最近、糖尿病・高血圧・脂質異常症という生活習慣病の患者が増えているという報道を聞かれた方も多いと思います。過剰な内臓脂肪蓄積が原因となるメタボリック症候群はその代表的疾患です。この生活習慣病の治療の根幹はやはり食事・運動療法です。これは、江戸時代の儒学者、貝原益軒の有名な『養生訓』にも出てきますが、一言でいえば“元気で長生きするには、食べ過ぎず、よく歩く”とういことです。
人類の歴史を振り返ると、現代を除くと、生きるためには飢餓との戦いでした。したがって、食欲は生きていく上で最も重要で、我々の遺伝子の中に強固に埋め込まれています。いざ飽食の時代になっても遺伝子は急には変わりません。わかっていてもついつい食べ過ぎてしまうのは、本能に沿っているからにほかなりません。しかし一方で、食べ過ぎると体の調子が悪くなることも、我々は日常生活で経験し知っています。先日NHKで、食事制限がサーチュイン遺伝子(老化を抑制する働きがある)を活性化するという放送をしていました。食事の量を今の7割にして2ヶ月程度続けると、すべての人がもっているこのアンチエイジング遺伝子を活性化できるというものです。
ではどうしたら食事の量を減らすことができるでしょうか? ○○ダイエット!? あるいはモデルの写真と鏡の中の自分とを見比べながらダイエットに励む方もおられるでしょう。先に野菜をしっかり食べてお腹を太らせるというのもいいでしょう。でも私が誰にでもできる効果的で簡単な方法だと思うのは、ゆっくり味わいながらしっかり噛んで(一口30回)食べるということです。咀嚼することで満腹中枢を刺激し無理なく食べすぎを抑えてくれます。加えて消化もよくなり、食後の血糖上昇もゆるやかになります。
先人から言い伝えられた言葉ではありますが、“栄養バランスのとれた内容を、ゆっくり、しっかり噛んで腹八分目で食事を終える” これが食事療法の極意だと思います。
次は、運動療法についてお話したいと思います。
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