みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1137「逢魔が時」

2021-10-05 17:35:33 | ブログ短編

 薄暗(うすぐら)くなった黄昏(たそが)れどき。それは、災(わざわ)いが起(お)きる時でもあります。
 この時間になると、暗がりの中に人知(ひとし)れず異界(いかい)の門(もん)が開くかもしれません。門が開くと妖気(ようき)が湧(わ)きだして、人間(にんげん)たちを惑(まど)わせ門の中に引き込んでしまいます。そうなったら最後(さいご)、元の世界(せかい)に戻(もど)れなくなるでしょう。
 そこの、あなた。自分(じぶん)には関係(かんけい)ないと思っていませんか? 異界の門はいたる所にあるみたいですよ。あなたのすぐそばにも、口を開いているかもしれません。
 もし、暗がりの中から不気味(ぶきみ)な音(おと)や、身(み)も凍(こお)るような声(こえ)が聞こえたら、すぐにその場から逃(に)げてください。けして暗がりの中を覗(のぞ)こうなんて考えたりしてはいけません。暗がりの中には、化(ば)け物(もの)たちがうようよと蠢(うごめ)いているのですから。
 ――最近(さいきん)では、化け物たちも賢(かしこ)くなったみたいで…。人間たちの見慣(みな)れたものになって現(あらわ)れるそうです。例(たと)えば、それは人間の姿(すがた)だったりもするみたいですよ。帰り道、暗がりから親(した)しい人が現れたら、要注意(ようちゅうい)です。あなたを異界へ誘(さそ)う化け物かもしれません。まず、その人が本人(ほんにん)かどうか確(たし)かめることが必要(ひつよう)です。でも、化け物たちも情報収集(じょうほうしゅうしゅう)には余念(よねん)がないみたいなので、そう簡単(かんたん)にはしっぽは見せてくれません。もし自信(じしん)がもてなければ、やんわりとお断(ことわ)りした方がいいでしょう。
 あなたがそんな場面(ばめん)に遭遇(そうぐう)したら、化け物との知恵比(ちえくら)べに勝(か)つことができるかな?
<つぶやき>逢魔(おうま)が時(どき)には…。昔(むかし)からの言い伝(つた)えの中には、真実(しんじつ)が隠(かく)れているかも、です。
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