スポーツメンタルトレーナーの小噺

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第二回メンタルトレーニング講義:メンタルトレーニングの目指す状態

2004年07月30日 | メンタルトレーニング講義
 ずいぶん間が空いてしまいましたが、今日は第二回のメンタルトレーニング講義を行いたいと思います。テーマはメンタルトレーニングの目指す状態・ゴール。オリンピックも間近ということで、その前にやっておきたかったテーマです。
 選手にとって成績を残すことが最大のテーマであろうことは予測がつきますが、それは最終的な結果であって、その過程がより重要になってくると思います。そのスポーツをやっていること自体が楽しいとしたら、さらにそれに結果がついてくれば最高だと思いませんか?みなさんも特に子供の頃、友達と遊んだり、おもちゃで遊んだり、ままごとをしたり、砂場で遊んだりして、気付いたらもう空は暗くていつの間にこんなに時間が経ったんだと感じたことはありませんか?そのときは、その楽しい時間に没頭してとてつもない集中力を発揮していたんですね。そのような状態Flow(フロー)こそが私の研究テーマなのです。
 私は今度のアテネオリンピックに出場する3選手なども含まれたトップレベルの選手へのインタビューの結果、6つのあるべき競技前の状態を再発見しました。
1.リラックス
ここではリラックスとしているが、適度な緊張状態のこと。
2.自信
練習やコンディションがよく反映されている。
3.意欲
挑戦的な目標、明確な目標。舞台の大きさなども関係。
4.集中
意図的な集中の高め方はあまり見られなかったが、自然にできているときに結果的にFlowになっている。
5.マイナス要因の欠如
不安や緊張など競技以外のことにエネルギーを使わなくてすむ状態。
6.肯定的な感情
嬉しい、楽しいといったポジティブな感情がいい影響を及ぼす。
 これら6つの状態がそろえば、Flowになる確率も高くなり、いいパフォーマンスができる確率も高まると思います。オリンピック前後の選手のインタビューなどにもこのような事象の良い・悪い例が出てくると思われるので、みなさんも目や耳を傾けてみてください。
では、またそれぞれの詳しい内容はおいおいということで…。

プレッシャーの正体

2004年07月26日 | 野球小噺
 昨日TBS系列の情熱大陸という番組を見ました。オリンピック野球代表の特集をしていて、オリンピック予選の際の舞台裏を映像で見ることができました。本当に普段と違う大きなプレッシャーに苦しんだようです。
 では、何がプレッシャーになるんでしょう?誰がプレッシャーを与えているのでしょう?国民からの期待。マスコミからの期待。勿論それはあるでしょう。しかしそれがパフォーマンスに悪影響を及ぼすように仕向けているのは自分自身なのです。その人自身がそれらをプレッシャーと受け止め、「ここで負けたらどうなるんだろうか」と不安になり、「ここで絶対に打たなきゃ」などと自分で自分を縛りつけて過緊張の状態などに陥ってしまうのです。
 プレッシャーというものは目に見えませんし、本当は実在せず、ただ自分の中で作り出してしまうものなんじゃないでしょうか。結局プレッシャーがあろうがなかろうが、やるべきことは一緒なのです。その番組の最後には、その期待・プレッシャーをプラスに換えてしまうヒントがありました。あのミスター長嶋は、なぜプレッシャーに強いのかと聞かれ、こう答えたそうです。「自分に与えられるプレッシャーに感謝しているからだ」と。そういうチャンスを与えてもらえる人はそう何人もいるわけではなく、そういうチャンスに引き合わせてくれた運命に感謝するといったような意味だと思います。本当に明るく、ポジティブシンキングの権化のような人がいれば、ベンチの雰囲気も良くなるでしょう。長嶋監督の一日も早い回復をお祈りしています。

イチロー 2試合連続4安打

2004年07月23日 | 野球小噺
 マリナーズのイチロー選手は、オリックス時代を通じて初の2試合連続4安打をマークしました。1試合目には内角低めのボール球をゴルフスィングのように弾き返してライト前ヒットを打つなど、驚異的なバットコントロールも見せました。2試合目の試合後のインタビューで、「(結果とプロセス)両方とも大事です。結果を出せないと、この世界で生きていけない。プロセスは野球選手としてではなく、人間をつくるために必要」だと答えています。特に「プロセス」にメンタルトレーニング・スポーツ心理学的には焦点を当てているんですが、それが重要で大事だと認識しているアスリートは少ないんじゃないでしょうか。いつも素晴らしい哲学的な答えを返してくれるイチロー選手にこれからも期待大です!

