長らく降り続いた雨も、ようやく一段落である。
となると、何処かに行きたいと腹の虫が騒ぎ出す。
「取り敢えず、どっか行くぞ。」
ろくに調べもせずに目的地を選び、
取り敢えず、車に乗って出かけ、
取り敢えず、それは空振りし、
取り敢えず、「はー」とため息をつき、
取り敢えず、腹が減ったので昼ご飯である。
「取り敢えず、ここでいいんじゃない?」
「うどんか。取り敢えずよかろう。」
初めての店の暖簾をくぐった。
メニューを開くと、
「親子丼&ミニうどんセットで660円?ヤスッ!これにしよっと。」
「私、ごぼう天うどんにする。」
あ、そうだ。
どうせセットのうどんは、素うどんに決まってる。
「俺、丸天追加で。」
「承知しました。」
「お待たせしました。丸天追加でーす。」
「ちょ、ちょ、ちょっと。俺、セットだよ。ミニうどんやろもん。」
この時私が思ったのはこうだ。
私の親子丼は何を勘違いされたか、セットが単品となり、
家内が頼んだごぼう天うどんに、丸天追加で通ってしまった。
「ごぼう天が載ってるやん。」
「ごめんなさい。これでミニなんですよ。」
「何ですと!もしかしてごぼう天も標準装備?」
「はい。すいませんが。」
誤ることなど一つもない。
何たる豪華さ!
何たるコスパの良さ!
ふっ
卵とじの座布団に、丸い卵黄がこまっしゃくれて座ってやがる。
これが、限りなく標準うどんに近い、ミニごぼう天うどんである。
取り敢えず、麺が伸びてしまう前に、
ズズズ
モシャモシャ、ゴックン。
ところが・・・
ヤツの注文したうどんが、待てど暮らせど出てこないのだ。
「?」(家内)
「??」(私)
「おっちゃん。親子丼貰うよ。」
「あー、なにすっだ!!」
ヤツの前に注文の品が置かれ、我が愛しの親子丼が開放されたのは、4分の一ほど消滅した後だった。
グシュン
ここで疑問がある。
セットのミニうどんが、ごぼう天標準としたら、
それならどうして、同じごぼう天うどんの単品が、こんなに遅くなる?
やっぱ、間違えてたんじゃないよな。