仕事をしていても、注意されることもない。
長い時間いても、見過ごしてくれる。
禁煙なので、店の空気がきれいだ。タバコの臭いなど、一切しない。
しかし、難点が1つある。席と席の間のスペースが狭いことだ。
隣にペアでも座ろうものなら、会話は筒抜け。集中するのを邪魔される。一度など、別れ話を聞かされ、ため息が出てしまった。
「カメちゃんと別れたくない」って...こんなとこで、そんなことを言うから、なかなかうまくいかないんじゃないでしょうか...(余計なお世話だね。)
そこに登場したのが、名古屋に本拠地を置く「コメダ珈琲店」だ。
ここはいい。
広い駐車場があるので、車でいける。
(パソコンとか資料が重いので、これは大変助かる。)
1人で4人掛けのテーブルを独占できる。
広い店内なのだ。
隣のテーブルなど、隣の島にあるも同然。(というのは、ちと大げさだけど)
いつも放っておいてくれる。
朝の10時半から夕方の4時までいても、面と向っては迷惑な顔をされないのがすばらしい...
とにかく、このとき5時間半もかけて何をしていたかというと、サラ・パレツキーの新作の『ナイト・ストーム』を読んでいたのである。
仕事は飽きるけれど、読書は飽きない。
読み始めたらとまらず、ミステリを読みふけっていたというわけである。
ヴィク・シリーズの11作目にふあたる本書は、読み応え十分。
ひところ、個人的には、あまりにエキセントリックで痛々しい印象すら感じられたV.I.ウォーショースキーだが、年齢はこの本で50歳。
さまざまな事件を通して、ブレずに正義と人間の生き様を見つめ、悪に立ち向かってきたV.I.だけに、さすがに円熟味も加わり、素敵な女性になった。
権力に噛み付くところは相変わらず。
だから、応援したくなる。
それに、どうやらV.I.は背中が大きく開いた真っ赤なイブニングドレスを着た、ナイスバディの美女らしい。
こういうことには疎いから、はっきりと表現されるまで、気がつかなかったのは、うかつだったかも。
ハヤカワ文庫の裏表紙に書かれているレビューは次の通り。
「わたしが嵐の真夜中に閉鎖された墓地へと向かうはめになったのは従姉妹のぺトラのおかげだ。
彼女が指導している少女たちが、そこで罪のない儀式ごっこに興じていたのだ。
だがわたしが見つけたのは胸に鉄の棒を突き立てられた男の死体だった。
ヴァンパイア殺人!
事件はマスコミの好餌となり……歴史に秘められた過去の闇と、現代社会の暗部が、ヴィクを追い詰める!
ショッキングな展開を見せる最新作」
事件が佳境に差し掛かったときに「V・I最後の事件」という小見出しにぶつかり、いよいよヴィク・シリーズもこれで最後か…と胸が詰まったけれど、あとは読んでのお楽しみだ。
充実した内容の、読み始めたら本を下に置けないおもしろさ。
結末のハッピーエンドに胸をなでおろし、思わず涙ぐんでしまう。
正義と愛に貫かれた、いい本だと思う。
デビュー作の『サマータイム・ブルース』からずっと、V.I.シリーズにつきあってきた。
いつも期待を裏切らない、読み応えのあるミステリー。
サラ・パレツキーの作家活動がさらに続くよう、心から願うのだ。
どうやらも、アメリカでは新作も出たみたいだし、次の作品がいまから楽しみ!!
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ももんが
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