中日-巨人 首位攻防戦

2004年07月22日 | 野球小噺
 1勝1敗で迎えた中日-巨人の3連戦3戦目は、ともに中4日の中日・山本、巨人・上原の先発で始まりました。初回に1点を取り合った後、どちらも負けられない重苦しい首位攻防の緊張感の中で試合は進んでいきました。山本はランナーを毎回背負いながらも、要所を閉める非常に慎重なピッチング。一方巨人打線はあと1本というところで得点を逃し続けていました。味方のミスも導火線に火をつけ、それに我慢しきれなくなった上原が下位打線に3点の勝ち越しを許してしまいます。リリーフ陣がそろっていない巨人と豪華なリリーフ陣が並ぶ中日。勝負はここで決まっていました。
 この試合は本当にメンタルゲームで、どちらも負けられないというプレッシャーの中で、自分のやるべきことを根気強く、粘り強くやりぬいた山本投手の忍耐力の勝利でした。一方の上原投手は味方のミスや拙攻から我慢できませんでした。最後の殊勲打を打った柳沢選手のコメントも泣かせました。「僕はジャイアンツを出された人間だから。何とか今日までやってこれたことを見せたかった…。」ヒーローインタビューの途中、感極まったんでしょう。頬を伝うものが…。こちらも胸が熱くなりました。川相選手と誓った巨人への反骨精神!巨人も厄介な選手たちを敵にしたものです。でもドラ吉の私が一番恐れているのは巨人ではなく、オレ流落合采配と投手力の良い阪神の追い上げです。さあ優勝の行方は………。

サッカーアジアカップ初戦 オマーン戦

2004年07月21日 | サッカー小噺
 サッカーのアジアナンバーワンを決める4年に一度の大会・アジアカップが始まり、日本が初戦を迎えました。相手はワールドカップ一次予選でも同組のオマーン。ただでさえ難しい初戦だというのに、2月にも相当苦戦した相手でどういう戦い方をするんだろうと思っていました。優勝候補の一角である日本に負けて欲しかったのでしょうか、地元の中国のサポーターがオマーンを応援していて、日本にとっては珍しいアウェーの雰囲気になりました。終盤少し慌ててクリアするような場面も見られましたが、日本の選手は比較的冷静に戦っていたように思います。本当のアウェーの戦いではなかったとは言え、日本の選手の中にはアウェーの雰囲気を歓迎する選手さえいます。モチベーションが上がるのでしょうね。特に川口選手は集中力の選手なので、苦しい状況の中のほうがこれまでもいいパフォーマンスをしているように思います。普段も自分でモチベーションを上げ、集中力を発揮できればミスも少なくなると思うんですが…。でも最近はミスも少なく、それができるようになったのかもしれません。
 結果的には2月に続き、またもや1-0のスコアで勝つことができましたが、戦術・戦略が全く見えてきません。全体の統一した意識として戦術・戦略があると思うんですが、ジーコ監督は選手に任せっきりのような印象を受けます。親がだらしないので(だらしないふり?)子供がしっかりしていくように、選手が自発的に考えるようになり、自分たちで問題解決を図れるようになることは重要なことだと思いますが、大まかで良いのでチームの方向性といった枠組みを与えてやったらどうかと感じます。

