「私のちいさなお葬式」
原題 KARP OTMOROZHENNYY
2019年 ロシア
【Amazon Prime Video】
突然の余命宣告を受けたエレーナ(マリーナ・ネヨーロワ)、73歳
村でただひとつの学校で教職を全うし、定年後は気の置けない友人たちと本に囲まれ、慎ましくも充実した年金暮らしを送っています
しかし、病院で心臓に病が見つかり、先が短いことを知らされます
都会で仕事に忙しい毎日を送っていて5年に一度程度しか顔を見せない一人息子のオレク(エヴゲーニー・ミローノフ)に迷惑はかけたくないと考え、自分で自分の葬式の準備を始めます
人生の最期を意識する中で、やれるだけのことをやろうとするエレーナ
最初は面食らっていた友人やかつての教え子たちの協力も得て着実に準備を整えていきます
それは楽しそうで充実しているようにも見えるのですが時折エレーナの表情から窺えるたった一人の親族であるオレクを頼れない辛さが切なくてたまりませんでした
一方のオレクは一人暮らしの母親のことが心配で施設に入れようと考えています
母と息子、互いを気にかけながらすれ違ってしまう思いをマリーナ・ネヨーロワとエヴゲーニー・ミローノフがその表情だけで見事に表現していました
最初から最後まで一匹の「鯉」が重要な意味を持って登場します
オレクが自分の車のキーを呑み込んでしまった鯉を抱えてドアロックを外そうと鯉のお腹をぐにゅぐにゅするシーンは笑えました
鯉が、エレーナの傍を離れるな、と言っていたのかもしれません
エレーナお気に入りのレコードはザ・ピーナッツ「恋のバカンス」のソヴィエトカバー版
調べたら「恋のバカンス」はソヴィエトで大人気となり多くの歌手がカバーしたらしく、現在のロシアでも知られた楽曲だそうです
原題の直訳は『解凍される鯉』
ナルホドです
邦題は悪くはないけれど日本らしい甘ちゃんタイトルですね
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