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あさのあつこ「天を灼く」

2023年05月16日 | あ行の作家


祥伝社
2016年10月 初版第1刷発行
315頁

元服を前にした伊吹藤士郎は、天羽藩6万石の大組組頭を務めてきた家柄の嫡男
五百石取りで父・斗十郎は高齢の筆頭家老が致仕したあかつきには執政入りは堅確と評判をたてられているほどの人物でした
何不自由ない生活を送る藤士郎でしたが、突然、斗十郎が豪商と癒着した咎で捕縛されてしまいます
無実を信じながら母、他家に嫁している姉、親友の慶吾や五馬と共に不安な日々を過ごす中、ついに斗十郎に切腹の沙汰がくだり、最後に一目父に会うべく牢屋敷に忍び込んだ藤士郎に斗十郎は介錯を命じます

苦労知らずの坊ちゃん・藤士郎一人では何もできません
でも彼も彼なりに考えに考え、悲しみを乗り越え、少しずつでも成長していきます
伊吹家を助けてくれる謎の人物・柘植左京をはじめ登場人物らの人物造形がとても魅力的です

藩内の政情混乱を描く時代小説で、まず思い出すのは藤沢周平さん
本作も似通ったところは多々あるものの、あさのあつこカラーで面白く読めました

斗十郎が咎を受けた事件の真相や斗十郎退場の理由のひとつに『死病を患っていた』というのにはやや無理があるようにも思いましたが良しとします
「天地人シリーズ」とのこと
「地」「人」でまたその辺りの説明があるかもしれません
全3巻、なるべく早く読み終えたいです


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2 コメント

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Unknown (todo23)
2023-05-16 16:02:10
あさのあつこさん。子育て中に読んだ『橋ものがたり』をきっかけに藤沢周平に魅せられて時代小説を書き始めたそうですから多分に『蝉しぐれ』を意識してるんでしょうね。
なんか面白そうですね。久しぶりにあさのさんの時代小説に手を出してみようかな。
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todo23さん (こに)
2023-05-17 07:46:09
>『橋ものがたり』をきっかけに藤沢周平に魅せられて時代小説を書き始めたそう

現代物の作家さんと思っていたのですが主人から聞いてビックリ
で、時代物を読み始めたらこれが面白くて。
記録をみると圧倒的に時代物が多いです。
ハード面に女性らしい柔らかさが加わってとても読みやすくお気に入りの作家さんです。

期待通り、にはならないかもしれませんが気楽に読んでみてくださいませ^^
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