カナダの大学で日本語クラスのティーチングアシスタントをしていたときのことです。ある学生(仮にAさん)が欠席することを知っている別の学生(仮にBさん)が「Aさんは病気です」と、覚えたばかりの日本語でAさんの欠席理由を教えてくれました。授業後、Aさんのことが気になったので、Bさんに詳しいことを訊いたところ、Aさんは風邪を引いているという答えが返ってきました。
英語母語話者は欠席の理由にHe is sick.などのようにsickという語を使います。留学していた頃、私はよくその表現を耳にしました。おそらくBさんは、sickを教科書や辞書などで調べ、sickの項に「病気」と書いてあったので、「Aさんは病気です」と言ったのだと思います。
語感の問題なので個人差があることを承知で書きます。私が「○○さんは病気です」という日本語を聞くと、その人が重病を患っていると想像します。少なくとも私は、風邪程度のことで友人が授業を欠席するのであれば、「病気です」とは言いません。具体的に「風邪を引いたようです」と言うか、「風邪」をぼやかすのであれば、「具合が悪いそうです」などと言うでしょう。「体調を崩したらしいです」「体調が悪いと言っていました」でも不自然には響かないはずです。 【大塚孝一 M1】
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こういう違いって意味論か語用論かどちらにあたるか微妙ですね。
コメントをありがとうございます。そうですか。日本語のように例えば「風邪」などの病名を出すことは、英語では具体的すぎるのですね。日本語ではそのような響きは基本的にないと言って構わないと思います。もちろん、英語のように少々ぼやかして「体調が悪い」などと言うことは問題ありませんが、文脈によっては「隠し事をしている」と捉えられる可能性もあります。