大相撲名古屋場所

2004年07月18日 | その他スポーツの小噺
 横綱朝青龍が結びの一番で大関魁皇を寄り切り、4場所連続8度目の優勝をしました。ここ一番の勝負ではより集中力が高まるようで今日も見ていて負ける気がしませんでした。優勝決定戦を見たい観客の対戦相手の魁皇への声援の大きい中、本当に素晴らしい集中力でした。中日には取り直しの末に琴ノ若を切り返しで破り、土つかずの8連勝で勝ち越したのですが、最初の取り組みでは琴ノ若の投げに完全に裏返しにされ背中から落ちかけたのにもかかわらず、落ちる瞬間に相手にしがみつくような形の驚異的な粘りで奇跡的にこらえました。軍配は相手に上がったのですが物言いがつき、琴ノ若の手が落ちるのと同体と判定され取り直しに。もうこの時点で朝青龍の勝利が決まったようなものでした。集中力に加え、この勝利への執念。横綱になったばかりの時のような言動は見られなくなり、朝青龍は大横綱への道を着実に上がっていっている気がします。

タイトル再変更

2004年07月17日 | その他
 新タイトルの評判がよろしくなく、またタイトルを戻すことに決めました。お騒がせしましたが、今後はこのタイトルでいくつもりです。これからもよろしくお願いします!

サッカーオリンピック日本代表観戦記

2004年07月15日 | 生観戦記
 たった今豊田スタジアムで行われたサッカーオリンピック日本代表の試合を見てきました。チュニジア代表と対戦した日本代表はアテネオリンピックの選手選考前の最後の試合ということで、非常にモチベーションが高くいい試合をしてくれるのではないかと期待していましたが、あまりそのような気持ちは伝わってこず、結果も残念なものになってしまいました。
 山本監督は試合前にわざと選手にプレッシャーを与えたようですが、先発した当落線上の選手はその期待にはあまりこたえられなかったようです。合宿でたまった疲れのせいなのか、暑さのせいなのか、プレッシャーに負けたせいなのかわかりませんが、前半は全体的にパフォーマンスが良くありませんでした。逆に後半はオリンピックがほとんど内定しているような阿部、田中達、平山選手などが見せ場を作ってくれました。わざわざ召集したオーバーエイジの曽ヶ端選手の個人的なミスから両チーム唯一の得点が生まれたわけですし…。このままでオリンピックに行って大丈夫かなあ。本番でも先発起用が濃厚な曽ヶ端選手がこのミスをプラスにしてくれることを望みます。心配だぁ。

プロ野球オールスターゲーム

2004年07月11日 | 野球小噺
 球界再編が水面下で進む激動の中プロ野球のオールスターゲームが行われました。オールスターゲームはチームの勝敗というより個と個の対決が注目されることが多かったのですが、今年はもう少し緊張感のある緊迫したゲームになっていたと思います。
 第一戦では、フジテレビの演出だと思いますが、歴代の有名選手である江夏豊・山田久志投手、バース・ブライアント選手がそれぞれ現役選手と対戦するアトラクションが行われました。特に引退してからだいぶ時間が経っている江夏・山田両投手のボールをなかなか打てず苦労している現役選手が観れて楽しめました。
 第二戦では、なんと言ってもSHINJO選手!予告ホームランの後にセーフティバントをやったり、オールスター初の単独でのホームスチールを決め、2本の二塁打を打つなどアピール度満点でMVPを獲得しました。僕は、実力があるのに日本のプロ野球ではその実力をあまり発揮できていないSHINJO選手にもどかしさを感じていましたが、それは日本のプロ野球の環境のせいだったのでしょうか?このように制約をあまり受けない試合では彼はやはりスターとしての輝きを放っていると思います。僕は野球というスポーツは団体競技でありながら多分に個人競技の要素を持っていると思います。もっとペナントレースでもワクワクするような個と個の戦いが見られれば、スター選手も出てくるだろうし、ファンも楽しい見所が増えて観客動員にも良い影響を及ぼすのではないでしょうか。日本プロ野球の曲がり角にある今、SHINJO選手の活躍が何かを訴えていたように思えてなりません。

タイトル変更

2004年07月10日 | その他
 えー、気まぐれにタイトルを変更しました。しっくりこなければまた戻すかも・・・。メンタルトレーニング、イメージトレーニング、スポーツ心理学、メンタルトレーナー、スポーツメンタルコンサルタントなどタイトルに入れる候補がいくつかあるんですが、しばらくの間しっくりするタイトルを模索したいと思います。ご迷惑をおかけします。すいません。

