9時ぐらいに主治医がやってきた。昨晩の話の続きがだ、2つコントロールしたいことがあるという。
1つは血圧。そのために点滴と内服薬が使用される。なかなか効果がないらしく、強い薬に変えますとのこと。確かに上の数値が200越えである。心の中で「安定の200だな」と思っていた。実際には不調な感じがないため、”数値ごとき”に驚かなかった。
もう1つは浮腫。見るからに足はむくんでいる。指で足を押すと、皮膚が沈んでなかなか戻らない。足にきちんと酸素が送れないそうで、そのせいで歩くのがしんどくなっている。そして、心不全の直接な症状である心臓に水が溜まっていること。この症状を改善するにはオシッコでそれら溜まった水を外に出すこと。
ところが、腎臓の機能が衰えている。結局、オシッコがあまりでないのだ。だから、オシッコが出る薬、いわゆる利尿剤を使っているのだが、数種類使っている。もちろん点滴も。医者が言うところだと、「もっと出てもおかしくないのだけど、反応が悪いんだよね」とのこと。「とにかくもう少し見てみよう」と。
主治医がまた私を診に来るのは2週間後とのことで、違う医者がこれからしばらく担当となるとの話があった。「そっちが主治医でいいんじゃないの?」と心の中で思いながら、部屋を出て行くのを見送る。
しばらくして、看護師がやって来て、胸部レントゲンを撮るので、場所を移動することになる。入院していたのは2F、放射線室は4F。そこで体に付いているモニターの線を取り外し、点滴の機械を持ちながら、車椅子移動である。
この移動はちょっとした喜びであった。というのは、入院した部屋の窓から外は見えるが、ずうと同じ空間に留まり、同じ風景を見ているのは、いつの間にか気持ちを萎えさせるからだ。まだ1泊しただけであるから、次の日からは外出するような気分で、ちょっとした気分転換ができた。
ACCU全体をはじめて見ると、結構広く、その2Fがどんな構造なのかがおおよそ見て取れた。そして、色々な場所から外の景色や病院の施設が見えたりする。機械が実に多く、通路は無機質である。医療もまた産業であり、機械によって構成されているシステムだと実感した。
さて特に食堂が1Fにあるのだが、それが見えて、人の往来が確認できる。なんか新しい風景でもあった。まあ、私にとっては散歩というか、「小さな旅」という感じであった。
実際はほんの20分程度の時間なんだけれど。
(つづく)