」という幼児向けのTV番組の司会をスタートに、女優、ナレーター、画家としても活躍してきた人だという。
英語に対する造詣も深く(帰国子女? そこらへんの経緯を知りたいな)、スティーブンソンの小品『びんの悪魔』(福音館書店)や詩集『子どもの詩の園』(光琳社出版)を翻訳した人でもある。

なかなか多才な人だけど、スティーブンソンへの情熱は確かだし、フィールドワークもしっかりしている。
おもしろい講演会だった。

参加者が年配の人ばかりだったのは、ちょっとびっくり。
あのタイトルが・・・部外者を惹きつけるには力が弱かったようで、残念。
だれも『宝島』と結び付けられなかったんじゃないか?

『宝島』は日本の作家にも影響を与えている。
井上ひさしの『ひょっこりひょうたん島』
手塚治の『新宝島』(この漫画は敗戦2年後に出て40万部の大ヒットだったそうだ)・・・

英米の作家なら、ジェームズ・バリ、コナン・ドイル、テニスン、ジャック・ロンドン、スタインベック...

英米ではファンクラブも多く結成されているようだが、どうも日本には見当たらない。
どうしてだろうな?

とにかく、スティーブンソンについて知りたいなら、2012年現在では、よしだみどりさんの探究心に頼るしかないようだ。
(英語ができれば、五万とある英語の文献が読めるんだけどな)
というわけで、その講演会に参加できたのは、タイミングがよく、幸運だった。

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