前回、やせるためにはインスリン分泌量を減らすことが重要で、炭水化物と糖分を控えることが有効であるというお話をしました。
無論、同じ量の炭水化物を摂取しても太るヒトと太らないヒトがいます。これは遺伝的素因によると考えられています。①インスリンの分泌量、②そのインスリンに対して度程度反応するか(インスリン抵抗性)、③脂肪細胞、筋肉細胞、肝細胞がそれぞれ違う反応をするなどです。 また同じ個体でも年をとるとインスリン抵抗性が増すなどの現象がみられ、若い頃はやせていても中年になると太ることと関係しているようです。
では糖分のなかでも果物に含まれる果糖はどうでしょうか。果糖はブドウ糖と違い急激にインスリンを分泌させることはありませんが、肝臓ですみやかに脂肪に変わると考えられています(最も脂肪を生成する炭水化物)。
アルコールは、肝臓で少量のエネルギーと大量のクエン酸塩に代謝されます。このクエン酸塩はブドウ糖から脂肪酸をつくる過程を促進させ、アルコール性脂肪肝の原因になります。アルコールは、一般にはエネルギーとして消費され脂肪として蓄積されることはないと考えられていますが、一緒に炭水化物をとると結局脂肪として蓄積されることになります。ちなみに、ビールのカロリーは2/3がアルコールで、1/3が麦芽糖(精製炭水化物)ですので、飲み過ぎればビール腹になります。
インスリンには空腹感を増す働きもあります。炭水化物や甘いものを食べることについて考えるだけでインスリンは分泌されます。インスリンは栄養を血液循環から一時的に取り除いて貯蔵することで私たちを空腹にし、その結果、最初のひと噛みがよりおいしく感じられるようにします。その結果血糖とインスリンの反応の大きい食物ほど、私達はそれを好み、よりおいしいと感じることになります。
この「血糖値とインスリンによるおいしさ」の反応は、太っている人や太りやすい体質の人では、間違いなく増大されています。そして彼らが太るにつれて、インスリンはより効果的に脂肪を脂肪組織に、蛋白質を筋肉に溜め込み、それらを燃料として使えなくするため、ますます炭水化物の多い食物を食べたくなるという理屈です。
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