私の車にインストールされているのは、年代物の楽曲ばかりだ。
ビートルズやサイモン&ガーファンクル、PPMに、はたまたオールディーズ等々。
そして、邦楽はこんなのばっかり。
音楽に関しては、40年前から完全に時は止まったままだ。
車の中は個室だ。
誰に気兼ねもない。
ハンドルを握りながら、曲に合わせて歌うというのは誰しもの事だろう。
それはいい。
問題は、
曲にもよるが、突如として涙が溢れ出し、声を詰まらせてしまう事だ。
いや、そんな生易しいものではない。
号泣と言っていい。
言っておくが、その曲の歌詞に、その時々の自分の来し方を重ね合わせて泣いている訳ではない。
自分の事では絶対泣けない筈だ。
むしろ単純に、その歌詞の情景が頭の中で思い描かれ、スイッチが入ると、もういけない。
この曲などは一番端的な例で、
《縁側でアルバムを開いては 私の幼い日の思い出を 何度も同じ話繰返す 独り言みたいな小さな声で♬》
この景色が頭に浮かび、激しく反応してしまうのだ。
要するに、安っぽいテレビドラマが、頭の中で再現されているのと同じである。
妄想癖にも困ったものである。
事故でも起こして、
「いや、涙で曇って前が見えなかったから。」
なんて、言えないぜ。