家内は週に一度、英会話教室に通っている。
得意でもない英語をどうして習いたくなったのか、私には皆目分からない。
数年が経過した今、流暢に喋れるようになったとは思えないが、
教室のメンバーとのお喋りが楽しいらしく、毎週せっせと通っている。
先生の愛称はパット。
ジャマイカ人の女性である。
「先週、パット先生が英彦山に登ったって。これがその画像。」
「これがパット先生か。結構太ってるやん。よく登れたな。」
「そこじゃなくて、紅葉!」
パット先生の背後には、真っ赤に色づく紅葉が写っていた。
「先週の話か。少し遅いかもしれんな。バッテン、行くか?」
「行く。」
てな訳で、日曜日は英彦山である。
参道石段を登り、
奉幣殿到着。
紅葉シーズンの日曜日、いつにも増して人出が多い。
奉幣殿からは南岳ルートへ。
切り株の上には、小さな森が生まれようとしている。
巨岩を通り過ぎ、更にズンズン降りていくと、
玉屋神社に行き着く。
断崖絶壁(般若岩)の岩穴に、社殿が埋め込まれるように建っている。
丁度その時、テレビクルーが反対側から登ってきた。
カメラが止まったので、どこのテレビ局か尋ねてみた。
「NHKです。放送予定?まだ決まってません。んじゃ。」
どうやら私は、相当怪しく見えてるようだ。
これ以上関わるなオーラーを、私に向かって全力で発してきた。
よって番組名は不明である。
アップダウンを繰り返し進んで行くと、
鬼杉に行きつく。
樹齢1200年以上と伝えられている。
幹回りは12m程もある。
鬼杉から南岳までは、登りっぱなしの急登だ。
ひたすら登る。
材木岩を横目で見ながら、尚もひたすら登る。
登る。
登る。
やっと稜線に出た。
小さな岩峰があった。
南岳頂上は人も多かろう。
「あそこで、昼飯にするぞ。」
よっこらせっと。
「ありゃりゃ。あの岩、手で押したらどうなるやろか。」
「止めろ。」
何はともあれ、
南岳に向かい、パクチー香るトムヤンクンをば、
ズズズー
お腹が満ちたら、鎖を掴んでまた登る。
はい到着。
続いて中岳へ。
山頂付近の紅葉は、完全に終わりだ。
北西尾根から下山。
この先の紅葉は、諦めかけていたが、
下るにつれ、散り残りの紅葉が、私達を出迎えてくれた。
山はこれから、大急ぎで冬支度に入ろうとしている。