【注意事項】
1)本記事は、吉川弘文館刊「永青文庫叢書
細川家文書中世編」を参照しています。
2)現代語訳は純野の“意訳”ですので、訳
し間違いがあるかもしれません。
3)カッコ内は、現代語に直した場合意味が
通じない可能性のある部分に純野が追記した
文言です。
4)現代の歴史書物と異なる表記がある場合
はなるべく原文のままとしました。
5)下線部は原文で"虫食い空欄”となって
いる部分ですので完全に純野の推察です。
34織田信長朱印状 天正六年十二月十六日
<本文>
わざわざ一書をもって申上された内容を読ま
せていただいた。今後(丹後・丹波方面について)
隙が明くだろうとの見方につき、近々下向すべき
かと考える。したがって、その方面への(砦などの)
番で油断することなく、番の者が敵地で調略を見
事に実行したなら馳走(褒美)を取らしたり、詰め
替えの在所を見舞ったりして、留守の時の堅守を
固く申し付けていただきたい。多少落度がある者
が出たとしても(攻める意図での失敗であれば)
いつでも苦しからずである。来年早々にもそちら
方面(丹後・丹波)に罷り越し、摂津の尼崎・花熊
への手当てを申し付け、すぐに大坂へ詰め寄りた
いと考えている。当方の意図を(詳しく)伝えたい
ので、あえて使者を立て口上させる次第である。
天正六年十二月十六日 信長(朱印)
長岡兵部大輔(藤孝)殿
長岡与一郎(忠興)殿
※天正六年=1578年
**純野のつぶやき**
天正六年(1578年)の前回の書状(十一月二十日)
の二十六日後の書状です。この書状の後、年末か
ら年始にかけて長岡軍は惟任光秀の援軍を求め、
さらに一色義道周辺の武将を身方につけ、義道の
居城八田城を攻撃していることから、書状の前半
に地名は出てこないもののおそらく丹州(丹後・丹
波)のことと推測されます。
信長公も、この1か月では伊丹城に籠もる荒木村
重を攻略する作戦に徹していますが、敵城の周りを
取り囲むように着々と付城を造営させて無理攻めは
しないなど、この時点でもまだ「謝るなら許してやろ
う」という温情が感じられるようです。丹後・丹波方面
について長岡藤孝・忠興父子にも無理攻めを命じて
いませんし、なにか尾張の各敵城を攻略した時、城ま
わりに鹿垣(ししがき)・逆茂木(さかもぎ)を結いまわ
し、昼となく夜となく鉄砲を打ち込んで降参・退城まで
じっくり待っていた懐かしい戦法のような気がします。
以上
1)本記事は、吉川弘文館刊「永青文庫叢書
細川家文書中世編」を参照しています。
2)現代語訳は純野の“意訳”ですので、訳
し間違いがあるかもしれません。
3)カッコ内は、現代語に直した場合意味が
通じない可能性のある部分に純野が追記した
文言です。
4)現代の歴史書物と異なる表記がある場合
はなるべく原文のままとしました。
5)下線部は原文で"虫食い空欄”となって
いる部分ですので完全に純野の推察です。
34織田信長朱印状 天正六年十二月十六日
<本文>
わざわざ一書をもって申上された内容を読ま
せていただいた。今後(丹後・丹波方面について)
隙が明くだろうとの見方につき、近々下向すべき
かと考える。したがって、その方面への(砦などの)
番で油断することなく、番の者が敵地で調略を見
事に実行したなら馳走(褒美)を取らしたり、詰め
替えの在所を見舞ったりして、留守の時の堅守を
固く申し付けていただきたい。多少落度がある者
が出たとしても(攻める意図での失敗であれば)
いつでも苦しからずである。来年早々にもそちら
方面(丹後・丹波)に罷り越し、摂津の尼崎・花熊
への手当てを申し付け、すぐに大坂へ詰め寄りた
いと考えている。当方の意図を(詳しく)伝えたい
ので、あえて使者を立て口上させる次第である。
天正六年十二月十六日 信長(朱印)
長岡兵部大輔(藤孝)殿
長岡与一郎(忠興)殿
※天正六年=1578年
**純野のつぶやき**
天正六年(1578年)の前回の書状(十一月二十日)
の二十六日後の書状です。この書状の後、年末か
ら年始にかけて長岡軍は惟任光秀の援軍を求め、
さらに一色義道周辺の武将を身方につけ、義道の
居城八田城を攻撃していることから、書状の前半
に地名は出てこないもののおそらく丹州(丹後・丹
波)のことと推測されます。
信長公も、この1か月では伊丹城に籠もる荒木村
重を攻略する作戦に徹していますが、敵城の周りを
取り囲むように着々と付城を造営させて無理攻めは
しないなど、この時点でもまだ「謝るなら許してやろ
う」という温情が感じられるようです。丹後・丹波方面
について長岡藤孝・忠興父子にも無理攻めを命じて
いませんし、なにか尾張の各敵城を攻略した時、城ま
わりに鹿垣(ししがき)・逆茂木(さかもぎ)を結いまわ
し、昼となく夜となく鉄砲を打ち込んで降参・退城まで
じっくり待っていた懐かしい戦法のような気がします。
以上