前から気になっている店がある。
小石原の道の駅を過ぎて、最初の交差点左角。
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《京や》
会席手打ち蕎麦の店である。
今まで私らがこの店の前を通るのは、英彦山に登りに行く時ぐらい。
当然、山頂で山飯という段取りになっている。
そのせいで、気にはなりつつも、いつも素通りせざるを得なかった。
今回は、最初から山はそこそこにして、この店に照準を合わせて来ている。
前回の投稿で、氷瀑を見られなかった腹いせに、
「今日はアレが目的だから」
と私がほざいたアレとは、この店だったのだ。
「ごめんくださーい。」
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正面に立派な床の間がある広い座敷に通される。
庭が見える窓側は、以前はソファーなどが置かれた縁側風だ。
元々は旅館だったと言う佇まいが仄かに感じ取れる。
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「ようこそいらっしゃいました。観光ですか?え、山登り!まあまあ。」
「ここで蕎麦食おうと、山で飯を食ってなかったんで腹減ってて。」
「それはそれは、どうも有難うございます。」
言わずもがなの恩着せがましい言葉を口に出す私である。
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庭の見える窓側の席に座る。
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「もみじ膳でございます。」
盛蕎麦をメインに、小鉢三種に山菜の煮物、ご飯に香の物が乗せられた膳が運ばれてきた。
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無論、料理を盛り立てる器は、全て小石原焼である。
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この他に、蕎麦の実の椀物とデザートが付く。
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では。
ズルズルズル
うん、間違いない。
十対一の配合の蕎麦粉を使った麺はコシがしっかり。
甘さを抑えた麺つゆも私好みだ。
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「蕎麦のシフォンケーキでございます。」
香ばしくておいしゅうございます。
山を下りたなら、
蕎麦と言う選択肢もありだね。