「手術、終わりましたよ。麻酔もすんなりと覚めてくれました。」
昼過ぎ、ウメの手術の終了を告げる電話があった。
医師によると、暫く術後の経過を見守り、問題がなければ、夕方5時に迎えに来て欲しいとの由。
5時過ぎ、
「ウメを迎えに来ました。」
「あ、どうぞ。こちらに。」
ケージの一番奥で身じろぎもしないウメ。
私達の問いかけにも反応を示さない。
「痛いんですかね。」
「痛いのもあると思いますが、あまりの事態に、警戒しているんでしょうね。」
無理も無い。
ウメは人見知りな性質で、自宅に客が来たら、ベッド下に隠れて暫く出てこない様な猫である。
私達がいない環境で、見ず知らずの人に嫌な事ばかりされ、
しかも、気付いた時には、何故か強烈に脚が痛い。
今までの猫生で、一番嫌な時間だったろう。
手術としては、長さ7~8cm、幅3~4cm、深さは筋膜に達するまで切除。
その際、
「筋膜を取る時に、筋肉組織も一部剥がれています。」
「するってえと、盛大な肉離れ状態ですかね。」
「まあ、似たようなもんです。数日は痛みはあると思います。」
帰宅後、暫く落ち着きが無い様子だったが、
ウメ部屋と化した和室のケージを覗くと、
寝たようだ。
現在、足を引きずる様子も無く、思ったほどは痛みもなさそうだ。
ただ、問題がひとつある。
どうやらウメは不器用な猫らしく、カラーを付けたまま、ご飯を食べたり、水を飲んだりするのが、どうにも下手な事だ。
餌入れは縁の無い小皿、水入れは洗面器に変更である。
これでどうだ、ウメ。
『フニャー』
切除した部位は、専門機関で検査する事になっている。
そこで転移が認められなければ、一安心なのだが・・・
10日後に結果が出る。