どんなに過ごしても一日は終わるけれど、どう過ごすかでまるでその質量が違ってくる。
そもそも人間に課された枠組みとは、どこまでいっても「個」からは抜け出せないことと、「時間」の流れから抜け出せないこと。
このごろは、時間について考えることが多い。
「過去にもどれないかなー」とか、「過去を覗けないかなー」とか。
だけどきっと、「時間」の枠組みをとり去れば、過去も未来も同時にあるに違いない。
いまは枠組みの中から出られないけど、すぐ隣に、過去も未来もあるはずと思う。
だから、隣にある時間を感じればいいだけだ、というのがいまの時点での結論。
以下は、仕事用に書いた原稿だけど、半分以上ボツになった。せっかくだから少しは陽の目を見せてあげないとね。
★時間の先取りは人生を短くする
時間の先取りは禁物。
「もうすぐ冬」「お盆を過ぎれば、もう夏も終盤」「あと何日で誕生日がきて、また年を取る」……
春に夏を考え、夏に秋を思い、秋になれば冬の準備をし、冬になれば、春を待つ。
そんなふうに常に先のことばかり考え、時間を先取りしていると、時間は加速して過ぎていってしまう。
時間の経過ばかり気にしていると、せっかくの今に集中できず、時間をコンパクトに折りたたんでしまうのだ。
一年は瞬く間に過ぎ、あっという間に老いていく。
〝若さ〟とは、時間を気にしないこと。
若者にとっては、今しかないのである。
若くても、年を取っていても、せっかく生きている今を大事に思うこと。
★時間の前後を気にしなければ、いまが永遠になる
子どもにとっては、今という時間しかない。
子どもには過去、未来という概念はない。
ましてや、幼い子どもには、今という認識すらない。
ただ存在しているのみである。
「子どもの頃は、あんなに一日の時間が長かった」
と、だれもが思うだろうが、それは時間の前後を認識しないせいである。
時間は「過ぎていくもの」と、そこばかりを過大評価せずに、ただただ今だけを感じていれば、時間は永遠のようにも思われるはずだ。
★楽しい時間
時計の秒針は正確に時を刻むが、実際の時間は、そのように規則正しいものではない。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうが、退屈な時間は長く感じる。
時間は伸縮する。
そうであれば、楽しい時間を持ち、なおかつその時間を長く感じるようにもできるはずだ。
コツは、過去や未来にとらわれず、時間の経過を意識せずに、今に集中することである。
あと何分で終わるとか、半分の時間が過ぎたとか、どうせいまの楽しい時間も終わりがあるのだと、そういうことばかり考えない。
終わりがきたとき、「もう終わった」とため息をついてがっかりしない。
ただただ、いまを楽しむのである。
終わりの時間がきても、そこで気持ちのピリオドを打たずに、楽しかったことの余韻を感じるひとときにしてしまえばいい。
「ああ、楽しかった」と喜びで心を満たすのだ。
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