みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1146「同級生」

2021-10-23 17:40:15 | ブログ短編

 突然(とつぜん)、女性から声をかけられた。だが、私にはそれが誰(だれ)なのか分からない。彼女が言うには、小学校(しょうがっこう)の同級生(どうきゅうせい)だという。もう十年以上も前の話だ。私には思い当たることは…。
 小学校の頃(ころ)の私は、親(した)しい友達(ともだち)もいなかったし…。そもそも私は、クラスの誰とも馴染(なじ)めなかった。そんな私のことを覚(おぼ)えているヤツがいるわけがない。
 彼女はどういうわけか、私に思い出させようと必死(ひっし)になっているようだ。あの頃のことをいろいろと話し出した。担任(たんにん)の先生(せんせい)のことや、他の同級生のエピソードなど支離滅裂(しりめつれつ)な話しが続いた。それでも私が思い出さないので、とうとう彼女は――。
「だったら、これはどう? あたしがいつもやってたやつ」
 彼女はいろんなポーズをしてみせた。あの頃、クラスで流行(はや)ってたのか…。でも、こんなところでやっちゃうなんて。彼女は、芸人(げいにん)なのか? それとも…。彼女は、私に何を期待(きたい)してるんだ? 私は、早くこの場から逃(に)げ出したかった。
 彼女は業(ごう)を煮(に)やして言った。「もうっ、早川(はやかわ)くん。わざとしてるでしょ」
 私はやっと納得(なっとく)した。私は、ため息(いき)まじりで彼女に言ってやった。
「すいませんが、私は早川じゃありません。人違(ひとちが)いしてるんじゃありませんか?」
「えっ、うそっ…。そうなの? もう、だったら、もっと早く言ってよ!」
 彼女は顔を赤らめて、足早に駆(か)けて行った。私はひとり呟(つぶや)いた。
「最初(さいしょ)に確認(かくにん)しろよ。まったく時間(じかん)の無駄(むだ)じゃないか…」
<つぶやき>小学校の同級生をどこまで覚えていますか? 私は、まったく自信(じしん)ないです。
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