女子バレーボール・柳本監督

2004年07月07日 | その他スポーツの小噺
 先日、TBS系列の「ZONE」というテレビ番組で、アテネオリンピック出場を決めた女子バレーボールの柳本監督の特集をしていました。テレビのインタビューなどですばらしい指導者だなと以前から興味を持っていたので、楽しみにしていました。柳本監督は低迷していた女子バレーボール界を救い、今またより高い場所への挑戦をしています。
 柳本監督はコート上の指揮官としてオリンピック出場、海外リーグ経験のある吉原選手を据えて見事アテネオリンピック出場を果たしました。しかし、彼女がいない緊急事態に備えてもう一人リーダーシップを取れる選手を作らなければならないと考えたようです。そして柳本監督の巧みな叱咤激励によって成田選手にその自覚が出てきたようです。また、怪我による事態を恐れてなのか、戦術に幅を持たせるためなのかわかりませんが選手に様々なポジションをやらせてもいます。
 さらに、バレーボ-ル関係者から嘲笑されながら、若い大山・栗原・木村選手を自分の信念を持って抜擢し、すばらしい成果を挙げています。もちろん今の活躍に彼女たちが甘んじないようにもっと高い目標を持つようにしっかり促しています。アテネオリンピック前の試合では、若い選手ばかりを先発させるなど本番で試せないようなことを試したり、本番前の準備と割り切って強化を進めているのが本当にすばらしく勇気があることだと思います。
 柳本監督は洞察力先を見通す力というのが長けていると思います。サッカーやバスケットボ-ルなどほかの団体競技の監督をやっても成功は間違いないんじゃないでしょうか。すばらしい監督の下、アテネオリンピックで女子バレーボールはいい成果が得られると僕は確信しています。

EURO ギリシャ、開催国ポルトガルを下して初優勝!

2004年07月05日 | サッカー小噺
 サッカーのヨーロッパ選手権でギリシャが開催国ポルトガルを下して初優勝!技術的には優位なホームのポルトガルが攻勢でしたが、それも狙い通りのギリシャペース。後半12分にギリシャがコーナーキックから先制してから、僕はギリシャの優勝を確信しました。守勢に回りながらも少ないチャンスをもぎ取って最少得点差で逃げ切るのが彼らのスタイルだったからです。ポルトガルは時間が次第になくなるにつれ焦ってファウルを連発。まさにレーハーゲル監督のプラン通り!自分たちのスタイルを貫き、自分たちの能力を最大限発揮し、フランス・チェコ・ポルトガルと強豪国を次々と破り頂点に立ったギリシャは優勝にふさわしいチームでした。素晴らしい采配を見せたドイツ人のレーハーゲル監督はドイツ代表監督を請われているそうな。ドイツ人も見る目ないなぁ。自国の優秀な人材に他国の代表監督やらせてどうする…。岡田監督、山本監督など日本人監督もだいぶ経験を積んできているので近いうちに僕らを喜ばせてくれるような結果を期待しています。

EURO ギリシャがチェコを破って決勝進出!

2004年07月02日 | サッカー小噺
 なんとギリシャがチェコを破って決勝進出!僕が優勝候補に推していたチェコは敗れてしまいました。ここまで勝ち上がってきたわけなので両チームとも強いわけですが、チェコのキャプテンのネドベドの負傷退場により流れがギリシャに傾いたように思います。ここまで非常に積極的な交代策を見せてきたチェコのブリュックナー監督も緊急事態に二の足を踏んだのでしょうか?対するギリシャのレーハーゲル監督はしっかりチェコ対策を講じてきました。守備と攻撃の際にシステムを変えるなど素晴らしい戦略を練ってきたと思います。しかしこうした紙一重の勝負はほんの少しの運で決まるのでしょう。チェコには味方の選手に当てて不意にしてしまった決定的なチャンスがあり、バー・ポストをたたくシュートもありました。ただ僕が一番ギリシャにとって有利だと感じた点は、試合前のギリシャサポーターの大声援!!国歌斉唱のときも野太い歌声で選手に本当に勇気を与えたと思います。僕もちょっと感動しましたし、これでチェコは危ないかもと感じました。サポーターは本当に12人目の選手なのです。みなさんも自分が応援するチームを観に行くときには力一杯の声援を送ってあげてください。