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吉田篤弘「パロール・ジュレと紙屑の都」

2014年05月30日 | や・ら・わ行の作家

 

角川書店
2010年3月 初版発行
396頁

 

キノフという街では、言葉が凍りついて結晶になるという
その不思議な現象をめぐって交錯する、さまざまな者たちの思惑

 

紙魚となって時空を超え書物を渡り歩く諜報員・フィッシュ
彼を追う刑事・ロイド
凍った言葉を解く4人の解凍士
秘密を握っていると思しき水晶の眼の女・レン

 

 

分厚いです
吉田さんには珍しいミステリー仕立てですが流れるような筆致に引っ張られるようにするすると読めました

 

 

その昔、テロ行為が頻発し、それまでの安定した暮らしが奪われた街・キエフ
東欧がイメージされます

 

誰かが何気なく口にした独り言が凍りつく
時を超えて解凍士の手により再生された独り言には様々な背景や意味があるようです
解凍士はある特殊な技術を使って凍りついた結晶を解かすわけですが、再生された言葉を推理し読み解く詩人でもあるのです

 

フィッシュに近づいてきたココノツの正体
刑事・ロイドの過去
レンは生きているのか?
パロール・ジュレという現象についての偽の報告書をまとめるフィッシュ

 

ミステリーに関しては色々注文をつけたいところはありますが吉田さんは本来そちらのプロではありませんのでオマケ感覚で(^_^)

 

最後の最後に示されるパロール・ジュレの真実
自分の本音を改めて自覚したとき、人は自らの人生に向き合うことが出来るのかもしれません


読後は
どこか遠くの国を旅してきたような気分

 

 


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