病院医事課の課長はパワハラである。普段仲良くしているといっても、その体質としてパターナリズム(父権主義)が染み付いていた。業務での注意が感情的で、声を荒げる場面も見てきた。女性スタッフが泣いていた事もあったよ。
そういう体質だから、当直事務が請負であるにも関わらず、下に見ているのだろうと。少なくともコミュニケーションにおいて、必ず上下関係を基礎としていたと思う。
しかしながら、そこを責めてみたところで、良い解決になるかといえば、心許ない。なぜなら、パターナリズム体質の中での出来事であるので、この問題の責任はうやむやになるだけだろうと考えた。つまり何が問題かと認識さえできないだろうと。あのJOCの元会長森喜朗が女性差別していながら、何が問題か理解できないということと似ているかもしれない。
そこで考えたのは、請負業務上時間外の勤務をさせられないことを認識しているのは誰かということだ。1つには病院の経営をしている人たち。2つ目には請負の会社である。つまり僕が勤めている会社の人間だ。この両者にも微妙な力関係がある。
というのは、僕の勤めている会社の人間もまたパターナリズムを受け入れているので、病院が業務以外を求めてきても、無理しない程度で行った方がいいとしてもいたのである。ただ、明らかに請負業務ではない業務を依頼された時、その分結構な追加料金を求めたことがある。その話は頓挫した。会社としては、請負の業務委託金がギリギリだというのに、無理な要求と考えたのだ。
ついでにいえば、この会社は病院業務の派遣や請負をする会社の中で有数の規模なので、契約が切られても構わないと考えてもいたのである。当時そういう問題があった際には、現場の僕にも相談してきて、契約が切られても雇用を確保すると約束までしていた。
話がズレていってしまうが、そういう病院と請負との関係であった。日常業務するときには、何の問題もなく、平常通り過ぎていく。今回は両者の関係性のズレと日本社会のパターナリズムの体質が重なって、表面化したのだ。
病院の通路で請負との契約について理解しているだろう人物とたまたま遭遇した。病院経営の実務に関わっている。ちょっと彼と立ち話だ。
僕「なんか15分前からミーティングするから参加しろって話がきてますけど、知ってます?勤務時間前だから無理なんですけどね〜」と餌を撒いておいた。
もう1つ餌まきしなければならない。
(もう1回つづく)