訳・大久保康雄
新潮文庫
1967年5月 発行
1989年7月 41刷改版
2009年7月 61刷
解説・大久保康雄
上巻 468頁
下巻 433頁
土地を失ったオクラホマの貧農家族の悲劇的な運命を描いた一大叙事詩
1933年からほぼ2年間、テキサスからカナダ国境に至る大平原に吹き荒れた猛烈な砂嵐
それはすべての耕地を一夜にして砂丘に変えてしまいました
この天災と機械化された耕作会社のトラクターに追われオクラホマの貧農ジョード一家は、祖父が手に入れ、父が開墾した土地を捨て、求人ビラにつられて、わずかな荷物をオンボロトラックに積み、西部カリフォルニアを目指します
山脈を越え、砂漠を横切ってやっとたどり着いたカリフォルニアでしたが、そこは彼らが夢見ていたような場所ではありませんでした
既に、大量の土地を追われた農民が集まってきており、労働力は過剰になり、賃金は雇用者側の意のままに切り下げられ、一家総出で働いてもその日の食べ物すら満足に得ることも出来ない状況だったのです
全30章のうち、奇数章では物語の筋とは別に、背景を成す社会条件、自然や地理的諸条件が語られています
初読は中学2年の夏休みでした
思い返すに、奇数章の内容など全く理解できていませんでした
偶数章の物語の本筋にしたって上っ面をなぞった程度の読み方しかできていなかったと思います
なんのことやら全然分らず読んでいたのでしょうね~
あの頃、本書についてエラそうに熱く語ったアノ人に深く深く謝りたいです
こんにちは
知人と読んだ本について熱く語ったり
盛り上がったり,本の貸しあいっこしたり
若い頃も今も大事なことだと思いますよ
かつての同級生の女子に,ジイドの'田園交響曲'を薦められて感動したあの頃も多分私は誤読してたんでしょうけど…
持論ですが文学に哲学を求めるのは馬鹿げてる,のと同様に
読者には精読,遅読,即読や再読があるように誤読があっても然るべきだと思います
評論家の植草甚一さんはかつて
'戦争と平和'が面白ろかったから再読するのは,そもそも初読の時に理解していないからなんだよ'…と書いてましたが
面白かったから,判らなかったから再読するのもりっぱな読書でしょうか
若いころ読んだ本のあらすじもあらかた忘れた私が言うのも失笑ものですが
さて,こにの記事を拝読して'エデンの東'が読みたくなりました(←実はかなり影響されやすい…)
(が,あいにくと南部ゴシック作家,ユードラ・ウェルティのp1000もある長編全集に取りかかってます.とりあえず書籍だけでも買い求めましょうか…(笑))
んでは