光文社文庫
2000年4月 初版1刷発行
2009年7月 24刷発行
解説・大森望
354頁
超能力を持って生まれた3人の女性をめぐる3つの物語
「朽ちてゆくまで」
交通事故に遭う8歳まで未来予知能力を持っていた智子
事故で両親を失い祖母と二人で暮らしている
事故の影響でそれ以前の記憶を一切失い、自分にそういった力があることすら知らずにいたのだが祖母が亡くなり遺品整理をしていて見つけた大量のビデオテープから自分の過去を見出し愕然とする
自分は両親の事故死も予知していたのだろうか
両親は自分を不憫に思う余り自殺を図ったのだろうか
最後には、悩み苦しむ智子を救ってくれた人がいたことにホッとします
「燔祭」
理不尽な事件で妹を失った一樹
妹を殺害した犯人の目星はついているのだがなかなか逮捕には至らない
ある日、一樹に近づいてきた奇妙な女性・淳子
彼女は念力で人や物を発火させる力があり、その力を使って犯人に罰を下すことができるという
長編「クロスファイア」に続く物語とのこと
俄然興味が湧きました
「鳩笛草」
他人の持ち物や身体の一部に触れることで心が読める刑事・貴子
その能力を失いつつあることを悟った彼女
能力が無ければ男ばかりの職場では刑事としてやっていけないのではないかという苦悩の日々が始まる
超がつかない能力に置き換えれば、普通の人々の生活の身近にある話です
「朽ちてゆくまで」と同じく、刑事仲間が貴子を優しく包んでくれます
推理小説の中に人間の本質を描く宮部さん
毎度同じことを書きますが、流石です
「短編が上手い人は文章が本当に上手い人だ」
という言葉があったのですが、
宮部さんはまさにそうですね。
読んでいて、わかりやすい
のも助かります
「クロスファイアー」だけを読むと、スティーブン・キングの「ファイアースターター」のオマージュかと思ってたけど、ちょっと違うみたいですね。
なんだか怖そう~~~
でも読みたいです!