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Tシャツとサンダルの候

野中町界隈散歩



今回の投稿は、いつにもまして退屈であると、先に断っておく。

十秒もあれば眠気を催す事、請け合いである。

眠たくなった方は、悪いことは言わない。

早々に、この記事から離れられる事をお勧めする。



さて、本文である。

午前中は大概、自宅から4km程歩いて、高良山か明星山に登っている。

歩き始めてすぐの所に、高牟礼会館という文化施設がある。



古くは旧陸軍第18師団の師団長公舎がおかれ、戦後は市長公舎等の転用を経て、

現在は、会合や趣味の活動などに使われている文化施設である。

前から一度、見学してみたいと思っていた建物である。

ちょいと立ち寄ってみようかな。



職員らしき人に、建物の見学は出来るのか尋ねてみた。




「どうぞどうぞ。ばってん今日は、どの部屋も使用中ですけん、部屋ん中は見れんですばい。」

「構いませんよ。んじゃ、ちょっとお邪魔します。」



玄関エントランスホール。


因みに、鮎川誠母子が、住み込みの管理人として、ここで生活していた事は、久留米では有名な話である。



マントルピース跡。


「現在は使われとりません。煙突は塞いどります。」(職員)



残念ながら現在会合に使用中で、中を覗き見る事は出来ないが、このドアのどれかが師団長執務室であったに違いない。




第18師団と言えば、国軍最強を謳われ、青島攻略戦を始め、数々の戦功を挙げた師団である。

師団の通称は、天皇家の紋章でもある『菊』。

菊兵団を名乗る軍人は、久留米第18師団が別格の師団であると言う自負があったに違いない。



庭から。




ほころび始めた白梅。




落ち椿。



よし、気が変わった。

この日は山登りは中止だ。

この界隈の、陸軍関連史跡を歩く事にしよう。

てことは、次は久留米競輪場だな。

取り敢えず、競輪でひと遊びをして、


・・・・じゃなくて!


そこにはかつて、陸軍墓地やドイツ兵俘虜収容所があったのだ。

てくてくと歩いて行くと、



やがて競輪場に行き着く。




競輪場本道から左に回り込むと、すぐに円形野外講堂跡がある。

説明板によると、

ステージ裏に楽屋跡がある事、ステージ中央には演台跡が見られる事から、講演や集会に使われた事が解る。

収容人員は500人程。

出征する兵たちへの、慰問にでも使われたのだろうか。



全国的にも例が無い、貴重な遺構であるらしい。




ステージに掲げられた額。

「そのしんをやしなう」と読む。


野外講堂を過ぎると、



赤煉瓦造りの円柱状の建造物が見えてくる。

陸軍墓地遥拝台だ。



螺旋階段を登って行くと、




屋上には「宮城遥拝」「皇紀二千六百一年」と刻まれた標柱が立っている。




遥拝台から陸軍墓地を望む。




ドイツ兵俘虜慰霊碑

第一次世界大戦、青島のドイツ要塞を攻略した第18師団は、多数のドイツ兵俘虜を連れて帰っている。

説明板から抜粋する。

彼等を収容するため、大正3年10月から同9年3月まで、久留米に俘虜収容所が置かれました。
多い時には1319名を収容し、全国12ヵ所の収容所で最大でした。
俘虜は長い抑留生活の中でも、音楽会・作品展示会・スポーツ大会などを催し、
市民との交流を深め、近代の久留米の芸術・文化や市民生活に大きな影響を与えています。
またドイツの進んだ科学技術は後に久留米の基幹産業たるゴム産業の技術革新に大きな貢献をしています。
久留米の歴史にドイツ兵俘虜は大きな足跡を残すものです。


とある。



忠霊塔

陸軍墓地内の遺骨は、後にここに埋葬されたようだ。


陸軍橋。







昭和17年竣功と刻まれている。




陸軍橋全景


そろそろ、競輪場を後にしよう。



暫くは、水仙が咲く高良川沿いを行く。


最後に立ち寄るのは、JR久大線南久留米駅だ。



六芒星の不思議な紋章が、駅舎の天井裏にあると最近知ったからだ。

我が家から一番近い駅舎なのに、私は未だにそれを見たことが無い。


これだ。

新聞の抜き書きによると、

陸軍の符号としては五芒星が使われたようだが、時に六芒星が使われる事もあったという。

だが、地図上に描く事はあっても、建物に使う理由に乏しく、どうも陸軍関連ではないようだ。

一説によると、六芒星は古来魔除けに使われていて、駅から出征する兵士の無事を祈り、意匠されたのではないか。

と書いてあった。

結局の所、よくわからないと言うのが本当のようだ。




自宅が近づいてきた。

この退屈話をそろそろ終えたい。


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