みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1150「しずく145~刺される」

2021-10-31 17:48:55 | ブログ連載~しずく

 水木涼(みずきりょう)が神崎(かんざき)つくねに近寄(ちかよ)ろうとしたとき、日野(ひの)あまりが彼女の腕(うで)をつかんでささやいた。「ダメ。あの娘(こ)、変だわ。すごく悪意(あくい)を感(かん)じるの…」
 それを聞いたハルは、買い物袋(ぶくろ)を離(はな)してアキに駆(か)け寄った。素早(すばや)くアキの腕をつかんでつくねから引き離すと、涼たちの方へ押(お)しやった。面食(めんく)らったつくねは、ハルの首(くび)に腕を回して羽交(はが)い締(じ)めにする。そして、反対(はんたい)の手にはナイフを握(にぎ)りしめていた。
 涼は、ハルを助(たす)けようとするアキを引き戻(もど)して叫(さけ)んだ。
「何すんだ! 放(はな)せ! 放さないと――」涼は能力(ちから)を使おうと身構(みがま)えた。
 つくねは、ハルにナイフを突(つ)き立てると、「もし少しでも動いたら、この娘(こ)、死(し)ぬわよ。それでもいいの? この娘(こ)はもらっていくわ。利用価値(りようかち)がありそうだからね」
 つくねが飛(と)ぼうとしたとき、ハルがつくねの足を踏(ふ)みつけた。締めていた腕が緩(ゆる)むと、ハルはつくねにひじ打(う)ちをくらわせた。すかさず、涼が能力(ちから)を使ってつくねをはじき飛ばした。これで形勢逆転(けいせいぎゃくてん)と思いきや、つくねは実戦(じっせん)に長(た)けているようだ。一瞬(いっしゅん)にして、ハルの背後(はいご)に移動(いどう)して、後ろからハルの腹(はら)にナイフを突き刺(さ)した。
「バカな娘(こ)ね。大人(おとな)しくしてれば死ななくてすんだのに…」
 つくねは嘲笑(あざわら)うと、どこかへ姿(すがた)を消(け)してしまった。呆然(ぼうぜん)とする三人――。アキが、倒(たお)れたハルに駆け寄って叫んだ。「お姉(ねえ)ちゃん! ダメよ。あたしが…助けるから…」
<つぶやき>果たしてハルは助かるのでしょうか? 姉妹の運命が動き出したようです。
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