「レモニー・スケットの世にも不幸せな物語」
原題 LEMONY SNICKET’S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS
2004年 アメリカ
【Netflix】
レモニー・スケットことダニエル・ハンドラーによる子ども向け小説シリーズの最初の3作を実写化
両親が突然亡くなったことで孤児となったボードレール家の3人の子どもたち
長女で14歳になる発明家バイオレット、弟の読書家クラウス、何にでも噛みつく末っ子のサニー
3人は知恵と勇気で、彼らの遺産を狙うオラフ伯爵の陰謀に立ち向かっていきます
オラフ伯爵を演じるのはジム・キャリー
原作のイラストにそっくりとのことで調べましたが、特殊メイクとはいえ素晴らしい!
そしてその百面相のような表情の変化は「マスク」以上、ジョニー・デップ以上でした
面白かったです
そして出演陣も素晴らしいのです
ジム・キャリーなくては成り立たない作品ですし、バイオレットにエミリー・ブラウニング、他にメリル・ストリープ、ジュード・ロウ、ティモシー・スポール、ダスティン・ホフマンetc
エンディングの影絵で映画のおさらいをしつつ、またまた楽しませてもらいました
BGMも素敵♪
「オリーブの樹は呼んでいる」
原題 EL OLIVO
2017年 スペイン
【Amazon Prime Video】
スペイン、バレンシアでオリーブ農園を営む一家
オリーブ不況のあおりを受け経営難から祖父が大切にしていた樹齢2000年のオリーブの樹が高額でドイツの製薬メーカーに売られてしまいます
インターネットで祖父のオリーブの樹が製薬会社本社ビルのエントランスに置かれていることを知った孫で20歳になるアルマは、病で先の短い祖父のためにドイツまでオリーブの樹を取り戻しに無謀な旅に出ます
アルマはとにかく気が強く暴走しがちで危なっかしくて目が離せませんが、彼女の気持ちを知る仲間たちは最後まで彼女の傍に寄り添います
根底にあるのは、国家間の経済格差、『大切なもの』が貧しい国から豊かな国へ流出してしまう現実への憂いです
製薬会社のHPのトップページに大きく載せられているオリーブの樹
2000年以上大地に根付いてきた樹が人工的に置かれている様は悲しいとしかいえません
アルマたちは、SNSを活用して製薬会社、さらにドイツ社会、ヨーロッパ全域に問題を訴えます
さて、事の顛末は…
金持ちドイツへの皮肉がたっぷりで苦笑いです
数年前だったか、TVで世界中の大樹やサボテンだったかを輸入して展示する日本人を見ました
その時は「すごいなー」でしたが、本作を観た今は「何か変…」
私たちは2000年後を考えて生きているでしょうか
「ショート・ターム」
原題 SHORT TERM 12
2013年 アメリカ
【Amazon Prime Video】
10代の少年少女を対象とした短期保護施設を舞台に、誰にも言えない心の傷を抱えた女性と子どもたちが大切な誰かとともに生きる喜びや希望を見出していく姿を描いたヒューマンドラマ
短期保護施設(ショート・ターム)で働くグレイス(ブリー・ラーソン)は同僚でボーイフレンドのメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr)との間に子どもができたことで幸せな将来が訪れると希望を抱きます
しかし、彼女にはメイソンにも打ち明けられない深い心の傷を抱えていました
彼女の心の闇や、施設の子どもたちが心に受けた傷を丁寧に掬い取っていきます
非常に重いテーマを扱っていますし、こういう映画にありがちな、未来は明るい、皆ハッピー~、みたいな展開ではないのにラストは意外に爽やかでした
ブリー・ラーソン、先が楽しみな女優さんです
「シカゴ7裁判」
原題 THE ROYAL OF THE CHICAGO
2020年 アメリカ
【Netflix】
1968年、ベトナム戦争の抗議活動から逮捕・起訴された7人の男の裁判の行方を描いた実録ドラマ
エディ・レッドメイン、ジョゼフ・ゴードン=レビット、マイケル・キートンら豪華俳優陣が出演しています
誰が見ても不平等で後に歴史に悪名を残す裁判となったそうです
本作は被告側から描かれており、史実に脚色が加えられているとのこと
実際はどうだったのか?はあるのですが、悪役扱いのホフマン判事に腹が立って仕方ありませんでした
理不尽な扱いに怒りを表に出してしまう被告に堂々と「My court」と言ってのけるふてぶてしさ厚かましさ、本当に憎たらしかったです
そんなところも映画としては成功でしょうか
「リトル・グローリー ~小さな栄光~」
原題 LITTLE GLORY
2012年 ベルギー、アメリカ
【Amazon Prime Video】
ミシガン州に暮らす19歳の兄・ショーンとまだ幼い妹・ジェリー
母親が亡くなった後、父親と3人で暮らしていましたがその父も職場での事故で亡くなります
父の遺した多額の死亡保険金がジェリーに残されることとなりショーンは妹と2人で暮らしていくつもりでいたのですが、それまでのいい加減な生活がたたり、妹の面倒を見ることができません
2人をみかねた亡き母の妹が後見人としてジェリーを引き取ると名乗り出てきます
自分から妹を奪おうとしていると思い込んで反発するショーンですが、福祉事務所の判断でジェリーは叔母の元で暮らすこととなります
どんなダメ兄でも妹は兄が大好き、兄は妹を大切にしたいと思っているのですけど…
冒頭から時々出てくるショーンが誰かとスマホで話しているシーン
電話の相手はもしや?と気づいてから、どうしようもないダメ兄と思っていたショーンに対する見方が変わり、相手が誰か判明した時にはショーンの苦しみに心臓がグッと掴まれるようでした
観終わって、幼い妹にまともな保護者が必要なのと同じく、きちんとした生き方を教わる機会のなかった19歳の青年も周囲の大人たちに理解され守られるべきと感じました
お兄ちゃん、大変とは思うけれど真面目に働いて、時には叔母さんたちに助けてもらいながら妹と仲良く暮らしていってね
静かながら心に染み入る良作でした
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