よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

“血糖”について考えてみよう!(1)

2014-04-01 18:43:20 | 健康・病気

糖尿病の方のみならず、“血糖”という言葉は皆様ご存知だと思います。“血糖”とは、血液中に存在するブドウ糖の濃度で、健常者では空腹時100mg/dl前後で食後でも140mg/dl以下保たれています。

この血糖値が異常に高くなっている状態を高血糖といい、空腹時126mg/dl以上あるいは食後2時間値200mg/dlの方を糖尿病といいます。

一方、ブドウ糖は、脳が唯一利用できるエネルギー源ですから、血糖がある程度以下(50mg/dl以下は特に問題)になると脳の活動が低下して意識消失をきたすことがあります。(これを低血糖といいます)。

 

さてそれでは、ヒトの血液中には一体どれくらいのブドウ糖が溶けているのでしょうか?

ヒトの血液量は、体重60kgではおよそ5リットルです。血糖が100mg/dlというのは、逆算すると体中の血液にブドウ糖がわずか5g(ティースプーン1杯!)が溶けている状態ということになります。

 

一般的なジュース350mlの中に溶けている糖分の量は35g程度です。これが吸収されると血糖が一気に上昇します。健常者ではこの時、すい臓から適切なインスリンが分泌されて、ブドウ糖を肝臓や筋肉に取り込んで速やかに血液中の血糖を正常値まで下げることができます。糖尿病の方は、インスリン分泌が少ないか、分泌されたインスリンを有効に活用できない(インスリン抵抗性がある)ことにより、高血糖状態が続き、血管や臓器にダメージを与え続け、のちのち恐ろしい合併症(脳卒中、心筋梗塞、腎不全、網膜症など)を引き起こします。

 

たかがジュース1本といえども、体中の血液に溶けているブドウ糖の何倍も糖を含んでいるのです。医者が、「水分補給はジュースではなく水かお茶にしなさい」と指導する理由がご理解いただけると思います。

では、今流行りのカロリーゼロ飲料は大丈夫でしょうか? 次回はそのあたりについてお話したいと思います。

 


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