介護必要な紐育の在留邦人
亜米利加・紐育で暮らす日本人高齢者の中に、認知症などで介護が必要なのに、
十分なケアが受けられない人が増えている。
事態を重視した在留邦人らは、日本から専門家を招いて老後について学ぶ機会を
設けるなど対策に乗り出している。
外務省の調査では、ニューヨークの在留邦人は約5万人(昨年10月現在)。
在留届を出していない人を含めると、7万人いるとされる。
日系人高齢者問題協議会などが2006年、50歳以上の邦人ら約2,000人に行った調査では、
1970~80年代に仕事などで渡米した人が6割を占めた。
こうした人たちが高齢期を迎え、介護が必要な人も増えているとみられる。
「仕事で英語を使いこなしていたのに、認知症になったら日本語しか話せなくなった。
どうしたらいいのか」――。
在・紐育総領事館の医務官・吉田常孝さんは、高齢者の家族からこんな話をよく聞く。
昨年夏に着任するまで、大阪府内の病院の「物忘れ外来」の医師だった吉田さんは、
在留邦人の介護問題は「予想以上に深刻」という。
「『老後は自己責任』という米国流の考えが浸透しているうえ、
『日本のケアは米国以上に悲惨』という誤解も根強いため、帰国もできない。
厳しい環境で介護をしている家族は多い」と話す。
亜米利加には、日本の介護保険のような公的な仕組みはない。
高齢者向けに「メディケア」など公的医療保険はあるものの、必要なサービスがすべて
受けられるわけではない。
また、民間の介護保険は保険料が高額なうえ、認知症が対象外だったり、適用期限があったりする。
介護に関する知識を補うため、総領事館は、厚生労働省が認知症の理解者を増やす目的で
進めている「認知症サポーター」の養成講座を開くことを検討しているようである。
(2009年10月30日 読売新聞)http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=16090
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