集英社文庫
2019年4月 第1刷
2020年2月 第11刷
解説・松本大介-「色のない夢」
398頁
警察官を定年退職し、妻・香代子と共に四国遍路の旅に出た神場
旅先のテレビで知った愛里菜ちゃん殺害事件は、16年前に自らが捜査にあたりDNA鑑定の結果を決め手に犯人を逮捕した純子ちゃん殺害事件に酷似していました
愛里菜ちゃん殺害事件に関して手がかりのない捜査状況に悩む後輩に電話でアドバイスしながら神場は純子ちゃん殺害事件への悔恨の念を強くしていくのでした
お遍路の旅の合間に挟まれる、香代子と結婚して間もない駐在員時代など、昔の出来事の数々
どこでどうやって事件解決に結びつくのか
はたまた事件は未解決のまま終わるのか
やきもきしながら読み進むうち、主たる物語は殺人事件の謎解きでないことに気づきました
すると、それまで今一つ読めていなかった神場や香代子の心情に近づくことができて、物語世界にのめり込むように一気読み
終盤の謎解きと疾走感、そして神場が出した結論と余韻、深みのある人間ドラマをじっくり楽しみました
人間の洞察力、女性作家でありながら、男性の心理を深く描ける筆力にはいつも感嘆しています。
彼女の作品は好きです。
ボチボチですけど他作品も読んでいきたいです。