またしても、くじゅうである。
前回はミヤマキリシマの残花が目的だった。
今回は、猟師岳の大山蓮華がその目的である。
こう見えても、色々と忙しいのだ。
「くじゅうに大山蓮華ば見に行くぞ。お前、来るか?」
数日前、
くじゅうから真っ黒こげになって帰ってきた私の姿に、戦慄した家内。
一刀の元に、
「断る!」
ふん。
日焼け如きに怯えるヤツなんぞ、ほっとこっと。
じゃあな。あばよ。
ブイ~~~~~ン
車を九重スキー場駐車場に止め、登山スタートである。
夏草生い茂るゲレンデを行く。
動かないリフトが物寂しげである。
ゲレンデ途中から、登山道が始まる。
深い森を行く。
苔むす木々と岩。
暫く登ると、不意に林道に出た。
ここら辺かな?
お目当ての大山蓮華はすぐに分かった。
この人だかりである。
妖艶な微笑みを浮かべる森の貴婦人。
『こっちに来てごらん』と誘いかけているかのようだ。
そんじゃ、お言葉に甘えまして。
目を閉じて、そっと顔を近づけてみる。
得も言われぬ甘い香りである。
目的の大山蓮華も見られたし、日焼けなんかしないうちに、そろそろ家に帰る・・・・
訳なかろう。
猟師岳に登らないでどうする。
くじゅう特有の、滑りやすい黒い土を踏みしめつつ登って行く。
この辺りの事を、シャクナゲ谷と呼ぶらしい。
その名の通り、シャクナゲ、シャクナゲ、シャクナゲである。
その季節には、是非ともまた、登りたいものである。
樹林帯を抜けると、スコーンと視界が開けた。
振り返ると、若草色の一目山と、その奥には涌蓋山がそびえ立つ。
南に目を転じれば、雲海に浮かぶ阿蘇山。
同じく祖母山も。
猟師岳到着。
一つの疑問がある。
この山頂にも、二つの山名標識があるように、物によっては『猟師山』と『猟師岳』と、二通りの表記があるのだ。
山頂にいた方に、何となしに聞いてみた。
「さあ?どっちやろか。バッテン、新しい標識が『猟師岳』やけんね。岳でよかとやなかろか。」
「あ、なるほど。」
ポンと手を打ちたくなる回答である。
正しく、慧眼の持主と言うべきだ。
山名の疑問も溶けたし、山頂も狭い事だし。
「有難うございます。じゃあ、お先に。」
休憩も取らずに、合頭山へ縦走する事にした。
イブキトラノオ
この山の場合、合頭山縦走はセットみたいな物らしい。
前方に連なる三つの瘤の左端が、合頭山のようだ。
気持ちのいい稜線を歩いて行く。
くじゅう連山を望みながらのトレッキングロード。
誠に贅沢と言うしかない。
ラストミヤマキリシマ。
来年もよろしくな。
合頭山到着。
暫く休憩した後、スキー場へ折り返しだ。
帰りは、猟師岳を迂回するコースを取った。
結局、休憩や大山蓮華見物を入れて、往復約2時間半。
次回からは、他の計画と組み合わせても良いかもしれない。
山から降りたら、目と鼻の先は筋湯温泉だ。
無料の駐車場に車を停め、温泉街に降りていく。
30年前、何度も家族で泊りに来ていた、懐かしの温泉街だ。
共同浴場うたせ湯 300円
約2メートルの高さから落ちる、18本のうたせ湯が有名。
筋湯温泉自慢の施設だ。
チャポン
いやいやいやいや、気持ちええ。
・・・極楽、極楽