みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1148「重いんだ」

2021-10-27 17:45:24 | ブログ短編

 彼女は、付(つ)き合っていた男から別れを告(つ)げられた。
「君(きみ)は、重(おも)いんだよ」それが、彼から言われた最後(さいご)の言葉(ことば)だ。
 彼女は納得(なっとく)がいかなかった。
「重いって何よ。あたしは、あなたのために尽(つ)くしてきたじゃない。あなたのために出来(でき)ることは何でもしてきた。仕事(しごと)で落ち込んでいたときも、あたしが励(はげ)ましてあげたじゃない。それなのに…、それなのに――」
 彼女は親(した)しい友達(ともだち)に愚痴(ぐち)をこぼした。友達はそれを聞いて呟(つぶや)いた。「何か…、分かるわぁ」
 彼女はますます憤慨(ふんがい)して、「もう、なに言ってるのよ。あたしが悪(わる)いって言うの?」
「あんたさぁ、思い込みが激(はげ)しすぎるのよ。そんでもって、相手(あいて)のことを分かった気になって、自分の考えを押(お)しつけてくる。いつものことじゃない。私の知ってる限(かぎ)りでは…」
 友達は、指(ゆび)を折(お)りながら数(かぞ)え始めた。彼女は、友達の手をとって止めさせると、
「なに数えてんのよ。何で、そうやってあたしのこと――」
「あんたの被害(ひがい)にあった人の数よ。その中には、私も入ってるからね」
「なに言ってるの…。あたしが、何をしたって言うの? そんなこと言わないで…」
「あんたさぁ。私のこと友達とか思ってるの? 私は、そんな風(ふう)に思ったことないから」
「えっ、そんな…。だって…、あたしたち…仲良(なかよ)しじゃない――」
<つぶやき>悪気(わるぎ)はないんだよね。彼女だって相手のことを…。どうしたらいいのか…?
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