紫の物語的解釈

漫画・ゲーム・アニメ等、さまざまなメディアにひそむ「物語」を抽出して解釈を加えてみようというブログです。

【ジョジョ】吉良吉影の物語を追う[後編]

2010-03-30 22:45:50 | ○○の物語を追う
前回の続き


 「川尻浩作」としての生活がはじまる



空条承太郎らの追撃を振り切り、「川尻浩作」の顔と指紋を手に入れた吉良。


[BEFORE]
 ↓

[AFTER]

あくまでも変身したのは「顔」と「髪の毛」と「指紋」のみ。
肉体は変身まえの吉良吉影のものを引き継いでいる。

とりあえずは最悪の事態を逃れた吉良だったが、川尻家での生活はそれほど良いものではなかった。

川尻浩作には、妻・しのぶ と 小学生の息子・早人(はやと)がいた。
夫婦仲は冷え切っており、川尻浩作として帰ってきた吉良に妻・しのぶは
カップラーメンを夕食として出すなど、もう典型的な愛のない夫婦となっている。
息子の早人は陰湿な感じで、親子間の会話があるようではなかった。

と、まぁこんな感じの川尻家で吉良吉影の新生活は始まったのだった。


 吉良吉影の新しい事情



平穏で安定した生活を望む吉良にとって、川尻家での生活は苦痛であった。
 「川尻浩作の筆跡を完璧に真似られるようにしなければならない」
 「川尻浩作の靴のサイズが合わないので、徐々に取替えなければならない」
 「川尻家の金庫の番号がわからない」
など、困難は次々とやってきた。
ビデオカメラでの撮影を趣味(?)としている息子・早人に監視され、
父親の様子が変わったことを不審に思われていることに、このときの吉良はまだ気付かない。

妻・しのぶは、夫・浩作の様子の変わりようを不審に思ってはいるものの



それまで夫に感じることのなかった正体不明の「魅力」を感じはじめていた。



そんな中、川尻家の庭に猫のような草が生えたことに気付く吉良。
どうやらこの「猫草」はスタンド能力者のようであった。
空気を操って威力のある空気弾を放ったり、自身のまわりに空気の幕を張って防御したりと
なかなか強力なスタンド使いのようだ。
何かに使えると感じた吉良は、この猫草を川尻家の屋根裏部屋に隠すことにする。

川尻家での生活に慣れはじめ、吉良は自分のなかに奇妙な感情が芽生えていることに気付く。



妻・しのぶに危機が及ぼうとした時、冷血な殺人鬼であるはずの吉良に「人を心配する」という
感情が芽生えたのだった。
吉良はすこしずつ変わり始めてきていたのか―?


 息子・早人に正体がバレる



ある日、電車で男女二人の若者に絡まれた吉良は衝動的に男を爆破。
あとは持ち前の殺人癖を発揮し、女の腕を切り取ってしまう。
そして、その現場を息子・早人に目撃されてしまったのである。



父親が殺人鬼に入れ替わっていることに気付いた早人は、吉良の殺人の瞬間を押さえた
ビデオテープをネタに吉良に挑む。
吉良は思わず、キラークイーンで早人を殺してしまった!



ここで早人を殺してしまったのは迂闊だった。
すでに「川尻浩作」の名前に辿り着きつつある空条承太郎や東方仗助に
決定的不信感を与えてしまうからである。

吉良は深く絶望した。
だが、この深い絶望が『キラークイーン』の新たな能力発現のきっかけとなった!


 新たな能力『バイツァ・ダスト』



絶望した吉良を、スタンドの「矢」が貫いた。
「矢」はキラークイーンの新たな能力を発現させる!



その名も『バイツァ・ダスト』。
時間を吹き飛ばして、一時間ほど過去に戻ることの出来る能力。
これにより、吉良は早人を殺す前に戻ることが出来た。

だが、この能力の恐ろしさはまだそんなものではない。



バイツァダストは他人にしかけることができ、吉良は早人にしかけた。
バイツァダストは吉良の正体を探ろうと早人に近づく者を「自動的に爆破する」のである。
吉良の正体を早人が他人に漏らそうとした瞬間、その「時間ごと」爆破するトンデモナイ能力。

時間を爆破されると、早人は一時間ほど前に戻ってくる。
しかし、時間は戻っても一度爆破された者はその時間が来ると必ず爆破される「運命」が
決定されるという、まさに無敵の力を吉良は手に入れたのだった。



これにより、早人を探ろうとした承太郎たちを完全に爆破することに成功。
早人は絶望に打ちひしがれながら、一時間前へ戻される。



しかし、スーパー小学生・早人はあきらめなかった。
一時間後に承太郎たちが爆破されるより前に吉良を倒し、バイツァダストを解除させることを狙う。
早人は屋根裏部屋の「猫草」を使って吉良に戦いを挑む!


 吉良吉影の最期



早人の勇気ある行動により、東方仗助に吉良の存在を気付かせることができた。
吉良は戦闘のためにやむなくバイツァダストを解除する。
これにより、早人たちは爆破の「運命」に勝った。



そして戦闘は佳境へ。
仗助らのスタンドに苦戦を強いられた吉良はついに・・・



バックしてきた救急車に轢かれ、あえない最期を遂げた。



吉良が最初に殺害した杉本鈴美の幽霊により、死後の世界に連れて行かれる吉良。
「わたしはどこに連れていかれるんだ?」という吉良の問いに
「少なくとも安心なんてないところ」と答える鈴美。

誰よりも平穏や安心を願う殺人鬼・吉良吉影の生者としての人生はここに終わった。


 死後の吉良吉影



幽霊となった吉良吉影は、安心のない生活を送っている。
自分の部屋はない、現世の人や物に干渉するのが非常に難しい、生前の記憶もない・・・。



皮肉にも、吉良に与えられた仕事は死神のような仕事。
生前、殺人鬼だった彼には適任だろうが・・・。



現世の物体に簡単に干渉できない彼は退屈をもてあますことも多いのだろう、
幽霊でできた本やレコードを発見した途端にテンション上げ上げとなる。
幽霊の大変さが垣間見えるひとコマ。



平穏や安心をなによりも幸福としてきた吉良吉影が行き着いた場所は、
平穏も安心もない場所だった。
時だけは永遠に続くような世界で、果たして吉良は幸福になれるのだろうか?

吉良吉影の物語は永遠に続く・・・。



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